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37話:終着

島左近清興だ。我等はようやくルーミアとマリナの故郷である【ビスカル町】に到着し、ルーミアは無事に両親と再会できた。ルーミアの口から故郷に帰る前の経緯を語った。それを聞いた両親はクリミア王国の身勝手さに激怒した


「何て勝手な国だ!ルーミアが聖女に認定された途端、強制的に連れていった挙句、王太子が浮気相手と結婚するためにルーミアに濡れ衣を着せて、婚約破棄したあげく暗殺を企んでいたなんて!」


「ああ、こんなことになるんだったら、ルーミアと一緒に逃亡すれば良かった。」


ルーミアの両親は娘をクリミア王国に奪われた怒りと後悔で胸がいっぱいだった。そんな両親を見たルーミアと修道騎士のマリナは何とか二人を宥めた


「まあまあ、おかげで父さんと母さんに会えたんだから、それに私は婚約破棄して良かったと思ってるの!王宮の生活なんて窮屈だし・・・・」


「その通りです。それに偽聖女をたてようとしたクリミア王国は天変地異が相次いで国民が逃亡し、もはや滅亡寸前まで追い込まれているのです!」


「そうですか、それを聞いた胸がスカッとしました!」


「娘を蔑ろにした罰だわ!」


クリミア王国が滅亡寸前に陥っておる事を知った両親は我が事のように喜んだ。やはりクリミア王国の横暴さに不満が溜まっていたようだな。国が相手なら泣く泣く手放さざるおえなかったのもあるようだ


「でもこうしてルーミアに会えたのも皆さんのおかげです、本当にありがとうございます!」


そう言うとルーミアの両親はワシらに頭を下げた


「お気になされるな、我等は役目を果たしたまでの事。」


「それにルーミア殿をクリミア王国より連れ出したのはマリナ殿です。」


「そうでしたか、ありがとうございます。」


「滅相もありません。私は前々からクリミア王国のやり方が気に入らなかったので・・・・」


「皆さん、本当にありがとうございます。御礼といってはなんですが、今日は我が家へお泊まりください。」


「いや、流石にそれは悪うござるよ。」


「いいえ、貴方方は娘の命の恩人、町全体で御礼をいたします!」


そこまで言われて、流石に断るわけにはいかず、ワシらは受けることにした。今日はルーミアの家に泊まることになった。マリナは実家へ帰るようで別々に別れた。すると突然、与一がルーミアにある質問をした


「ルーミア殿、ちょっと聞きたい事があるのだがよろしいか?」


「はい、何でしょうか?」


「前々から聞きたいと思っていたのだが、ルーミア殿は修道院に入るために町を出たと申されましたな。この町には修道院がないのでござるか?」


「えぇ、残念ながら。」


「それは何ゆえに?」


「はい、【ビスカル町】は元々、聖女を守るために作られた町なのです。聖女を狙う魔の手から守るために天然の要害の地にて匿いました。この町に修道院がないのは聖女を守るために、あえて作らなかったと言うのが【ビスカル町】の真の目的だったのです。」


「聖女を守るためにあえて修道院を作らなかったか、聖女の仕事はどうしてござったのか?」


「はい、地下に秘密施設を作り、そこへ聖女専用の祈祷場を作り、そこで聖女の仕事をしていたとされています。また聖女を魔の手から守るための避難施設として役割を果たしました。」


「聖女というのはそれほどの価値があったのですな。クリミア王国が天変地異に見舞われたのも聖女の力の影響があったのか。」


「はい、神託に選ばれた聖女の力は国を動かし、聖女を巡って戦争を起こしたと記録に残っているほど重要視されてきました。」


「ほぉ~、聖女に選ばれた女子たちは大変な思いをしていたのだな。ルーミア殿もさぞ大変だったのであろう。」


「これも天命というほかありません。」


ワシもそばで聞いて聖女の存在は個人だけではなく国をも動かす存在である事を改めて思い知らされた。もし邪な考えを持つ者に利用されでもしたら大変な事になる。聖女の存在を隠すために、修道院をあえて作らなかったか・・・・


「恐ろしきものよ。」


その後、ワシらはルーミアの両親に招かれ、町全体でパーティーが行われた。別々の地区の者が一斉に集まり、急ピッチで会場をセッティングし聖女の帰還と、聖女を守った護衛のため開かれたパーティー、ルーミアは勿論、ワシや与一、そしてマリナも含めて町全体で厚遇された。すると町長のノリスが乾杯の音頭を取り始め、ワシら全員に飲み物が配られた


「此度は聖女様の帰還、そして聖女様をお守りした人々のために乾杯の音頭を取らせていただきます、では乾杯!」


「「「「「乾杯!」」」」」


町長の合図とともに全員が乾杯をした後に、ワシらも共に飲んだ。それからどんちゃん騒ぎで、ワシらに酒が振る舞われ、聖女であるルーミアは人々から握手とサインを求められた。マリナは懐かしい旧友と談笑をしていた


「左近様、随分と騒がしくなりましたな。」


「ああ、この町から聖女を輩出し、戻ってきたんだ。彼の者たちの喜びようは推し量れぬな。」


「さあさあ、サコン様、どんどん飲んでくだされ!」


「では、いただこう。」


ワシらは町全体の歓迎を受けつつ、次の日は二日酔いに苦しみつつ、【ビスカル町】に滞在した後に、荷物を纏め、【ビスカル町】を去ることになった。ルーミアやマリナを始め町の人々が見送りにきてくれた


「サコンさん、ヨイチさん、本当にありがとうございました。」


「この御恩は一生、忘れません。」


「ルーミア殿、マリナ殿、町の衆の方々、手厚いもてなし、ワシも与一も生涯忘れませぬ。」


「どうかお元気で!」


「「「「「さようなら!」」」」」


左近と与一は最後の別れの挨拶を済ませた後に、真っ直ぐ【ガルバ町】へと帰還するのであった





そのころ、クリミア王国は完全に滅亡し、元王宮と城下町は完全に廃墟と化していた。廃墟と化したクリミア王国に未だに住み続ける者がいた。そうクリミア王国最後の国王であるソテロ・クリミアである


「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


ソテロは神の逆鱗に触れ、3つの呪い【永遠の命】【永遠の苦痛】【弱体化】にかかっており、【永遠の苦痛】の呪いが再びソテロを襲い掛かったのである。やがて【永遠の苦痛】の効力が静まり、ソテロは仰向けになった


「うう、誰か・・・・助けてくれ・・・・・」


ソテロは助けを求めるが、誰も助けを求める者はおらず、ソテロの命乞いは誰の耳にも届かなったのだ。ソテロは【弱体化】の呪いによって、心身ともに衰弱していった。しかし死ぬことができない【永遠の命】によって命を繋ぎ止めていた


「ソテロよ。」


そこへ神がソテロの脳内に語り掛けた。ソテロは直接脳内に語り掛ける神に向かって命乞いをした


「神よ、私が間違っておりました!」


「ほう、前と比べて殊勝になったのう。」


「全て私が悪うございました。」


「うむ、心から反省しておるようだな。」


「で、では。」


「だが、それとこれとは別だ。罰は受けてもらうぞ。」


「ふ、ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


それを聞いたソテロは神の言葉に激怒した。いつまでこの地獄を味わうのかと、もう十分だろうと神を罵り続けた


「貴様、私は国王だぞ!」


「正確には国を滅ぼした元国王だろ。」


「黙れ!」


「ふん、やはり反省していなかったか。ではこうするか。」


そうするとソテロは体に違和感を覚えた。足のつま先から激痛が走ったのである


「な、何をした。」


「ふん、貴様には【腐食化ふしょくか】の呪いをかけた。貴様の体は徐々に腐っていき、やがては全身にいたる。神を侮辱した罰だ。」


それを聞いたソテロは肌が血色を失い、神に許しを乞た


「申し訳ありません!今のはわざとではないのです!どうかお許しを!」


「黙れ、貴様はこのワシを再び怒らせたのだ。せいぜいこの世の終わりまで苦しむがよい。」


「神よ、どうか御助けを!御助けをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


その後、ソテロの体は完全に腐り、弱体化によって少し当たっただけで激痛が走り、更に永遠の苦痛と永遠の命によってソテロは生き続けるのであった







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