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58話:開拓

島左近清興だ、ワシと与一は【ガルバ町】の近くの塩湖とその周辺の土地の開拓をしようとしている。数日間待ってから、内政官であるルナ・キサラギから正式に資金と証文等を提供された


「サコン殿、これが証文です。」


「忝ない。」


ワシは証文を確認し、国王であるロバート・シュバルツの姓名が記入され、玉璽ぎょくじで押された印がはっきりと証印されていた


「確かに。」


「サコン殿、ヨイチ殿、ご武運をお祈りします。では私はこれで。」


そういうと、ルナは馬車に乗り、王都へと帰還していった。残されたワシらはというと・・・・


「与一、これで足りるのか?」


「とてもじゃありませんが、足りませぬな。」


王国から提供された資金等はとてもじゃないが物足りない。ちなみに塩湖の大きさは面積【26㎢】、周囲長【21㎞】、最大水深【668m】、平均水深【280m】ほどの湖である。しかも塩分濃度が高く、溺れることも沈むことがなく、人の体が浮くことができるらしい。試しに一周すると徒歩で約4時間、馬に乗って移動すると約1~1時30分程の時がかかる。【ガルバ町】を除く、ススキ野原を含めて、広大な土地とも言える


「これらの土地を開拓すれば広大な田畑が出来るな。」


「ですが左近様、これらの土地を開拓するにも資金が足りませぬ、ここは使わずに貯めておいた金貨を使いましょう。」


「そうだな、あの金貨、どう使おうか悩んでいたが、まさかここで使う羽目になるとはな。」


結局、王国から褒美でもらった手つかずの金貨をここで使う羽目になった。それは置いといて、ワシらはまずススキ野原の伐採から始まった。ワシは日本刀を手元に出現させ、一瞬で切り裂いた


「はああああああ!」


与一も忍刀を両手に持って、一瞬のうちに多くのススキを伐採したが、とてもじゃないが一日で終わる量ではない。業を煮やした与一はススキ野原に火をつけ、燃やそうとしたがワシは止めた。【ガルバ町】が近くにあり、風向きで燃え移る可能性があったため、中止した


「与一、気持ちは分かるがこれはマズイ。」


「申し訳ありませぬ。」


「とりあえず、切り取る範囲までやっておこう。」


「御意。」


ワシらは夕焼けになるまでススキの伐採を始め、【ガルバ町】の近くにあったススキを粗方片付けた


「与一、今日はここまでだ。」


「ははっ!」


ワシらはススキ野原の伐採を終えて、【ガルバ町】へ戻った。そして朝になり、再び目的の場所へ向かい、ススキ野原の伐採を始めた。これを数日かけて行い、ワシらのいる周辺のススキ野原が全て伐採された


「左近様、向こう側は火をつけてもよろしゅうございますか?」


「うむ、そうだな。【ガルバ町】から離れているしな。」


ワシらは馬に乗って反対側の方へ進むと、嫌気が差すほどのススキ野原があった。与一は積年の怨みを晴らすが如く、火をつけてススキ野原を燃やした


「うむ、よう燃えておる。」


「これで我等の仕事も捗りますな。」


それから数日後、ワシらは塩湖周辺のススキ野原を全て伐採したのであった


「左近様、ようやくススキ野原を伐採いたしました!」


「うむ、だが問題はここからだ!」


「御意!」


そう、まずはこの湖だ。湖から塩を取るべく材料や人手がいる。そこでワシらは塩を作るための人手を募集をするためにギルドへ尋ねた。応対したのはビルデである


「塩を作る人手を募集したいと?」


「あぁ、塩作りに精通した者たちを呼んできてもらいたい。勿論、銭を出す。」


「はぁ~、分かりました。」


「では頼んだ。」


ワシらは農具等を購入し、開拓地へ向かおうとしたら、そこでベーカリーとバッタリ会った


「何だ何だ、お前ら農具なんて持って、畑でも耕す気か?」


「まぁ、そんなところだ。」


「へぇ~、お前ら2人がススキ野原を伐採しているって話は聞いたが、何をするんだ?」


「開拓だ。」


「開拓!それ本気で言ってんのか。」


「誠の事だ。」


「お前ら、もう用心棒稼業を辞めたのか。」


「今は休業中だ。」


「そっか、まぁ、頑張れや。」


「おう。」


ワシらはベーカリーと別れた後、目的地へ向かった。まずは土を耕さなければいけないが、なるべく塩湖から離れた場所へやらなければならない。塩湖による塩害で農作物が育たなくなるので、塩分が含まれない土地を調べた結果、だいぶ絞られた


「塩湖近くの土地は塩気が強く、離れた土地は問題ないみたいですな。」


「そうだな、久し振りだ。鍬を持つのは。」


「某も任務以外は田畑を耕しておりましたからな。」


「あぁ、牢人だった頃を思い出すわい。」


ワシと与一は鍬で土を耕し始めた。限られた土地を耕しながら、そこへアワ、ヒエ、ソバ、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ等、飢饉に強い作物を植えた。転生特典の水筒の水と肥料を使った


「よし、ここいらは耕した、よし次へ行くぞ。」


「御意。」


ワシらは馬に乗りながら、畑を耕し、水と肥料をやりながら種を撒いた。限られた土地での農作業が終わり、空はすっかり夕焼けになっていた


「与一、もう日が落ちつつあるな。」


「左様ですな。」


「では戻るか。」


ワシらは【ガルバ町】へ戻り、飯を食い、風呂に入り、娼館【イザナミ】に寄っていた。ワシはアリーナと一緒のベッドで寝ているとアリーナから開拓についての質問をされた


「ところで旦那、開拓の方はどうなってるんです?」


「ん、ああ、まあ、ぼちぼちだな。」


「旦那はこれからどうするんです?」


「そうだな、まぁ万が一のための手立てだな。仮に引退しても、それで食べていけるからな。」


「そう、それを聞いて安心した。」


一方、与一の方はウルザから例の開拓について質問された


「サコンの旦那とあの湖周辺の土地を開拓してるって本当なの?」


「あぁ、そうだ。」


「なんで旦那たちが?」


「他にやれる者がいないんだよ。」


「まぁ、旦那たちが2度とここへ戻ってこないよりはマシですけど。」


「ある意味、潮時かもしれんな。」


「潮時?」


「あぁ、左近様も某もここが潮時やもしれぬ。」


朝になり、ワシらは【イザナミ】を出た後、宿へ戻り、農具等を持って、目的地へ向かうと驚くべき光景を目にした


「左近様、芽が出ております!」


何と畑から目が出たのである。昨日、畑を耕し、水と肥料を与えたばかりなのに、もう芽が出ていた


「面妖な。」


「まるで狐か狸に化かされたような心地ですな。」


「まぁ、芽が出たのであればしっかりと育っているということだ。」


なぜ芽が出たのかについてだが、実は左近たちが転生特典の水筒の水を使った事で、種の成長が著しく、更に土地自体に例の水筒の水が浸透したことで、肥沃の土地へと作り替えたのである。そうとは知らない左近らはとりあえず、開拓を続行した


「与一、次は獣や虫や鳥に食われないようにせねばな。」


「左様ですな。」


「与一、忍具の中に獣避けの薬があったはず。」


「確かに獣避けはできますが、鳥や虫には効きませんからな。」


「うむ、それは困ったな。」


「お前さんらか、この土地を開拓してんのは?」


ふと見知らぬ男の声にワシらは振り向いた。するとそこに白髪白髭を生やした80代くらいの老人が立っていた。ワシも与一もこの老人の気配を感じなかった


「我等に何用か(一切、気配なく現れた。これはタダ者ではない。)」


「いや、この土地を開拓していると噂を聞いたのでな、良かったら教えてしんぜようか?」


「何がお望みだ?」


「フォフォフォ、望みなど、ありゃせんわ。要は暇潰しよ。ワシも旅から旅への生活を送っているからな。」


「不躾ながら貴殿の名は?」


「名乗るほどの者ではないが、コタロウというしがない爺じゃよ。」


「左様か、某はサコン・シマ、この者はヨイチ・ソウマにござる。」


「フォフォフォ、よろしくのう。」







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