38話:勇者2号再び
島左近清興だ、聖女を無事に故郷へ返し、任務も達成し、報酬も貰い、与一と共に娼館【イザナミ】へ立ち寄ろうとした時だった
「お前の事が気に入った!俺様と一緒に魔王を倒す旅の仲間に加えてやる!」
「断る!」
娼館【イザナミ】で用心棒を勤めていたユカリに、あの自称、勇者である40代後半の身長150cmの醜男がしきりとユカリを仲間に加えようとしたのだ。娼婦たちはあまりの恐怖と気持ち悪さに顔が青褪め、他の客たちもドン引きしていた
「左近様!あの男!」
「あぁ、あの男だな。」
一度見たら忘れらないほど肥満体で頭髪は禿げ散らかしており、赤と黄色の着物(赤い服と黄色いズボン)と赤マントを着けた自称、勇者の男、コバヤシを・・・・
「第一、魔王なんて存在するはずがないだろ!貴様の妄言に付き合っていられるほど私は暇ではない!」
「何を言っている!俺様は女神の神託を得ているんだ!俺様の旅の共に加えてやると言ってるんだ!光栄に思え!」
「何度も言ってるだろ!そんなもの、こちらから願い下げだ!」
「何だと!この!」
するとコバヤシはユカリの腕を掴み、無理矢理連れていこうとした。ユカリは振りほどこうするが、コバヤシの握力が強く、振りほどけなかった
「離せ、気色悪い!」
「ブヒブヒ!何だと、こうなったら、ちからづ・・・ブヒッ!!」
「えっ?」
自称、勇者の頭上に朱槍(短槍)の柄が直撃し、勇者は気絶した。勇者の背後には朱槍を持った左近が立っており、はあ~と溜め息をついた
「やれやれ、懲りない輩だ。」
「サコン殿!」
「ユカリ殿、災難だったな。」
「あ、ああ、忝い!」
自称、勇者は警備隊に連れていかれた。周囲の証言もあり、勇者は再び檻の中に入ったのである。勇者が警備隊に連れていかれた直後、そこへアリーナとウルザが駆け付けた
「旦那、本当に助かったよ、あの男、あまりにもしつこかったから、困ってたのよ。」
「ああ、なぜあの男がここに?」
「ああ、例のように魔王を倒すために女の会員を探してようで、そこで運悪くユカリが目をつけられたのよ。」
「はぁ~、魔王なんていないのに、あの豚、しつこくて・・・・」
「それにしてもあの男、よく出てこれたな。」
「小耳に挟んだんですが、あの男、この前の一件で罰金とギルド会員の免許停止処分で釈放されたって聞いたんですけど、あの様子だと懲りてないみたい。」
「此度の一件もあって、あの男はきっと免許剥奪の上、刑務所行きでしょうね。」
「救いようがありませんな、あの男。」
「あの男にも困ったものだ。」
その頃、自称、勇者コバヤシは免許を剥奪され、刑務所に入れられた。コバヤシは刑務所であってもふんぞり返っていた
「おうおう、新入りの癖に随分と態度がでけえじゃねえか?」
「俺たちに挨拶もなしか。」
そこへ刑務所に収監されている受刑者が続々とコバヤシの下へ集まった
「ふん、誰かと思えば社会のゴミどもか!」
「何だと!もう一度、言ってみろ!」
「何度でも言ってやる!俺様は女神より魔王討伐の神託を得た勇者、コバヤシだ!そんな俺様がなんで豚箱に入れられなきゃいけないんだ!」
「はぁん!勇者だと!」
「てめえのような豚野郎がか!」
「いい年して何ほざいてやがるんだ、オッサン!」
「何だと!ゴミどもが!」
受刑者たちは自称、勇者を名乗るコバヤシを嘲笑し罵倒した。激怒したコバヤシは受刑者に殴りかかった。そこから乱闘が始まった
「ぶふ!」
「おら!どうした!勇者なんだろう!」
「やりやがったな!こいつら!」
「うお!」
コバヤシは肥満体とは思えぬ身のこなしで他の受刑者を振り払った。そこから一人一人肥満体を生かしたボディー攻撃を繰り出した
「おい、こいつやるぞ!」
「この豚野郎が!」
「おい!そこで何をしている!」
そこへ刑務官が入ってきて、暴れる受刑者たちを警棒で叩きのめし、コバヤシも刑務官たちによってボコボコにされた
「この外道が!」
「ブヒィィィィ!」
問題を起こしたコバヤシ含め受刑者は懲罰房に入れられ、鉄鞭による棒叩き30回の罰を受けていた
「ブヒィィィィ!」
「気色悪いんだよ!この豚野郎!」
「ぐうう!」
「毎回、問題起こしやがって!この野郎!」
「いてえええええ!」
30回、棒叩きを済ませたコバヤシ含む受刑者は解放され、広場に捨てられた。コバヤシ含め受刑者は鉄鞭によって骨折し、身動きが取れずにいた、それを見ていた受刑者はコバヤシ含む受刑者に嘲笑と罵倒を浴びせた
「てめえらの脳味噌はミジンコ並か?」
「おいおい、ミジンコに失礼だろ(笑)」
「よう、調子はどうだ、クズども?」
コバヤシは激痛と屈辱に震えていた。なんでこんな目に合わなければいけないんだと。自分は女神の神託を得て、魔王討伐のために若い女のギルド会員を誘い、あわよくば、その場で若い女のギルド会員を手篭めにして自分のものにしようとする野望があるというのに・・・・
「新入り、お前、若い女のギルド会員を仲間にしたがっていたそうだな!あわよくば、その場で犯して自分のものにしようって魂胆だろう!」
「てめえの姿、鏡で見たことがねえのか!」
「いるんだよな、こういう勘違い野郎が!」
「ギャハハハハハハ!」
他の受刑者から馬鹿にされ、笑われた事でコバヤシのプライドはズタボロになった
「(くそおおお、俺様は勇者なんだぞ、お前ら底辺のゴミどもとは違うんだ。)」
心の底で受刑者を罵倒しつつも、鉄鞭によって背中の骨が折れて、身動き1つ取れなかった。その後、コバヤシは他の受刑者から度重なる嫌がらせを受けた
「おい、誰か水を持って来い!」
「水か!いいぜ、飲ませてやる!」
すると一人の受刑者がコップを持ってきた
「さっさと寄越せ!」
コバヤシはコップを取り上げ、一気に飲んだが、あまりの不味さに吐き出した
「ぐええええ!」
「ひひひひ、泥水はうめえか、ギャハハハハハハ!」
次にコバヤシが就寝中に受刑者たちが大量に持ち込んだ砂とタオルを使ったブラックジャックによる制裁を行った。コバヤシを口を塞がれ、身体中を取り押さえ、骨折中の背中に向けて、何度も殴打した
「(ブヒィィィィ!)」
骨折中の背中に何度も殴打されたことで激痛が走る。受刑者たちは気がすんだのか、制裁を辞めて、自分の寝床に着いた
「ブヒィィィィ!」
「煩いぞ!」
そこへ刑務官が駆け付けた。コバヤシは今、自分が受刑者たちに暴行された事を報告したが、刑務官の反応は冷たかった
「ふん、お前があのような態度を取ったからいけないのだろう、くだらないことで騒ぎを起こすな。」
「おい、待てよ!」
「早く寝ろ。もう一度、騒ぎを起こすなら懲罰房行きだぞ!」
刑務官はコバヤシの制止を無視して立ち去った。コバヤシの背後からは笑いをこらえる受刑者たち、コバヤシはこの世の地獄を味わうのであった
「くそ、こうなったら脱獄してやる。」
コバヤシは背中の傷が癒えた後、コバヤシは脱獄計画を画策した。こんなところにいては魔王討伐ができなくなる。世界を救えるのは自分なのだという使命に燃えるコバヤシ、刑務官と受刑者の洗礼を浴びつつ、着実に脱獄計画を立てていた
「おい、飯取ってこい!」
「はい、ただいま(自分で取りに行けよ。)」
コバヤシはひたすら従順に受刑者たちのゆうことを聞いた。受刑者もようやく、ここのルールに従うようになったと思っていた。刑務官も問題を起こさないコバヤシの態度に安堵した。しかしコバヤシの胸の内は脱獄計画に燃えていた
「あれだ。」
コバヤシが目をつけたのは肥溜め壺だった。あそこに隠れ、肥溜め壺を回収する農民と共に刑務所を出ることが出来る。そして農民が刑務所に入ったと同時に行動を開始した。農民は屎尿を回収し、次の場所へ向かうとコバヤシは肥溜め壺を開けた
「う、くせえ。」
しかしコバヤシは脱獄のために肥溜め壺に入ろうとした瞬間、ある問題が起きた
「あ、あれ、入らねえ。」
そうコバヤシは肥満体で腹の贅肉によって肥溜め壺に入らなかったのだ。おまけに屎尿があふれ出てしまった。コバヤシは何とか脱出を試みようとするが、腹の贅肉によって動かせず、つっかえてしまった
「くそ!」
「おい、何をしている!」
そこへ運悪く刑務官に見つかり、後に脱獄計画がばれてしまった。その後、コバヤシは脱獄容疑でアバシリン刑務所へ移送となったのである
「くそおおおおおおお!」
「煩いぞ!802番!」




