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40話:遭遇

島左近清興だ、ワシは今、虎が出没する現地へ向かっており、颯馬与一とベーカリー・ゴーンズと共にと虎退治である


「もうそろそろ着くころだ。」


「そうか、待ちくたびれたぜ!」


「ベーカリー、遊びに来たんじゃないんだ。」


「そうカテえ事、言うなよ。せっかくの男前が台無しだぜ♪」


馬車の中で軽口を言い合っている間、ワシはただならぬ気配を感じていた。先へ進むごとに殺気が溢れていた。恐らくだが虎が我等を探っているような気がする。奴は身を隠し、獲物である我等をどう料理するか考えているのだろう


「サコン、虎に狙われた気分はどうだ?」


そこへベーカリーが駆け寄ってきた。どうやらベーカリーも殺気に気付いたようだ。与一も警戒をし、いつでも戦闘できる態勢を整えている


「ああ、予想以上に手強い相手だな。」


「そうだな、俺が戦った虎の中で、一番ずる賢い奴だ。」


先程おちゃらけていた態度とは打って変わって、益荒男ますらおの表情をしていた。この男は虎だけではなく熊や猪や山犬(狼)等の獣を相手にしてきたらしいが今回は油断ならぬ相手だとベーカリーは肌で感じていたようだ


「グルルルル。」


その頃、虎は木の上から口から涎を垂らし、虎視眈々と新たな獲物を見定める。自分の領域テリトリーに入った侵入者をどう料理してやろうか考えつつ、隙を伺っていた


「奴はどこかで俺達を見定めている。草むらか、それか木の上か。虎にとっては狩りをする上で最適な環境だな。」


ベーカリーが周囲を見渡すと背の高い草むらや、森林が目についた。ワシも与一も虎の立場から考えるとまさに身を隠す事ができ、隙をついて攻撃でき、退却もできる環境が整えられていた


「あぁ、完全に向こうが地の利を得ているな。」


「左様にござるな。」


ワシらは現地の村へ到着すると、村の雰囲気が一瞬で分かった。活気がなく、誰もが下を向き、ワシらから見ても皆が絶望に陥っている事が手に取るように分かるのだ。すると村の代表者である村長らしき男がワシらの下を訪れた


「旅の御方、何か御用でしょうか?」


「う、うむ、我等は王命により虎退治に参った。」


「は、はあ~、虎退治ですか・・・・はあ~。」


そういうと村長は溜め息をついた。村長いわく、軍を派遣したが何の成果もなく、被害が増える一方だった。最近、また犠牲者が出たのだという。村の外で襲われたそうだ。村長曰く、村への襲撃はないとのことだ


「お悔み申し上げる。」


「いいえ、実は私たち、この村を捨てようと考えています。」


「村を捨てるだと?」


「はい、もう既に準備を済ませていたので、いつ出発するか話し合った後なのです。」


「行く当てはあるのか?」


「いいえ、ここにいるよりはマシですから・・・・」


そういうとワシらにお辞儀し、そのまま村へ入っていった。これは深刻な状態だと気付かされる、与一もベーカリーも村の醸し出す陰鬱な雰囲気に・・・・


「俺たち、あてにされてないようだ。」


「左近様、如何いたしますか?」


「どっちみち虎退治するしかないだろう。虎を仕留めねば更に被害が増えるぞ。」


ワシらは村長から寝泊りする家屋へ案内され、虎退治の拠点とした。食料は乾パンと金平糖の他に、事前に買い出しをした保存食を置き、これからどうするか作戦を考えた


「村に到着し、拠点となる家屋もできた。後は虎がどう出るかだな。」


「確かに獣が相手だと何を考えておるのか分かりませんからな。」


「ふふふ。」


「如何した?ベーカリー。」


「おいおい忘れたのか御二人さん、何のためにマタタビを持ってきたのかを?」


するとベーカリーはマタタビの入った袋を取り出した


「相手が狡猾な虎でも、マタタビの前では図体がデカイ猫だ。」


ワシと与一は互いに目配せしつつ、与一が尋ねた


「念のために聞くが誠に効くのか?」


「心配するな、一度だけマタタビを使ってみたが、虎の奴、完全に猫と同じような行動を取ったぞ。」


「ならいいが。」


ワシは半信半疑のまま作戦を練った。まずマタタビを焚き、その匂いで虎を誘き寄せ、奴がマタタビに虜になったところ、与一が麻酔針を装填した吹き矢を放ち、奴を眠らせたところで仕留めるという作戦である


「さぁ、勝負は一度きりだ。」


「そうだな。」


ワシらは早速、何もない土地にマタタビの束を置き、火を焚いた。するとマタタビの香りが辺り一面に広がった


「後はやっこさんが来るのを待つだけだ。」


ワシらは草むらに隠れ、様子を伺った。すると遠くの草むらが揺れ、注視すると一頭の虎が出てきた


「でけぇな。」


「さてマタタビに吊られるか。」


虎はマタタビに近付くと、香りを嗅いだ瞬間、ごろにゃんと寝転がった


「ほら、言ったろう。」


「どうやら誠のようだな。」


「仕掛けるか?」


「いや、まだだ。奴さんがマタタビの虜になるまで動くな。」


ベーカリーはまだその時ではないと慎重に行動した。ワシらはベーカリーの指示に従い、その時がくるまでじっとしていた


「ぐうううう。」


虎は完全にだらけきった顔をしており、その場から動かず寝転がっていた


「よし、今だ。」


ベーカリーの合図で与一が麻酔針を装填した吹き矢を虎に向けた。与一は狙いを定め、発射しようとしていた


「わーい♪」


「こら、待ちなさい!」


そこへ5、6歳ほどの男子と十代前半の娘が現れた。ワシらは突然、二人が現れた事に驚いた。勿論、虎も二人に気付き、警戒し始めた。娘は男子を捕まえると同時に虎の存在に気付いた


「ヒイイイイ!と、虎。」


娘は男子を抱き抱えつつも、虎の放つ圧倒的な威圧感を前に腰を抜かした


「くっ!」


与一が吹き矢を吹き、麻酔針を発射したが、虎は麻酔針の存在に気付き、虎は避けたのである


「くそ!」


ベーカリーが草むらから出て、虎と対峙した


「サコン、ヨイチ、二人を助けろ!」


ベーカリーは自分を囮にして、ワシらに二人を救出するよう伝えた。ワシらは二人を救出しようとしたら虎がワシらの方へ接近した


「おらっ!」


ベーカリーは大薙刀を振り回し、虎をワシらから遠ざけた


「与一、二人を安全な場所へ避難させよ!」


「はっ!」


ワシらは二人を保護し、その場から離れ、与一に命じて二人を安全な場所へと避難させた。ワシは手元に朱槍(短槍)を出現させ、ワシとベーカリーは虎を囲いこんだ


「グルルルル。」


虎はワシとベーカリーを威嚇しつつも、すぐには行動を移さなかった。ワシとベーカリーは互いに目配せしつつ、虎と間合いを取り出した


「ガアアアアア!」


虎はまずワシに襲いかかってきた。ワシは朱槍を構えつつ、手裏剣を出現させ、虎に向けて投げた。不意を突かれた虎だが手裏剣を寸前に避けた。ワシは隙を逃さず朱槍を振り回し攻撃すると虎はその場を離れた


「おりゃああああ!」


ベーカリーは大薙刀を振り回し、虎を攻撃した。虎は持ち前の瞬発力でその場を離れ大薙刀の刃から逃れた


「ちっ!図体がデカイだけじゃなくてすばしっこい奴さんだな。」


ベーカリーは舌打ちをしつつ、虎の様子を伺っていた。ワシも手裏剣を出現させ、いつでも射てる状態にした。虎の方はというとワシらを睨み付け、威嚇しつつ・・・・


「ガアアアアア!」


虎はワシらに目を付けず木登りをし始めた。ワシは手裏剣を投げ、胴体あたりに刺さる。虎は苦悶の表情を浮かべつつ、木登りをした後、木の上からワシらを威嚇していた


「虎はどこだ!」


すると村人たちが鍬や鎌等を持ち、駆け付けた。虎は隙を付き、ジャンプした。ワシとベーカリーは村人たちはの声に一瞬、気を取られ、虎の動きを見逃してしまった


「くっ!」


「来いや!」


「ガオオ!」


虎はワシらに目を付けず、そのまま森の方へと走っていった


「ちっ!逃したか。」


「奴は負傷はしている。血の跡もあるからな。」


ワシが投げた手裏剣によって負傷し、少量の血の跡が残っていた


「さて次はどう出るか。同じ手は二度は通じんぞ。」


ワシとベーカリーは次の手立てを画策しつつ村人たちは合流するのであった











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