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59話:溜め池と用水路

島左近清興だ、ワシらは今、コタロウという得体のしれぬ老人から鳥獣虫から畑を守るための対策を聞いていた


「ほお、そのような方法があったとは。」


「フォフォフォ、長く生きていると色々と知ることができるからのう。」


「某も驚き申した。」


コタロウいわく、防獣や防鳥のネットという網を畑に張り、虫に関しては農薬を使わずに作れる無農薬の存在を知った


「ではワシの指示に従ってもらうぞ、よろしいか?」


「「心得た。」」


ワシらは騙されたと思って、材料を購入し、コタロウという老人に従い、防獣や防鳥のネットを張った。馬で移動しながら、ネットを張り続け、全て張り終えた時には昼頃になっていた


「お前さんたちは昼飯は用意したのかのう。」


「勿論。」


「じゃあ、ここで飯を食おうかのう。」


ワシらは敷物を敷いて、その上で昼餉を取った。ワシらは予め購入した握り飯と紫蘇巻き唐辛子を食べた。醤油に浸かった紫蘇巻き唐辛子の味が握り飯の食う速度を上げてくれるだけではなく、疲労も回復するので、与一と共に好んで食べている。一方、コタロウの方はライムギから作られた黒パンを取り出し、それをバクバクと食べていた。ワシらは前にライムギの黒パンを食べたことがあるが、薫り高く味わい深いが、歯ごたえがあるパンである。見た感じだと、コタロウの歯は入れ歯ではなく、全部自前の歯であり、顎の力もあるのか、余裕で食べていた


「ん、ワシの顔に何かついているのか?」


「い、いや、ライムギのパンをよく食べられるなと思って・・・・」


「フォフォフォ、ワシの歯が入れ歯だと思ったのか?残念ながら入れ歯ではなく全て自前じゃ♪」


「それは凄い。」


「伊達に鍛えてはおらぬからのう。」


「御見逸れしました。」


ワシらは昼餉を取り、休憩をした後、無農薬作りを開始した。用意したのは唐辛子・にんにく・酢・木酢液・焼酎等である。コタロウの指示に従い作り始めた。包丁で唐辛子やにんにくを細かく刻み、ボウルに入れて酢と木酢液と焼酎を入れ、そこに唐辛子とにんにくを混ぜた。酢と木酢液と焼酎の香りが鼻につく。出来上がったら、購入した霧吹き容器スプレーに入れて、それで完成した


「さて、完成じゃ。」


「今、かけるのか?」


「そうじゃ、虫が寄る前にな。」


コタロウは霧吹き容器スプレー口から霧のような水滴が出てきて、芽の上に注いだ


「それだけでいいのか。」


「ああ、程々がよろしい。」


そういうと馬で移動しつつ、噴射していき、時が経ち、最後の芽のところで噴射し、終了した


「さて、これで終わりじゃ。」


「忝い、コタロウ殿。」


「いやいや、ワシもちょうどいい暇つぶしができたわい、フォフォフォ。」


ワシと与一は作業を終えた後、ガルバ町へ向かうと、コタロウもついてきた


「コタロウ殿もガルバ町に用があるのか?」


「フォフォフォ、実はこの町にいる孫娘に用があってきたのじゃ。」


「え、それだったら我等に付き合う必要もなかったのに・・・・」


「いったじゃろう、暇つぶしじゃと、それにびっくりさせたいからのう♪」


「それでその孫娘がどこにいるのか、分かっておられるのか?」


「知らん。」


コタロウは、ハッキリと断言した。おいおい、ビックリさせる前に肝心の孫娘の居場所を知らないでどうするんだと言いたいが、あえて黙ることにした


「念のために聞きますが、孫娘の名前は何と?」


「フォフォフォ、そうじゃった。名前は・・・・」


「お爺様!」


ワシらが孫娘の名前を聞こうとすると、聞き覚えのある声がした。振り向くと、そこにいたのはユカリ・オリムラだった


「おお、ユカリ、久し振りじゃな。」


「お爺様、なぜここに!それにサコン殿、ヨイチ殿も!」


まさかユカリの祖父だとは思わなかったワシらは世間の狭さを感じざるおえなかった。そこでワシらはコタロウという老人との出会いや経緯を話した


「そうでしたか、お爺様がとんだ御迷惑を・・・・」


「いやいや、寧ろ助かっているくらいだ。」


「フォフォフォ、ところでユカリは今、どこで働いておるのかのう?」


「はい、今は娼館【イザナミ】の用心棒をしております。」


「娼館か、ワシも若い頃はよく通ってたのう。久し振りに行くか。」


「お爺様!」


「フォフォフォ、スマンスマン。」


祖父と孫の微笑ましいやり取りにワシらも和んだ。例の【ガルバトロズ】の一味の中にユカリが知った顔がいたようで、それ以来、元気がなかったが、久しぶりに元気な姿を見れて良かったが・・・・


「ところでユカリ殿、コタロウ殿は何者なのだ?我等にも気配を感じずに背後を取ったのだから。」


「あ、ああ、私のお爺様はかつては凄腕の剣豪でな、今は引退しているが・・・・」


「フォフォフォ、昔の話じゃ♪」


「左様か(タダ者ではないと思ったが、そういうことか。)」


「ところでユカリ殿はここで何をしているんだ?」


「あっ、そうだ。これから仕事場へ行くのだった!」


「フォフォフォ、そうかそうか、だったらワシも。」


「お爺様!」


「「ははは。」」


その後、ワシらは畑の成長を見守りつつ、農業用水の確保に向けて動いていた。はるか遠くに河川はあるが小さく、畑よりも遠くに離れて流れおり、どうにか畑の近くに持っていきたいが、小さい河川がここまで届くかどうか心配である


「その前にどうやってはるか遠くの河川を畑近くに運ぶかだな。」


「まずは人手ですな。」


「う~む。」


ワシは手付かずの金貨を使おうと考えていたが、塩の件もあるし、慎重に考えていた


「とりあえずはため池を作って凌ぐか。」


ワシらは周辺の土地にため池を作ることにした。そのための2ヶ所の穴を掘った。ワシも与一も時を費やしながら汗水流し、穴を掘り続けた。途中から梯子を用意しながら、幅を広げた。転生特典の【病気にかからない強健の肉体】のおかげか、昼夜問わず、精力的にため池作りに集中した。そして深さ(約6m)、面積(約1ha)ほどのため池用の穴が、我等2人だけで完成したのである


「左近様、ため池用の穴ができましたぞ!」


「あぁ、その前に用水路作りだな。」


「御意!」


ワシらはため池用の穴を作り終えた後、水路作りに着手した。深さ(約2m)&幅(約1m)ほど作り、畑近くまで掘り続けけ、ようやく1か所のため池専用の用水路を完成させた。ワシらは馬に乗り、反対方向のため池へと向かった。馬から降りて、同様に水路作りに着手した。ワシらは着々と掘り続け、ついに反対側の用水路を完成させ、両方のため池用の水止め板も設置した


「左近様、用水路が出来上がりましたな!」


「うむ、我等2人だけでようやく完成した!」


「左近様、水は如何いたしましょう。」


「水筒の水でやればよい。」


「御意!」


ワシらは水筒を取り出し、ため池用の穴に水を注いだ。水筒の水は途切れることなく、ため池に注ぎ込まれ、時が経ち、ようやくため池が1杯になった


「よし、反対側のため池にも水筒を注いでみるか。」


「御意!」


馬に乗り、反対方向のため池に到着した。ワシらは水筒の水をため池に注ぎ込んだ。時が経ち、ようやく反対方向のため池が1杯になった


「左近様、ようやくため池の完成にございますな。」


「うむ、だが用水路が機能しているかどうか確かめねばな。」


「では某は向こうの用水路へ参りますので左近様はこちらで。」


「うむ、到着したら合図を送ってくれ。」


「御意。」


与一は馬に乗って、反対方向のため池へと向かった。ワシは用水路に不備がないか確かめていると、向こうから狼煙が上がった。ワシは水止め板を外すと、ため池の水が用水路を通り、畑の方へと向かっていた。そして水が注がれた


「うむ、成功だ!」


ワシは水止め板を入れて、ため池の水の放出を抑えた。成功を確認した後、ワシは馬に乗り、与一のいる方向へと馬を走らせた。与一の姿を見かけると、与一もワシの姿を見かけ、手を振った


「左近様、こちらは無事に水を放出できました!」


「そうか、ワシの方もだ!」












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