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89話:褒美

島左近清興だ、例の詐欺師なる者たちは火炙りの刑に処されてから時が経ったころ、我が領地にて隣国であるジュリアス王国の使者とルナ・キサラギが屋敷にやってきた。目的は例の象討伐の褒美を授けるためだとか・・・・


「不躾ながら某は既にシュバルツ王国より褒美を賜りました。他国から褒美を賜るのは畏れ多い事にござり申す。」


「いや、貴殿が象を討伐してくれた事で陛下は大変満足しておられる。」


「しかし我が国の国王陛下の許可なしに褒美を賜るなど・・・・」


「その心配は無用です。」


そこへルナ・キサラギの口から「心配無用」という発言が出た。ルナいわく、陛下には事前に話は通っており、ジュリアス王国から褒美を賜っても良いと許可が下りたのである


「我がジュリアス王国は貴殿に【準男爵】の称号、金貨3000枚(3000万エン【日本円で3000万円】)を与える。」


「ははっ!有り難き幸せ!」


まさかジュリアス王国から金貨3000枚だけではなく、【準男爵】の称号を賜るとは思っておらなんだ。しかしシュバルツ王国に在住しているのだが、ジュリアス王国から【準男爵】の称号を賜るのは些か、奇妙な気もするが、有り難く受け取ることにした


「御使者殿、王都へ参りましょう、サコン殿、では後日。」


「ははっ!」


ワシは使者とルナを見送った後、屋敷へ戻った。そこへ与一とアリーナとウルザらが駆け付けた


「旦那様(左近様・主様)、おめでとうございます!」


「うむ、ありがとう。」


「まさかジュリアス王国から【準男爵】の称号を与えられるなんて思いませんでしたわ!」


「ああ、ワシはシュバルツ・ジュリアス両国から認められたという事になるな。」


「左近様、御目出度い半分、危険も半分ですな。」


「それもあるな。」


「どういうことだい、お前さん。」


「左近様がジュリアス王国から【準男爵】の称号を得たことで、国王始め貴族たちが左近様を警戒するに決まっておろう。」


「え!旦那様、大丈夫なのですか!」


「うむ、陛下は事前に許可を得ているというが貴族たちは此度の事をどう見るかだな。」


その頃、王宮では国王ロバート・シュバルツは使者に会っていた


「それで貴国の方はどうなのだ?象被害が甚大というではないか。」


「はっ!幸いにも復興が進んでおり、民たちも活気を取り戻しつつあります。」


「ふむ、それにしてもギルト殿も思い切った事をされたな、まさかサコン・シマに【準男爵】の称号を与えるとはな。」


「彼の者は我が国にかわって象を討伐してくれた功労者です、その功労者に褒美無しというのは我が国の面目に関わります。」


「私も彼の者に土地を褒美として与えた。彼の者には【為政者】の適正があったからな。」


「左様にございますか、もし彼の者が我が国にいたならば貴族の爵位を与えようと思ったと陛下が仰っておりました。」


「そうか、だが残念だ。彼の者は貴族には興味がないそうだ。実に惜しい事だ。」


「左様にございましたか、サコン・シマ殿は誠に欲のない御方ですな。」


「ああ、貴族への野心が全くない珍しき男よ。」


二人の会話を近くで聞いていた貴族たちは表情に出ないものの困惑していた。島左近は貴族の爵位に興味がないと陛下の口から出たのである。島左近を貴族に昇進させようとした貴族たちは自分たちのやったことは無駄な徒労として終わったのである。その様子を傍目から見ていたルナは苦笑した


「(サコン・シマに色目を見せる貴族たちはもう2度とやましい事はしないであろうな。)」


後日、ルナはその様子をワシに語ってくれた。それを聞いたワシは苦笑いを浮かべた


「貴族たちは当てが外れて、困惑しておりました。」


「左様か。」


「まぁ、色々な思惑でサコン殿に取り入ろうとした方々でしたからね。」


「それを言いにわざわざお越しになられたのですかな?」


「それもございますが、サコン殿はジュリアス王国から【準男爵】の爵位を賜ったことでサコン殿のお立場が変わりつつあります。」


「某を排除する一派でも現れましたのかな?」


「いいえ、その逆です。貴方をこの国から出さず、この国に縛り付ける事です。貴方は国を動かすほどの重要な存在となっているのですから。」


ワシを排除せず、この国の地主として永久に国に尽くせと言うことか。まぁ、優秀な人材がいなくなれば、その分、国の損失が増えるからな・・・・


「某は別に依存はござらん。今の生活ができれば、満足でござる。」


「それを聞いて安心しました。」


ルナはワシのその言葉を聞いて安堵したのか、すぐに屋敷を出て、馬車に乗り、王都へ向かって出発した。ルナを見送った後、ワシは己の立場を改めて確認した。ワシは今、シュバルツ王国に在住する地主であり、シュバルツ・ジュリアス両国から【準男爵】の称号を賜っている。一介の平民よりも上位互換な存在であることは確かである。ワシは公家【貴族】になる気はない。国王もそれは理解し、公家【貴族】たちもワシを貴族に昇進させようとする動きが無くなったが、それがいつまで続くのだろうか、人の心は変わりやすい物だ、何かしらのきっかけでまた昇進の話が再燃することもあれば、ワシを排除しようとする話も再燃する可能性がある。仮にここので立場がなくなれば、ジュリアス王国から【準男爵】の称号を賜っているので、ジュリアス王国に移住するのも悪くない。それを分かっているからルナはあのような事を申したのであろう。ワシをシュバルツ王国が一歩も出さず、生活を保障した上でシュバルツ王国に忠誠を尽くす、双方にとっては釣り合いを保っているというべきか


「さて、アルグレンの顔でも見ていくか。」






王都へと帰還したルナは早速、国王に拝謁し事の次第を報告した


「そう言ったのか。」


「ははっ!」


「それは良い。もし奴がジュリアス王国に行ってしまっては敵わぬからな。」


ロバート・シュバルツは安堵したのか、機嫌が良い。そこへ第2王子であり、現王太子であるロミオ・シュバルツが質問をした


「父上、よろしいでしょうか?」


「何だ?」


「サコン・シマなる者は何故、貴族にならないのですか?」


「その事か、残念ながら私にも分からぬ。」


父であるロバートからは分からぬという返答が戸惑いつつ、ルナの方を向いた


「ルナ、そなたならサコンと会ったのであろう、理由を聞いたのか?」


「畏れながら申し上げます。ただ貴族に興味がないとの一言のみです。それ以上は分かりませぬ。」


ルナからも分からないと言う返答にロミオは更に困惑した


「父上、その者は何故、国を救う功績をあげておきながら、なぜ平民の立場を甘んじているのですか!私には分かりませぬ!」


「それがあの者の生き方なのだろう。あの者が地主になる前から仕官の話が多くあった事は耳にしている。だがあの者は仕官の話を断り続けた。あの者なりの信念があるのであろう。」


「信念にございますか。」


父であるロバートの口から信念という言葉に違和感を覚えた。王族暮らしのロミオにとってサコンの信念が理解できなかった


「ロミオよ、人それぞれ己の生き方がある。王族でも貴族でも平民でも、地位に甘んじる者もいれば、身に過ぎた野心を抱くものもいる、必ずしも貴族の生き方が幸せとは限らぬとあの者は思っているのであろう、まぁ、あくまで私の考えであってサコン・シマから聞いたわけではないからな。」


「私もそう思います。」


ロミオは2人の話を聞いても結局は分からず、直接、聞こうと思った。本来であれば、王宮へ呼び出す事や、お忍びで行く事も可能だが、それには父であるロバートの許可がいる。ロミオは現王太子であり、向こうも領地経営や何やらで、忙しい身である。ロミオはそこで手紙を書き、事の真意を聞こうとペンを走らせるのであった




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