65話:嵐到来
こちらは【ガルバトロズ】の隠れ屋敷、その屋敷にて元勇者で脱獄犯のチャブム・ブレスとコバヤシは、すっかり麻薬中毒に陥っていた
「薬!薬をくれえええええ!」
「早くしろ!このままだと壊れちまうよ!」
麻薬が切れたチャブムとコバヤシは幻覚作用が働いたのか、奇声をあげたり、誰もいないのに壁に話しかけたりしていた
「うむ、これは重症だな。」
「あぁ、完全に中毒者だな。」
その二人の様子を見ていた男たちは養豚場の豚を見る目でチャブムとコバヤシを眺めていた
「ところでシュバルツ王国の一件を聞きましたか?」
「あぁ、うちのお得意さんだったんだけどな。」
シュバルツ王国で起こった一件、相次ぐ貴族の事故死&病死を機に綱紀粛正に乗り出した国王ロバート・シュバルツは【ガルバトロズ】を支援した貴族たちを粛清したのである。これによりシュバルツ王国における【ガルバトロズ】の影響が根こそぎ消し去ることができたのである
「まぁ、あの国だけじゃないからな。」
「ええ、他国にも我等を支援してくれる王侯・貴族がいますからな。」
「これだから上流階級という生き物は愚か者揃いだ。」
一方、国王ロバート・シュバルツは各国の王族を集めて、王族会議を始めようと画策していた。しかし足並みが揃わずにいた
「どいつもこいつも都合が悪いから辞退するだと!好き勝手ほざきおって!」
「お、畏れながら。」
「苦しゅうない、申せ。」
「はっ!他国の王たちは、我が国から【ガルバトロズ】に支援している貴族たちが粛清した実績がございます。他国から見て我が国が主導権を握られるのを快く思わないのでしょう。」
「今は面目云々どころの騒ぎではないと申すに!」
他国から見れば主導権をシュバルツ王国に握られたくない一方で、自国に【ガルバトロズ】と通じている者がいるのではないかという内情も含めて、戦々恐々とし二の足を踏む始末である
ここは【ガルバトロズ】本部、【ガルバトロズ】教祖であるコマイラ・ガルバトロズは信者たちに向かって宣言をした
「我が同志たちよ、今宵も神のために祈ろうではないか!」
「「「「「「ははっ!教祖様!」」」」」」
銀髪碧眼、年齢は40代後半、肥満体で身長は180cmほどの中年男だが、その正体は【ガルバトロズ】の教祖である。コマイラは習慣として太陽に向けて平伏のポーズを取り、何度も御辞儀をした
「これにて祈りが終わりです。では解散!」
「「「「「「ははっ!教祖様!」」」」」」
信者たちを解散させ、自分の部屋へ行き、部下たちを下がらせた後、部屋に入った
「はぁ~、何してくれてんのよ、アイツらは!」
部屋に入った途端、素に戻り、溜め息をついた。コマイラはある事に悩んでいた。そう一部の信者、特に麻薬の栽培&売買を行っている破戒信者たちのせいで、【ガルバトロズ】の印象が最悪であり、いつしか犯罪組織として目をつけられたのである。コマイラは麻薬栽培を行う破戒信者を破門し、何とか撲滅に努めていたが、一向に消える気配がなかったのである
「私はどこで間違えてしまったんだ。」
コマイラは、どちらかと言えば善人である。彼自身、元々は信心深い男だったが、夢枕で神託を受けて、貧民救済のために立ち上がった。新興宗教組織【ガルバトロズ】を組織し、貧困層を中心に人民救済に尽力し、信者も増加したが、中には有象無象も含まれており、例の如く麻薬売買の事件が発覚し、各国から圧力をかけられる始末である
「はぁ~、ゼロからやり直したい。」
コマイラの精神は限界に達しようとしていた。もう【ガルバトロズ】なんかどうでもいい。人民救済なんかどうでもいい。ここまで世間で嫌われたなら、いっそのこと・・・・
「ここを出よう。そうしよう!」
コマイラは本部を脱出し、自由気ままの旅に出ようと決意した。そうと決めたコマイラは金や着替え等をバッグに詰めて、ここを出ようと決め、準備を始めた。信者たちにばれないように夜中にこっそりと出ていくことにした
「教祖様、本日のお仕事です。」
「ああ、そこへ置いときなさい。」
「はい、では失礼します。」
コマイラはいつものように書類仕事をしていた。いつも苦痛に感じていた書類仕事も今日で最後かと思うと、不思議とはかどり、全て終わらせたのである
「終わりました。」
「ご苦労様です、コーヒーをどうぞ。」
「うむ、ありがとう。」
信者の一人から出されたコーヒーを味わいつつ、一つの新聞を見て、溜め息をついた
「はあ~、またか。」
新聞に書かれた内容は、【ガルバトロズ】に通じたシュバルツ王国の貴族たちの処刑が書かれていた。その新聞を一緒に見ていた信者が憤慨していた
「全くけしからん内容ですな!一部の破戒信者のせいで、我等の印象が悪くなる一方です!」
「こればかりは仕方がない。」
「ですが、奴らは破門されたにも関わらず教祖様の名を借りて、私腹をこやしている奴らです!」
私としても頭も胃も痛い案件だ。私は新聞を折り畳んだ後、机に置き、残りのコーヒーを飲み干した
「さて次の仕事を。」
コマイラは昼休憩を挟みつつ、その日は書類とにらめっこを続け、気付いたら外は夕焼けになっており、仕事を人通り片付いた
「お疲れ様です、教祖様。」
「あぁ。」
「今日も精進料理を用意しておりますので、召し上がってください。」
「ありがとう。」
私は信者から出された精進料理を食べることにした。正直に言うと、水っぽく味が薄いのである
「はぁ~、たまには濃い味の料理が食べたい。」
精進料理を食べ終わった後、風呂に入り、疲れを癒すと、コマイラは荷物の整理をしていた
「よし、皆が寝静まった時にしよう。」
眠気覚ましのコーヒーを飲みつつ、皆が寝静まるのを待ちながら、時は刻々と過ぎていった。そして午前2時過ぎごろ・・・・
「よし、そろそろだな。」
コマイラは荷物を持ち、秘密の隠し通路を通って、本部の裏地へ出た。見張りの目を掻い潜りながら、何とか本部を脱出し、なるべく遠くへ向かった
「何とか脱出したぞ。」
コマイラは着の身着のまま、自由気ままな旅が始まった。実は予め作っておいた通行証を荷物に入れ、ある場所へ向かっていた
「目的地はシュバルツ王国、あそこなら【ガルバトロズ】の影響もないし、私の顔を知っている者もいないしな♪」
コマイラはシュバルツ王国に向けて旅立つ一方、本部では教祖が居なくなった事で本部中が慌ただしくなっていた
「教祖様は何処に!」
「探せ!まだ遠くには行っていないはずだ!」
信者たちは手分けして探しだしたが、一行に見つからず途方に暮れていた
「教祖様は我等をお見捨てになられたのか。」
「まさか、教祖様に限ってそんな・・・・」
「もしや例の破戒信者たちの新聞では・・・・」
一人の信者が例の新聞を見て溜め息をついたコマイラの事を他の信者に話した。それを聞いた信者たちは憤慨した
「くそ、あやつらのせいで教祖様が!」
「こうなればアイツらを皆殺しにしましょう!」
「そうだそうだ!」
「破門したにも関わらず!教祖様の名を使って甘い汁を吸った奴らに報復だ!」
「そうだそうだ!報復だ!」
「「「「「「オオオオオオオオオオ!」」」」」」
これにより【ガルバトロズ】は一部の破戒信者や破門した元信者による抹殺が始まり、やがては各国を騒がせる【神殿血祭り事件】へと発展したのであった
島左近清興だ、アリーナと子作りをしてから数ヶ月後に誠に懐妊したのである。男子でも女子でもどちらでもいいが、無事に生まれてきてほしい
「おめでとうございます、左近様!」
「うむ、主もおめでとう。」
「ありがとうございます。」
与一の方も妻のウルザが懐妊したのである。どうやらワシらが子作りに励んでいることを知って、ウルザがやる気を出し、与一と子作りをした結果、懐妊したとの事だ
「ワシもそなたも頑張ったな。」
「御意。」




