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88話:詐欺師集団

島左近清興だ、象討伐の褒美として【エメリカ山脈】とその周辺の土地の支配を容認され早速、取り掛かった。まず小さな河川で用水路を整備し、そこに堤を設けた。そこへ複数の橋を整備し、往来の行き来が可能になったのである。平野部には新田を開発し、そこに新たな集落ができた。中でも利益をもたらしたのは例の塩泉から取れた山塩、後の【サコン山塩】である。ワシは屋敷にて商人たちから例の山塩の評判を聞いた


「サコン様、あの山塩は湖塩と並んで【サコン両塩】と呼ばれるほど、評判が良いです!」


「そうか。」


「まさに、天が与えてもうた最古の結晶にございますな!」


「そなたたちにとっては商売の幅が広がって大助かりではないのか?」


「いやはやサコン様には敵いませんな(笑)」


【サコン山塩】は【サコン湖塩】と共に莫大な利益をもたらした。オコーネル伯爵家から山塩の注文が来るようになり、島左近の治める土地は塩の名産地として名を馳せるようになったのである。それはさておき商人が帰った後、アルグレンがトコトコとワシの方へ駆け寄ってきた


「ちち!」


「おお、アルグレン。」


1歳になったアルグレンも言葉たらずだが、喋れるようになり、ワシとしても子の成長は良いものだと改めて実感している。そこへアリーナがアルグレンを注意していた


「こらこら、お父様は今、お疲れなのですよ。」


「構わんさ、そうだろ。」


「うん。」


「そうか、よしよしいい子じゃ、いい子じゃ。」


それから数日後、来客が当屋敷に参った


「是非、我が商品に御投資を!」


やってきて、早々に商品を勧めるこの若い商人は、南蛮渡来の品らしき壺をワシに提示した


「そなたの持ってきた壺が必ずしも高価とは限るまい。」


「滅相も御座いません!この壺は正真正銘のミルモ壺にございます!私たちはミルモ壺の生産ができ、かつ資金を集めています!是非」


ミルモ壺とは、この世界では大変高価な品らしく王族や貴族がこぞって購入しているらしいが・・・・


「現地で便器に使われる雑貨を高級な品と偽って莫大な利益をもたらした輩を知っている。そなたもその類いではないのか?」


ワシはそれとなくカマをかけてみると、一瞬だが手が震えた。表情はにこやかだが、僅かばかりに眉が動いた


「生憎、ワシは高級な品に関しては詳しくないのでな。悪いが遠慮させてもらう。」


それを聞いた商人は眉を潜め、明らかに不機嫌な表情に変わった


「後悔しても知りませんよ。」


「それは脅しと取っていいのか?」


ワシが睨み付けると商人の表情が一変して変わり、恐怖におののいた表情をした


「し、失礼しました!ではこれにて!」


商人は慌てた様子でそのまま屋敷を出ていった。ワシは不審に思い、サスケら数名の忍びに命じてあの商人を追わせた。サスケは商人の後を追うと、人気の無い路地へ入っていった。何かあると核心し、後を追うと例の商人が立ち止まっていた。サスケらは身を隠すと、商人は辺りをキョロキョロとした後・・・・


「山に山!」


合言葉らしき文言を言うと、隠し扉らしきものが開き、中へ入っていった。サスケらは一旦引き返し、左近に報告をした


「そうか、ご苦労、下がって良い。」


「はっ!」


サスケらを下がらせた後、与一と相談をした


「ただ商人ではありませんな。」


「合言葉を用いるということは、何やらきな臭いな。」


「追跡動物を使いまするか。」


「うむ、やれ。」


与一は追跡動物である蝶を召喚させ、現場へと向かった。サスケが言っていた路地へ向かい、先程の商人がいた場所へたどり着いた。例の角し扉が開くまで待ち続けた。その様子を水晶で待つワシら・・・・


「なかなか開きませぬな。」


「用事がある時にしか動かぬのだろう、だとしたらなかなか統率が取れた集団のようだな。」


「ええ、ん、隠し扉が!」


与一の申した通り、隠し扉が開き、中から例の商人が出てきた。今度は別の品を持って、人気の多い路地へと向かった。扉が閉まる前に侵入し、奴らの動向を探ることにした。奥深くへと進むと、そこに開けた場所があり、複数の男たちが様々な品を確認し、密談をしていた


「くそ、やっぱり見せかけに騙されなかったか。」


「ヘボ貴族だったらまんまと騙せたんだがな。」


「この間の金持ちのジジイが楽勝だったんだけどな。」


どうやらこやつらは偽の品を本物と見せかけて売り捌いている集団のようだ。すると頭目らしき男が出てきた途端、全員が頭目の方を向いた


「いいか、俺たちはこの世界に来て、数年ようやく軌道に乗っかってきた!」


「そうだぜリーダー。日本にいた頃はサツやヤクザの目を気にしながら生きていかなきゃいけなかったからな。」


「俺たちは金のためなら手段を選ばねえ!」


「異世界に来てから馬鹿な貴族やら金持ちやらから金をふんだくって女遊びがやめられねえ!」


この集団の正体は現代日本にいた詐欺師集団のようである。原因は分からないが異世界に転生し、偽の品物を本物に見せるために巧みな話術で懐柔し、高値で売り捌いていた。奴らは一か所に留まらず各地を転々とし、現在は【サコン町】に落ち着き、詐欺行為を行っていた


「左近様、どうやらこやつらは我々と同じ転生者とやらですな。」


「ああ、ろくでなしであることは確かだな。」


ワシらはこやつら全員を地獄に落とす事にした、まずワシらは例の商人を捕らえることにした。サスケらに命じて、捕縛に向かわせた。ワシらは引き続き、奴らの監視を続けた


「アイツ、ちゃんとやれますかね。」


「あの野郎、しくじらなきゃいいけどな。」


その頃、例の商人はというとサスケらに捕縛され、現在は隠し部屋に監禁していた


「おい、離せ!こんなことしてただで済むと思ってんのか!」


サスケらは無視し、持参の拷問道具を用意した。拷問道具を見た商人はゾッとして、すぐに命乞いをした


「ま、まってくれ!何が望みだ、金か!金ならいくらでもやる!」


「我等の目的は金ではない、お前たちの排除だ。」


「ちょ、ちょっとまってくれ!う、うう、うわあああああああああああああ!」


例の商人が拷問を受けているところ、アジトに潜伏していた詐欺師集団はというと・・・・


「神妙にしろ!」


「おい、なんで警備隊が来てるんだ!」


突然、隠し扉から警備隊が突入し、詐欺師集団は例の商人以外、全員お縄になったのである。なぜお縄になったのかというと、島左近らが裏で手を回し、詐欺師集団の居場所を密告したのである。警備隊によって回収された品々は、どれもこれも本物に似た紛い物であった。その後、反グレ集団は拷問に受け、あっさりと自供した。その後、例の商人はボロボロの状態で警備隊に突きだされ、商人の自供も相まって、詐欺師集団の悪事が世間に露見したのである


「いやはや、まさかここまでとは。」


後に被害に遭った家々を調べると、何と各国の王族や貴族や金持ち等からだまし取っており、偽物と知った被害者一同は怒りに震え、裁判もなしで直ちに全員処刑となった。詐欺師集団は処刑と聞いた瞬間、顔から生気を失い、中には泣きべそをかきながら命乞いをし、巧みな話術で何とか回避しようとしたが、決定は覆らず、そのまま火炙りの刑となった


「もしリセットボタンがあったら、おしてええよ。」


詐欺師のリーダーはそう呟いた途端に火がつけられ炎の中で悶え苦しみながら焼け死んだ。他の集団も同様に火刑によって処刑され、墓は建てられない等、死してなおも刑罰を課せられたらしい


「左近様、例の詐欺師集団は全員処刑されましたな。」


「ああ、やんごとなき御方を敵に回したからな。」


「民たちの間では権力者に立ち向かった義賊としてもてはやされているそうですぞ。」


「ああ、太閤秀吉公に喧嘩を売った石川五右衛門もそうであったな。」


「ああ、民の声は天の声、いつの世も変わらぬよ。」

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