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48話:ガルバトロズ

島左近清興だ、先日、示談の件が白紙になり、ワシらを襲った旅装束の男たちは牢の中で舌を噛みきって自害したと知らせが届いた。ワシらは示談が白紙になってから、すぐには行動を起こさず、放置していた


「うむ、手強いな。」


「左近様、次はどのような手を。」


「奴等が示談を白紙にし、仲間を見殺しにしてでも成し遂げたい目的があるのは分かった。恐らく奴等は一層、警戒をするだろう。我等の追跡にも気付き、ワシらの顔を奴等に知られてしまったからな。」


「左近様、某に考えがございます。」


「言うてみよ。」


「はっ!動物を使って追跡をいたします。」


「動物とは、忍犬や伝書鳩の事か?」


「御明察にございます。」


与一はどうやら動物を使っての追跡だった。身近な動物を使い、奴等に接近し情報を収集するのである


「しかし動物を使っての情報収集にも限りがあるぞ。」


「心配御無用、実は追跡できる動物を見つけ申した。」


「それは何だ?」


「はい、これです。」


与一が念じて出てきたのは、カラスと鼠と蝶と水晶だった


「カラスと鼠と蝶?」


「ははっ!これらの動物を使い、奴等を追跡し、この水晶で奴等の動向を報せまする!」


「何と!そのような忍具があったのか!」


「いえ、実は某も初めて知り申した。このような忍具があったとは某も驚き、改めて裏飯なる男の恐ろしさを知り申した」


それを聞いたワシは改めて裏飯という男の恐ろしさを知った。あの男はそこまで考えて我等に特典を与えたのかと思うと身震いしてしまった


「とりあえず使ってみるか。」


「御意、よし行け!」


与一の命でカラスと鼠と蝶が動き始めた。部屋から出ると、水晶が光り出した。そこから町の映像が出てきた


「おお、町の姿がハッキリと写っておる!」


「では奴等の止まっている宿へ向かいます。」


カラスと鼠と蝶は目的地へ向かった。カラスは鼠を足で捕えて運び、蝶もカラスの後を追って羽ばたいた。目的地の宿へ到着すると、カラスは外の見張りをさせ、蝶と鼠は僅かな隙間から侵入し、奴等の泊まっている部屋に侵入した。奴等の姿はなく、蝶と鼠はそれぞれ、人目のつかない隠れやすい場所へ潜んだ


「とりあえず奴等の部屋に入れたな。」


「ええ、後は奴等が帰ってくるのを待つのみ。」


ワシらが奴等か帰ってくるのを待っていると、水晶が光り出した。どうやら外にいるカラスが例の旅装束の男たちを捕えたようだ。男たちは宿へ入り、自分達が泊まっている部屋に入った


「左近様、奴等が部屋に入り申した。」


「うむ。」


鼠と蝶は人目のつかない場所に潜みつつ、奴らの動向を伺っていた。ワシらは水晶で奴らの言動に目と耳を傾けた


「今回も見つからなかった。」


「本当にこの町で合ってるのか?」


どうやら奴らはこの町にある物を探していたようだ。ワシらは引き続き、奴らの動向を探っていたが、仲間の一人が辺りをキョロキョロし始めた


「ん、どうした。」


「誰かに見られているような気がしてな・・・・」


男の一人がカーテンを開けて、窓を開けるがそこは何もなかった。男は怪訝そうに部屋中を見渡したが特に何もなかった


「気のせいだろう、あの一件以来、我等を付きまとう気配がないぞ。」


「だが・・・・」


「気にしすぎだ、本当にお前はデリケートな奴だな。」


水晶で奴等の動向を調べていたワシらは一瞬、ヒヤッとしたが、流石に鼠や蝶には気付いていないようだ。だが油断できんな、特にワシらの視線に気付いたこの男には・・・・


「地図を広げよ。」


奴等はテーブルに地図を広げた。蝶を使って覗いてみると、その地図は【ガルバ町】内が事細かに描かれており、ペンで印を書いていた


「町の地図ですな、それも正確な。」


「念入りに準備をしてきたと見えるな。」


「印を付けているということは、既に調べた箇所でしょうな。」


ワシらは連中の用意周到さと執念深さに脱帽した。最初は示談を申し込まれたが、最終的には仲間を見捨ててまで、この町に残る理由が何なのか・・・・


「何としても見つけるのだ。」


「そうだ、警備隊に見つかってしまえば、間違いなく大問題になるからな。」


警備隊に見つかってマズイ代物、一体何なのか気になるが、今はあやつらの動向が気になる。ワシらは徹底して奴らの監視を続けた。我等の気配に逸早く気付いた男は用心深く周辺を警戒している。警戒するのは良いが、相手は人間でなく動物なのだが・・・・


「さて、地図に記された場所は粗方、確認したが・・・・」


「本当にこの町で間違いないんだろうな。」


「何回も言わせるな!」


「静かにしろ、声が大きい。」


物事がうまく行かず、イライラを募らせる一行は人通りのない裏通りを進んでいた。進んでいくと、一行はとあるマンホールに着いた


「よし、開けろ。」


旅装束の連中はマンホールをバールで開け、鉄製の蓋を持ちあげ、どかした。連中は明かりとなるランプに火を入れて、一人ずつ中に入っていき、見張りとして何人か残っていた。マンホールに入る旅装束の一人に追跡用の蝶が見えない位置でくっついた。ワシと与一は奴らが下水道に入ったのを水晶で確認した


「左近様、奴らは下水道に入りましたな。」


「ああ、奴らのお目当ての代物が見つかるか。」


下水道に入った旅装束の連中は、下水道特有の悪臭と空気の悪さに苦しんでいた


「くせえな、本当にここにあるのか!」


「これは天のみぞ知るだ!」


旅装束の連中は下水道の奥へ進んでいく。道中にはドブネズミや蝙蝠といった害獣の妨害に遭いながらも目的の場所へと向かった。連中は目的の場所へ辿り着いたと同時に目の前にある壁をバールで崩し始めた


「慎重にやれよ。」


「分かってる。」


少しずつ崩していき、ようやく壁に穴が開くと、ある箱を見つけた


「おい、何かあるぞ!」


連中は箱を手にもって、広い場所へと運んだ


「開けるぞ。」


「あぁ。」


1人が箱を開けると、中には無数の金塊が入っていた


「おお、見つけたぞ!」


「ついに我等の目的が達する事ができたぞ!」


旅装束の連中は金塊を見つけ、大喜びしていた。追跡用の蝶によって左近らも金塊の存在を知ったのである


「まさか金塊とはな。」


「確かに警備隊に見つかったらマズイものですな。」


連中は金塊の入った箱を運び、そのまま地上へと運んだ。見張りをしていた者たちも金塊が見つかったことに狂喜した


「よし!金塊は山分けだな!」


「まて、まずはこの金塊を町から運ばねば。」


「そうだな。」


連中は金塊の入った箱を自分達が拠点としている宿に入り、自分達が泊まっている部屋に運んだ


「くくく。」


「おい、ヨダレが出てるぞ。」


「ヨダレがでない方が可笑しいぞ。」


「皆、一旦集合だ。」


例の男が呼び掛け、今後の方針を伝えた


「我等は見事、金塊を見つけ出した。多くの犠牲を払ったが、ようやく本懐を遂げることができた。」


男の宣言に皆、頷いた


「我等【ガルバトロズ】の名の元に!」


どうやらこの者たちは【ガルバトロズ】という組織の人間らしい


「左近様、【ガルバトロズ】って確か新興宗教団体の名前ですな。」


「表向きは人民救済を謳い、貧民を中心に慈善事業を行っているが、裏では麻薬の製造と売買を行っている犯罪組織だな。」


まさか犯罪組織が関わっていたとは驚きだが、こやつらを逃せば、金塊を犯罪の資金源にされる


「左近様、如何なさいますか?」


「うむ、警備隊に密告いたす。」


「ですが証拠も無しに密告なんて。」


「なあに、奴等の棲家を地図で記せば、良い話よ。」


「なるほど。」


ワシらは【ガルバ町】内の地図を作り、【ガルバトロズ】の隠れ家と金塊の存在を手紙にしたため、警備局に匿名で密告した


「何?【ガルバトロズ】が【ガルバ町】に潜んでいるだと?」


「ははっ!匿名ですが奴等の棲家として使っている宿と部屋の番号、この町で金塊を入手したと密告がありました。しかも地図まで用意しております。」


「うむ、ここまで念入りに準備をするとは、よし、直ちに警備隊を派遣せよ。」


「ははっ!」


警備隊は直ちに行動を開始し、【ガルバトロズ】の潜伏している宿へ着いた


「御用改めである。」


「は、はい。当宿に何か御用でも?」


「うむ、【ガルバトロズ】の一味がここに潜んでいると密告があった。よって部家を改めさせてもらう。」


「は、はい!」


宿の主人は親鍵マスターキーを警備隊に渡し、警備隊は静かに潜伏している部屋に集合した。試しにドアノブに動かすと鍵がかかっており、親鍵で鍵を開け、突入した


「御用改めである!」


警備隊が突入すると、金塊を袋に仕舞う一味と出くわした


「【ガルバトロズ】の一味だな、全員逮捕する!」


「なんで、警備隊が!」


警備隊によって一味は捕縛され、金塊は全て回収された。一味は1人を除き、警備隊に連れていかれた


「(くそ!)」


1人だけ食糧の買い出しに出て、難を逃れたが、仲間が捕縛され、金塊も回収された事で計画が失敗したのだ


「(ここに長居するわけにはいかぬな。)」


男は仲間を見捨て、単身で【ガルバ町】を去ったのである。その様子を追跡用のカラスを使い、男の姿を水晶で覗く左近らがいた


「左近様、どうやら1人だけ逃げ出したようですな。」


「あぁ、我等の存在に気付いたあの男、やはり一筋縄ではいかぬな。」








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