54話:再会
島左近清興だ、ワシらは王都で宿を取っていたところ、【コパン村】の村長及び村人が捕らえられ、全員処刑されたと耳にした
「あの村、物を盗むだけではなくて人を殺めていたのですな。」
「あぁ、まさに自業自得と言うべき最期だな。」
ワシらは宿で一泊した後、荷物の準備を整え、王都へ出ようとしたところ、ワシはふと窓を見ると、宿の前に兵士たちが集まっていた。するとコンコンをノックする音が聞こえ、ワシらが許可を出すと、この宿の主人が尋ねた
「あのお客様、王宮から兵が御二方をお探しにございます。」
どうやら外の兵士たちは我等が目的のようだ。何の用かは分からぬが宿の者に迷惑をかけるわけにはいかぬな
「相分かった。ゆくぞ与一。」
「ははっ!」
ワシらは宿を出て外にいる兵士たちに会った。兵士の1人がワシらの方へ向かってきた
「サコン・シマ殿とヨイチ・ソウマ殿か?」
「「如何にも。」」
「陛下のお召しである。すぐに登城されよ。」
「相分かった。」
ワシらは兵士たちに従い、王宮へ向かった。心当たりがあるのかといえばあるな。ワシらは【コパン村】の事を国王に報告した後に、騎兵が派遣され、【コパン村】の村長及び村人が全員処刑され、【コパン村】は廃村となった。そうこうしている内に広間に到着しワシらは椅子に座った。ワシらは座りながら待っていると大臣が出てきた
「国王陛下、参内いたす。」
ワシらは椅子に座ったまま頭を下げ、国王が玉座に座るとと同時に大臣から頭を挙げるよう許可を得て、頭を挙げると仮面をつけた国王陛下が座っていた
「此度、献上品の護衛及び悪事を働く村の報告による褒美を与える。」
「「ははっ!有り難き幸せ!」」
ワシらは金貨1杯の袋を賜った後、国王は退席した。ワシらは王宮を出て、宿へ戻った。宿の主人がワシらを見かけ、早足で駆けつけた
「お客様、よくぞご無事で!」
「なあに、国王陛下より褒美を賜っただけだ。」
「何と!」
「ところで鍵を貰いたい。部屋に荷物を置いてきたからな。」
「は、はい!少々お待ちを!」
ワシらは宿の主人から鍵を貰い、部屋へ入った。金貨1杯の袋を無限収納箱に入れた後、荷物を背負った。鍵は宿の主人へ返した後、【ガルバ町】に向けて足を運ぼうとしたら・・・・
「サコン殿とヨイチ殿ではござらぬか!」
ワシらを呼び止める声に振り向くと、そこにいたのはブリュッセル辺境伯家に仕えるベル・クラウンだった
「久しいな、ベル殿。」
「ご無沙汰しております。」
「いや、まさか御二方がいらっしゃるとは思いませんでした!なぜ王都に?」
「あぁ、献上品の護衛の任務で訪れ申した。その任務も終わり、ガルバ町に帰還しようと思うております。」
「そうですか、もし良かったら旦那様にお会いくだされ!」
「はぁ、では挨拶だけでもしておこう。」
「ありがとうございます。」
ワシらはベルに案内され、ブリュッセル辺境伯家の邸宅へ向かった。その道中、セシリア嬢の事やその後ブリュッセル辺境伯家の状況等を聞いた
「手紙を呼んだが、まさかセシリア嬢と義弟殿が結ばれるとは思いもよらなんだ。」
「ええ、それに関しては私も驚きました。」
「いやあ人生、何があるか分かりませんな。」
そうこうしているうちにブリュッセル辺境伯家に到着した。先にベルが入ると、そこへブリュッセル辺境伯が出てきて、我等を迎えた
「おお、サコン殿、ヨイチ殿。」
「お久しゅうございます。」
「御無沙汰しております。」
「まあ、堅い話は後だ、中に入ってくれ。」
「いや、我等はご挨拶に伺ったまでにございます。」
「そう遠慮しなくてもよい、誰か御二方を丁重にもてなせ!」
結局、ワシらはブリュッセル辺境伯の接待を受ける羽目になってしまった。ブリュッセル辺境伯からワシらがなぜ王都にいるのか聞かれると、献上品の護衛の任務の事や献上品を狙った【コパン村】の事や、王宮へ参内し褒美を賜った事を教えた
「何と!では陛下が騎兵を派遣されたのは、そなたらの報告によるものだったのか。」
「我等もまさか献上品目当てに狙う村があるとは思いませなんだ。」
「いや、献上品は王国お墨付きの物、狙う輩も多い。それを必死で守ったこそ、陛下もそなたらの働きを認めてくだされたのだ。」
「畏れ入ります。」
「旦那様。」
そこへ屋敷の家令であるモールが入室した。なにやら申し訳なさそうな表情をしており、何事かとワシらも警戒した
「モール、客人の前だぞ。」
「はい、大変申し訳ありませんが、フランシス伯爵公とリスカルド伯爵公がお見えにございます。」
尋ねてきたのは、かつて献上品(鉄鉱石)の護衛の任務で共にしたドレイクの父であるリスカルド伯爵と、レイナの父であるフランシス伯爵が尋ねてきたようだ
「御当主様、我等は退席いたしますので、そちらを優先してくだされ。」
「そうか、すまんな。モール、御二方をお部屋までご案内せよ。」
「畏まりました。ではこちらへ。」
ワシらはモールに従い、部屋へ案内された。そこはかつて我等が寝泊まりしていた部屋であり、ワシらには勿体無いほど豪華な様相だったのを思い出す。部屋に到着し、入ると前と変わっておらず、清掃も行き届いていた
「どうぞごゆっくりと。」
モールが深く一礼すると部屋を退出した。どうやらこの屋敷で泊まる事になると確信した
「左近様、王都を出るのは明日ですな。」
「そのようだな。」
「「はあ~。」」
ワシらが同時に溜め息をつくと同時にノックする音が鳴った。ワシらは咄嗟のノック音に少しだが驚き、入室の許可を出した。入ってきたのはモールだった、再び申し訳なさそうな表情で・・・・
「どうぞ。」
「失礼します。サコン様、ヨイチ様、大変申し訳ありませんが、宜しいでしょうか?」
「如何された?」
「はい、フランシス伯爵公とリスカルド伯爵公が是非、御二方と御会いしたと申されまして・・・・」
「相分かった、御会いしよう。」
「誠に申し訳ありません。」
ワシらは再びモールに案内され、客間へ向かうと、フランシス伯爵公とリスカルド伯爵公がワシら見かけると、立ち上がった
「久しいな、サコン殿、ヨイチ殿。」
「まさかこの屋敷に滞在しているとは思っていなかったのでな。」
「「お久しゅうございます。」」
「まさかリスカルド殿とフランシス殿と知り合いだったとは私も驚いた。」
「はい、御二方の御子息と御令嬢が献上品の護衛を共にしてたもので。そういえばドレイク殿とレイナ嬢は御息災であられますか?」
「ああ、二人とも切磋琢磨し、前よりも逞しくなっているぞ。」
「私としては令嬢として、おしとやかになってほしいのだがな。」
「それは良かった。」
ワシらは二人が息災である事にホッとした。そこからはワシらが王都にいるのか聞かれ、ブリュッセル辺境伯同様、これまでの経緯を話すと、納得した表情で頷いた
「なるほど、それで合点がいった。なぜ陛下が騎兵を派遣されたのか気になったが、まさかそなたらが関わっていたとはな。」
「はい、我等もまさか村ぐるみで襲われるとは思いませなんだ。」
「そのおかげで献上品を狙う不逞の輩を一掃できた。陛下も大変ご満足であられたであろう。」
「畏れ入ります。」
「今日は目出度い。サコン殿、ヨイチ殿、今日は我が屋敷にて盛大なもてなしをいたす、是非、受けてほしい。」
「「謹んでお受けいたします(やっぱりな。)」」
結局、我等は屋敷で寝泊まりすることになった。もてなしにはフランシス伯爵公とリスカルド伯爵公も参加しており、我等の武勇伝を肴に盛り上がり、王都へ出るのは明日になった
「左近様、ようやく王都へ出れますな。」
「ああ、ようやくだ。しかも馬車まで用意してくだされた。」
ブリュッセル辺境伯の御厚意で馬車を提供され、我等はブリュッセル辺境伯とフランシス伯爵公とリスカルド伯爵公とその他諸々のお見送りされ、【ガルバ町】へ帰還するのであった




