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57話:新たな道

島左近清興だ、ワシらは今、ギルドにて、ある人物に会っていた


「サコン殿、ヨイチ殿、やってくれますか?」


「いや我等はあくまで武人であって、そのような事は専門外で・・・・」


なぜこのような事になったのかというと、ワシらは新たな任務がないかギルドへ寄ると、そこにシュバルツ王国の馬車と騎兵がいた。ワシらは不審に思いつつ、ギルドへ入ると、中にはギルドの長であるオークラ・ホールドと、シュバルツ王国の者と思われる立派な服装をした女子が話をしていた


「ん、おお、サコンさん、ヨイチさん、丁度良かった!」


オークラがワシらを見掛け、声をかけてきた。するともう1人も振り向きワシらを見据えた


「オークラ殿、如何された。それにそちらの御方は?」


「はぁ、こちらの御方は・・・・」


「サコン・シマ殿とヨイチ・ソウマ殿ですね。」


「「いかにも。」」


「申し遅れました、私はシュバルツ王国に内政官を務めるルナ・キサラギです。」


見た目は20代前半、黒髪の馬尾式髪型ポニーテール、切れ長の目、身長は165cmほどの色白碧眼の気品のある美人だった。しかもシュバルツ王国の内政官を務めるほどの才女である


「我等に何用で?」


「大事な話ですので、済まないがなるべく人目を避けたいのです。ギルド長殿。」


「あ、はい、さあ、こちらへ。」


オークラに案内され、会議室に入った。ワシらと内政管のルナ・キサラギだけを残し、ギルド長のオークラが退席した


「それで我等に何用でござるか。」


「はい、御二方は土地の開拓に興味はございますか?」


「「はい?」」


ルナから突然、土地の開拓の事を切り出された。ワシも与一も一瞬、呆気に取られたが、気を取り直してルナに向き合った


「無礼を承知でお尋ねいたすが、なぜ我等にそのような話を・・・・」


「はい、実は我が国では新たな土地の開拓や新田開発や殖産興業に乗り出そうと考えております。それだけではなく土地開拓のため多くの人材を欲しています。私がこのギルドへ訪れたのも人材を見つけるために参りました。」


「左様か、だが我等の他にもいたであろう。」


「おりません。」


はっきりとルナは断言した。話を聞くとこのギルドには土地の開拓に必要な人材はどうやらワシだけだったらしい。そして話が戻り現在にいたる・・・・


「サコン殿、ヨイチ殿、やってくれますか?」


「いや我等はあくまで武人であって、そのような事は専門外で・・・・」


「サコン殿、貴方は【為政者】の適正をお持ちとのこと、そしてヨイチ殿は【忍者】として様々な職業に従事し、優れた情報収集能力をお持ちです。」


「されど・・・・」


「サコン殿、ヨイチ殿、もしも御二方が仕事ができないほどの怪我を負われ、引退せざるをえなかったらどうしますか?」


ルナは脅しとも言える言動を取った。ワシらは警戒しつつ話を進めた


「ルナ殿、随分と物騒な事を申されるな。」


「申し訳ありません。私は仕事柄、多くのギルド会員を見て参りました。中には凄腕の武人もいましたが、その御方は深傷を負われ、仕事を引退せざるをえませんでした。他の仕事を探すにも他に適性がなく、結果、その御方は酒と薬に溺れ、犯罪を犯し、監獄の中で首を吊って亡くなりました。」


それを聞いたワシらはその武人に同情しつつも、いずれワシらも同じ運命を辿る事も考えていた。いやずっと前から考えていた。仕官という道もあったが前世の事もあって宮仕えに嫌気が差していた。武骨者のワシにできる事が誠にあるのか迷っていた


「サコン殿、ヨイチ殿、御二方については事前に調べました。御二方は多くの家から仕官の誘いがあれど、全て断っておられる。それは間違いありませんか?」


「あぁ、宮仕えは御免被る。」


「某の主は左近様であり、左近様に従うのみにござる。」


「そうですか、ならばこうしましょう。御二方は仕官せず、地主として活動しませんか?」


「地主・・・・つまり農民になれと申すのか?」


「いいえ、御二方が土地を開拓し、もし成果を上げれば、その土地をそっくりそのまま御二方の土地となります。その土地で農業でも商業でもご自由にして構いません。」


「それは領主のような者でござるか?」


「そうですね、まぁ領主とは土地を所有し貴族の爵位持っていると言った方がよろしいですね。地主は土地を所有しますが貴族の爵位を持っていません。まぁ、貴族になりたい者が献金すれば爵位を持てますが。」


「領主と地主の違いは爵位有り無しということか。」


「それでどうなさいますか?」


「一応、尋ねるが開拓する土地は遠いのか?」


「いいえ、この【ガルバ町】の近くにあります。」


「何と!」


「御二方はこの近くにある湖をご存じですか?」


ルナからそれを聞いて【ガルバ町】の近くにあった湖を思い出した。見た目は普通の湖だが、塩気が強く、飲み水に適さない迷惑な湖だと言われている。精々、荷物の運搬に使われるくらいだ


「あぁ、塩のようにしょっぱく飲み水に適さない湖だとか。」


「はい、その湖を含め、その周辺の土地を御二方に開拓してほしいのです。」


それを聞いたワシらは耳を疑った。湖の近くにある土地は辺り一面、ススキ野原であり、農地にするには相当な費用と時がかかる。するとルナがワシらの考えているのを見抜き、決定打を突きつけた


「心配無用です、開拓のための資金は王国が負担いたします!如何でしょう?」


これは一本取られたな。女子ながら、なかなかの策士と見えるな。ワシらはどうやらこの女子の掌で踊らされていたようだ


「一つ、お尋ねしたい。開拓した土地は我等の物にしてよいと申されたが、それは誠か?」


「はい、開拓に成功した暁には、そっくりそのまま御二方にお渡しします。」


「開拓した後、税の方は如何いたすので?」


「はい、開拓から1年間は税は取りません。2年後は3割、3年後からは4割いただきます。」


「すぐには返事はできぬ、明日お伺いしてもよろしいか?」


「はい、私供もすぐに返事を求めようとは思っておりませぬ。じっくりと考えてください。」


ワシらは会議室を出て、ルナはワシらにお辞儀した後、騎兵たちと共に、宿泊する宿へと戻っていった。ギルドに取り残されたワシと与一は明日の事を決めるために一旦、宿へ戻った後、ワシらが泊まる部屋にて話し合いが行われた


「左近様、例の女子の話、如何なさいますか?」


「うむ、与一は如何いたす。」


「左近様の仰せのままに。」


「そうではない、お主の誠の意見を聞きたいのだ。」


「・・・・某にいたしましては、あの女子の話、受けてもよいと思います。」


「ほお~。」


「左近様、恐らくあの湖は塩湖にございます。覚えておりまするか、任務のため、他国へ赴いた時に、塩湖で塩を作っていたことを・・・・」


「ああ、覚えておる。まさか湖から塩が取れるとは思わなんだ。この世界では海の塩だけではなく、岩塩という岩のように固い塩もあるからな。」


「左様にございます。この世界の塩は岩塩と海の塩が主流にございます。だからこそ湖から取れる塩は貴重にございます。それにこの国は塩湖の存在に気が付いておりませぬ!あの湖から塩を取れる人手と資金を手に入れれば、あの土地を開拓しても良いと某は思います!」


「なるほど。」


「それに左近様は現世にいたころ、領国の経営に関わっておられたはず。その経験を生かす好機やも知れませぬ!」


「ふ、ふははははははははは!よくぞ申した!与一、ワシは腹を決めたぞ!塩湖だけではなく周辺の土地を開拓し、我等の土地にするぞ!」


「ははっ!」


明日になり、ワシらはギルドにて再びルナと対面し、例の湖と周辺の土地の開拓の件を受けることにした


「此度の話、お受けいたそう。」


「そうですか、ありがとうございます。」


「ひいては証文を頂きたい。」


「証文ですか?」


「口約束では信用できぬからな。」


「分かりました。」


それを聞いたルナは早速、王都へ帰り、資金や証文等を用意するので、それまで【ガルバ町】で待機してほしいとのことである。ワシらは【ガルバ町】を出て、目的の塩湖とススキ野原の大地を見下ろしていた


「与一、ここからは土地を相手に戦をする時だな。」


「左近様、必ずや成し遂げましょうぞ!」





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