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55話:W勇者、脱獄する

ここはアバシリン刑務所、ここに二人の勇者が収監されていた。一人は島左近と共に勇者パーティーを作ろうと夢見るチャブム・ブレス、もう一人は女神の神託を受けたとほざく肥満体で頭髪は禿げ散らかした40代後半の勇者コバヤシ、この二人は今、懲罰房に入れられていた。どうやら二人は他の受刑者と問題を起こしたようで刑務官も呆れた表情で二人を見ていた


「また貴様等か、こうなったら、とことん折檻してやる!やれ!」


「ははっ!」


刑務官のリーダーが合図を送ると、上半身裸のチャブムとコバヤシに鞭打ち100回を開始した


「ギャアアアア!」


「ブヒイイイイ!」


「1回、2回、3回・・・・」


「もっと強く打て!」


鞭によって背中は皮がめくれ出血と鞭の打たれた跡がくっきり残った。チャブムは激痛により途中で気絶し、コバヤシは恍惚の表情になり、気色悪さが際立っていた


「98、99、100!」


「これに懲りたら問題起こすなよ!」


鞭うち100回が終わり、二人は懲罰房から出された。また同じことをやらされるのは困るので、チャブムとコバヤシは独居房にぶちこまれた


「くそ!あいつらが先に吹っかけて来たのになんで僕が!」


「ぶひひひひ、キモチイイ!」


「煩いぞ!おっさん!」


「何だと!クソガキ!」


「そうじゃないか!いい年して勇者名乗っている時点で、頭がおかしいんだよ!何が女神の神託だ、馬鹿らしい!」


「そっちだってサコンという奴の尻を追っかけているホ○野郎じゃねえか!」


「何だと!」


「やるか!」


「煩いぞ!懲罰房に入れられたいのか!」


「「ちっ!」」


独居房に入れられたチャブムとコバヤスは互いに罵詈雑言を浴びせ、一触即発になるところ刑務官が待ったをかけ、懲罰房という言葉を聞いた二人は喧嘩をするのを辞めた。そこからは互いに話はせず、顔を合わせずに寝転がる毎日を送った。だが二人はある共通の目的があった、そう脱獄である


「「(どうやって脱獄するか。でもこいつがいるからな)」」


脱獄を考えている両者は互いにどうしようか考えた。乱闘を考え、独居房に一人だけ入るという手もあったが、生憎アバシリン刑務所の独居房は人数が限られており、その手は使えなかった。そうなると両者の考えはただ一つ、脱獄のために互いに利用するか考えた


「「(こいつをどう利用するかだ、だがどうする。)」」


互いにどう切り出すか考えていると、先に仕掛けたのチャブムだった


「な、なあ、あんた。」


「何だ?」


「あんた、脱獄に興味ねえか。」


「脱獄?(俺と同じ事を考えてやがる。)」


「そうだ、ここにいたら間違いなく野垂れ死ぬだけだ。ここは協力し脱獄しねえか?(乗ってくれるか?)」


コバヤシはふと考えた。こいつも脱獄を考えているということは協力した方がいいんじゃねえか。流石に前回、自分の体型が原因で脱獄が失敗した。今でも前と変わらない肥満体につくづく嫌になる。いくら運動しても痩せない、やっぱり食事制限すべきかと考えると・・・・


「で、どうなんだ?」


「ああ、いいね。でも方法があんのか?」


「それはこれから考える。」


チャブムは独居房を見渡すと、鉄格子のついた窓を見つけた。人一人は何とか抜け出せるほどの広さがある


「あの鉄格子をノコで斬って脱出するってのは?」


「無理だ、俺はこの通り肥満体だ。」


「だったらさあ、下剤か何かで出すもん出したらどうだ?」


「・・・・そうだな、分かった。」


こうして二人の脱獄計画が始まった。まずチャブムはこっそりと工具からノコを盗み出した。コバヤシはというと刑務官監視の下、医務室に行き、下剤を処方してほしいと頼んだ。医者も前々からコバヤシの体型を気にかけており、下剤を提供した。コバヤシは下剤を服用し、トイレにこもりきりの生活となり、チャブムはこっそり盗み出したノコで鉄格子を少しずつ斬っていた


「よし一本外れた。」


チャブムは一本外れたことを喜びつつ、ばれないように糊などで軽く固定し、別の鉄格子を切り始めた。一方、コバヤシは下剤と運動と食事制限によってみるみる痩せていき、まるで別人かというくらいに変わった。それから数ヵ月の時が経ち、雨が降り終わり、雲1つない夜空、ついに脱獄計画が始動した。


「これより脱獄計画を開始する。」


「おう。」


チャブムは既に鉄格子を外し、そこへシーツを結んでロープ代わりにした。シーツを外から出し、地面につくと片方のシーツを切っていない鉄格子に結びつけた


「よし降りるぞ。」


まずチャブムはシーツを掴み、少しずつ降りていき、ようやく地面に足がつく。次にコバヤシがシーツを掴み、少しずつ降りていくが、途中でシーツがほどけ、コバヤシはそのまま地面に落ちて、尻餅をついた


「いったああ。」


「早く、ずらかるぞ。」


「くっ、分かったよ。」


チャブムとコバヤシはその場を離れ、刑務官の目を掻い潜りながら進んでいくと、遠くから警備犬を連れた刑務官を見つけた


「不味い、警備犬だ。」


「どうする。」


チャブムとコバヤシは隠れ、どう誤魔化すか考えていると偶然、雨によってできた泥を見つけた


「あの泥で誤魔化すんだ。」


「ばれなきゃいいが・・・・」


チャブムとコバヤシは全身を泥で覆い、何とか体臭を誤魔化そうとした。そして警備犬を連れた刑務官が通りすぎるのを待った。息を殺し、じっとしていると警備犬が止まった。ばれたかと思って身構えてると、警備犬は近くにあった木へ行き、用を足していた。チャブムとコバヤシはホッとしつつも、通りすぎるのを待った。警備犬を連れた刑務官が近づくに連れて心臓の鼓動がバクバクと鳴り響いた


「「(早く通りすぎてくれ。)」」


警備犬を連れた刑務官はそのまま通りすぎ、そのまま別の方向へ向かった。通りすぎるのを確認したチャブムとコバヤシはホッとした


「「はぁ~、助かった。」」


刑務官がいなくなった事でチャブムとコバヤシはそのままある場所へ向かった。そこは刑務所の金網フェンスだった。暗闇の中、刑務官の目を掻い潜りながら、金網フェンスに向かった


「おい、金網じゃねえか、本当にここで間違いないのか?」

「勿論・・・・あった、ここだ。」


チャブムが指差す方向を見ると一部だけ破損した箇所があり、人1人入れるほどの大きさがあった。チャブムは予め脱獄できる場所を探し、偶然見つけたのである


「おい早くしろ、刑務官に見つかるぞ。」


「そう急かすなよ。」


チャブムはなるべく音を立てずに破損した箇所を潜り抜け、何とか脱出した。次にコバヤシは破損した箇所を潜り抜けると、僅かばかり音を鳴らした


「おい、音が出てるぞ。」


「くっ。」


何とかコバヤシも脱出し、ついに2人はアバシリン刑務所を脱獄することに成功したのである。2人はそのまま走り出した


「やった!ついに脱獄できたぞ!」


「よし、勇者コバヤシの復活だ!」


「待っていてください、サコンさん!」


「女共、待ってろよ!」


朝日が昇り、受刑者が起床した。1人の刑務官は確認のため独居房を通りかかると、チャブムとコバヤシがいる独居房が無人であることに気付いた。しかも鉄格子が切れ、シーツが結びつけられた状態である


「脱獄だ!」


アバシリン刑務所中、警報が鳴り響いた。こうしてチャブム・ブレスとコバヤシは全国指名手配された。2人の手配書は全国にばら蒔かれ、【ガルバ町】にも届いた





島左近清興だ、ワシらは今、ある2人の手配書を見ていた。そう元勇者のチャブム・ブレスとコバヤシの手配書である


「あやつら、懲りずにようやるな。」


「左様ですな。」


2人とは因縁浅からぬ仲であり、2人が捕まったきっかけとなったのが島左近と颯馬与一である。アバシリン刑務所で大人しくしてほしいと思っていたが、奴等はただでは起きず、2人が協力して脱獄したのである


「「はぁ~。」」




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