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73話:ラッキースケベ

島左近清興だ、ワシの下に朗報が訪れた。ギルタージュ公爵家は偽貨鋳造の罪で断絶の上、所領を没収、平民に降格の上、対立していたオコーネル伯爵家の預かりとなったのである。ビルター・ギルタージュには、刺客を放たれ、更には我が領土への物品の差し止めを行おうとしたから、それを未然に防ぐことができたので万々歳である。その知らせを聞いたワシと与一は部屋にて笑みを絶やさなかった


「ふふふ、いい気味だな。」


「左様ですな。」


その姿は悪代官と越後屋の様相であった。まあ、それは置いといて、アレイスター・オコーネルより書状が届いた。ワシは早速、書状を開いた






【サコン・シマ殿へ】

「突然の手紙を寄越して申し訳ない。実は我が領土にビルター・ギルタージュとその一族が我が領地の預かりとなった。私としては今まで横柄な物言いと内政干渉に腹を立てていたが、今回は我が領土の預かりとなったことに私は改めて陛下への忠誠を誓うことができた。さてビルターたちの様子はというと、領民たちから白い目で見られ、石を投げられながら、用意された土地で必死で田畑を耕していたな、私から見ても滑稽じゃったわ(笑)。まあ、それは置いといて、領民たちが湖塩が気に入ってな、これまで通り、塩の取引を続けたいと思う。これからも良好な関係を築けることを切に願っている。」

【アレイスター・オコーネルより】






書状を見たワシは思わず吹き出すところだった。与一は書状を見たワシに何事か聞いてきた時は、ワシは書状を与一に見せた。与一は書状を見た途端、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。ワシも与一もすっかり人柄がよくなったようだな・・・・


「いい気味ですな♪」


「ああ、胸がスッとしたわ♪」


ワシも与一も久し振りに痛快な心地であった。その後、書状は無限収納箱に入れて、大事に保管した。それからというもの、ワシらの領地は平穏無事に過ごしていた。そんなある日、ユカリがワシの下へ訪れた


「これはユカリ殿、何用で参られた。」


「ううん。」


「まあ、入られよ。」


「失礼します。」


ワシはユカリを客間へ案内させた。ユカリが来たと知らせを聞いたそこへ与一やアリーナやウルザも駆け付けた。ユカリはというと、何やら浮かない様子でいた。恐らくサマノスケの事だろうと思ったが、念のために聞いてみた


「ユカリ殿、如何された。」


「はい・・・・」


「ユカリ、もし私たちにできる事があれば、力を貸すわ!」


「そうよ、主様もウチの人も心配してるんだから。」


そこへアリーナとウルザが助け舟を出した。かつて娼館【イザナミ】で、一緒に働いた仲であり、サマノスケの件で心配していた。そんな二人の後押しのおかげか、ユカリは重い口を開いた


「実は、サマノスケの事で・・・・」


案の定、サマノスケの事だった。ユカリいわく、祖父であるコタロウの説得され、少しずつだがサマノスケを許そうと思っていたが、いざ本人に会おうと思うと、体が硬直し、一歩も動けずにいたらしい。日常生活ではそんな事は起きないが、サマノスケの事になると体がゆうことが聞かないらしい


「ユカリ殿、恐らく心の病であろう。」


「心の傷。」


「ああ、自分の意思と関係なく、記憶に残るほどの衝撃がそうさせておるのやもしれん。」


恐らく、サマノスケと再会した事で、心の傷が生まれたのかもしれん。本人の意思とは関係なく、体が拒絶してしまう。一度、心の病になると治るのに長年の時がいるのである。現世にいたころも、そのような者を多数見かけたことがある。そこに付け込んで悪さをする者もおった。はてさて心の病ほど厄介なものはないわい・・・・


「旦那様、その傷は何とかならないのですか。」


「心の病は普通の病よりも根深くものだ、そう簡単には治せぬ。」


「お前さんも黙ってないでなんか答えてよ。」


「お、そうだ与一、お主は薬に精通しておろう、心の病に関する薬はあるか?」


「はっ、ないことはないですが・・・・」


「あるのね!お前さん!」


「ああ、心の病になったものに試しに作ってみた薬を使い申した。その者は心の病が治り、普通の生活を営めるほど回復いたしました。」


「それで作り方を知っておるのか?」


「はっ、実は作り申した。」


「おお、もう作っておったのか、だったらそれを飲ませよ。」


「ははっ。」


与一は心の病に効く粉末をユカリに飲ませた。粉末を飲んだユカリは苦さで顔をゆがめた


「に、苦い。」


「水だ。」


ワシはコップに入った水を与えると、そのまま粉末と一緒に飲み干した


「どうだ?」


「ん、分かりませぬ・・・・」


「だったら、サマノスケの事を思い浮かべてみよ。」


「は、はい。」


ユカリは少しだけサマノスケの事を考えると、例の発作が来たが、前よりも症状が軽く、少しだが手を動かすことができた


「サコン殿、少しだけだが手を動かすことができました!」


「おお、では効いているのだな!」


「はい!」


「それは良かった。与一、例の粉末は残っておるか!」


「はっ!残っておりまするが!」


「それをユカリ殿に渡せ、もし無くなったら新しく調合させればよい。」


「承知致しました!」


ユカリは処方に従い、分量を守って薬を服用した。まぁ、普段の生活に支障がないから、不便ではないが、サマノスケの事になると、発作が起きる。薬によって、だいぶ改善されたが、与一から待ったがかけられた


「ユカリ殿、薬の事なのだが、これ以上、服用しない方がいいぞ。」


「それはなぜ?」


「うむ、薬といっても分量を守って飲めばいいものではない。薬を服用しすぎるのも返って毒になる事もある。」


「はい・・・・」


「某から見ても発作はだいぶ改善されている、後はユカリ殿自身が前に進むだけだ。」


「はい・・・・」


ワシは陰ながら、その様子を見ていたが、与一のいう事にも一理あった。どんな良薬でも服用しすぎれば毒にもなるのである。それから数日後、ユカリは覚悟を決めて、サマノスケに会う事にした。ワシらは追跡動物を使い、ユカリの後を追った


「さてユカリ殿は発作が起きずにやれますかな。」


「さあな。」


「おお、サマノスケと会えましたぞ。」


どうやらユカリとサマノスケが対面したようだ。サマノスケは突然、ユカリの訪問に驚いていた


「ゆ、ユカリ、どうしたんだ!」


「サマノスケ・・・・・本当に真面目に働いているようだな。」


「あ、ああ。」


傍から見ても発作らしき症状を発していないだけでもだいぶ改善されているな。さて問題はここからだが、会話らしき会話がない。傍から見ているワシらはやきもきした気分で待っていた


「いつまで根競べしているのでしょう、この二人。」


「睨みあうのもいいが、潮時も考えねばならない時に、これは完全に泥沼に陥っているな。」


「こういう時は男の方から声をかけるべきでしょうが!」


「落ち着け、与一。」


「はっ。」


ワシも内心、両人の睨み合いに痺れを切らすところであった。もし内府(徳川家康)だったら大筒を打ち込んでいるところだな・・・・


「ゆ、ユカリ。」


「左近様、男の方から動きましたぞ!」


「うむ。」


ワシらは水晶に注視しつつ、二人の動向を見守っていた


「ユカリ、今まで、すまなかった。」


「いや、私も色々と苦労していることをお爺様から聞いた。それにお前が真面目に働いているし・・・・」


「ユカリ。」


「暇な時には顔を見せる、それじゃあ。」


「ま、待ってくれ、ユカリ。」


サマノスケがユカリに駆け寄ろうとしたところ、何もないところで爪先が引っ掛かり・・・・


「うわっ!」


「あっ!」


サマノスケがのし掛かる感じユカリと共に転んでしまった


「あぁ、すまない・・・・」


モミッ!


「(ん、何だ、何やら柔らかいものが・・・・)」


サマノスケはふと右手を見るとユカリの豊満な胸を揉んでいた。現代で言うラッキースケベである。ユカリは赤面し、サマノスケを睨み付けた


「あっ。」


「くっ。」


見つめ合う2人、そして・・・・


「こ、こっちも成長したんだな、ははは。」


「・・・・の。」


「の?」


「この大馬鹿者ガアアアアアア!」


「あべしっ!」


ユカリの渾身のアッパーによってサマノスケの身体は宙を舞い、そのまま一回転し、地面にぶつかった。そんなサマノスケの姿を見て、ユカリは鬼の形相で・・・・


「アホ、バカ、シネエエエエエ!」


ユカリはそう罵倒し、そのまま去っていった。サマノスケの方はというと、そのまま気絶していた。傍から見ていたワシらは・・・・


「左近様、我等は何を期待していたのでしょう。」


「そんなもの知るか。」


その後、仲直りをするのに相当の時がかかったのはいうまでもなかったのである




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