35話:天罰
島左近清興だ。今、我等は追手たちの監視をしていた。与一は追手たちが泊まっている宿を見張り、情報収集をするとある情報を持ち帰った。どうやらクリミア王国が天変地異に遭い滅亡寸前に陥っている事を知ったワシとルーミアとマリナは・・・・
「クリミア王国が天変地異で疲弊しているだと?」
「はっ!どうやらそのようになっているようで、追手たちは逃亡計画を立てておりました。」
「まさか、国でそのような事になっていたなんて・・・・」
「ルーミア様、これは天罰です。ソテロが神託を蔑ろにした結果です。どうかご自分を責めないでください!」
「ええ。」
クリミア王国が滅亡寸前に陥っている事を知ったルーミアは神殿の人々や国民たちの事を心配していた。婚約破棄や暗殺を仕向けたソテロによって、神の逆鱗に触れ、国は滅亡寸前、真っ先に被害を受けたのは国民である。ルーミア自身もまさか本当に天変地異が起こるとは思っておらず、自責の念に駆られていた
「ルーミア殿、奴らの話では国民と神官たちはクリミア王国を捨てて逃亡したそうだ。」
「本当ですか!」
「ああ、もはや国に残ってるのは王族と一部の貴族だけだそうだ。」
「そうですか、良かった。」
「ルーミア様、これでクリミア王国の呪縛から解き放つ事ができました。もう自由です!」
「ええ!良かった・・・・」
「ルーミア様、如何なさいましたか!」
「ううん、嬉しくて・・・・」
ルーミアは安心からなのか嬉し涙を流した。神託によって聖女認定され、クリミオ王国に無理矢理連れてこられ、無理矢理婚約をさせられ、無理矢理婚約破棄され、そして暗殺される寸前で姉のように慕うマリナに連れられて国を脱出した
「ルーミア殿、追手がいなくなるまでの辛抱だ。」
「はい、待ちます!待ち続けます!」
そのころ、追手たちは買い出しを済ませた後、それぞれ逃亡先を決めて、【ドリトル町】を出て、散り散りばらばになった。それを確認した与一は鳩を使って報告した
「来たか!」
左近は早速、鳩を回収し、足に括り付けてあった手紙をほどき、広げた
【追手、反対方向、ばらばらで行く】
「よし。」
ワシは早速、ルーミアたちも下を訪れ、与一の知らせを伝えた
「追手がいなくなったのは本当ですか!」
「誠の話だ。」
「良かったですね、これで一安心にございます!」
すると扉からコンコンと音がなった。ワシは扉の前に立ち、門鏡を覗くと、そこには与一が立っていた
「与一か。」
「御意。」
「よし入れ。」
「はっ!」
与一が入り、改めて追手がワシらが目指す方向とは逆の方向へ散り散りバラバラと出ていった。追手の心配がなくなったことでワシらも自由に行動できるようになった
「ルーミア殿、体の方はどうだ?」
「はい、熱も冷めて、体の方も楽になりました♪」
「それは良かった。」
「それで出発の方はいつに?」
「うむ、明日にしよう。その前に買い出しをせねばな。」
「「はい!」」
その後、左近らは買い出しを済ませ、宿で最後の一泊をした後に、島左近ら一行は【ドリトル町】を後にするのであった
その頃、クリミア王国では先王ホイットニー・クリミアの葬儀で問題が多発していた
「なぜ葬儀を盛大にやらないのだ!」
「畏れながら全ての国民は逃亡し、国庫も少なくなっております。王の葬儀には莫大な費用がかかりますゆえ、質素に行います。」
「余の父だぞ!余は国王だぞ!これは王命だ!」
「・・・・なら御勝手になされよ。」
「どこへ行く!」
「本日限りでお暇致します。もはやこの国に未練はありません。」
「貴様、国恩は忘れたのか!」
「今の国の状態では、恩など役に立たん。貴様には愛想が尽きたわ。」
「何だと!」
「これにて失礼する。」
「まて、待つのだ!」
ソテロの制止を聞かず、家臣たちはクリミア王国を出ていき、他国へ落ち延びていった。貴族たちも自分達の領地へと帰還し、残されたのはソテロただ1人だけだった
「くそ!こんなはずでは・・・・」
ぐうううううう
「くっ、おい、余は空腹だ!食事を用意せよ!」
もはや誰もいない王宮に空しく響いた、ソテロは仕方なく調理室と食糧保管庫へ向かったが、既に食糧はなく、残骸のみが残っていた
「くそ!」
腹が減っていたソテロは食べ物の残骸を食すしかなかった。それでも足りず、ソテロは王宮を出て、城下を散策し食糧を探したが、どこにもなく、ソテロは途方に暮れていた
「なぜだ、なぜ余はこんな目に・・・・」
ソテロは自分の不幸を呪い続けた。幼い頃に母である王妃が亡くなり、自分の婚約者を勝手に決められた。神託で選ばれた聖女というが最初から信じていなかった。父からは仲良くしろと言われたが、それを無視し、聖女を無視して、好きな女の下へ通い詰めた。自分を諌める口煩い家臣たちを遠ざけ、自分に都合のいい家臣をそばに置いた。父からは特に何も言われず、ソテロは好き勝手に振る舞った
「それもこれも全部、ルーミアが悪いんだ!」
ソテロは自分の不幸な出来事は全てルーミアのせいだと逆怨みした。やり場のない怒りを、この場にいないルーミアにぶつけることしかできなかった
「くそ!誰かおらぬのか!国王のお出ましだぞ!」
力一杯叫んでも、誰も反応せず、ソテロの叫びのみが響いた
「喧しいぞ。」
「だ、誰だ!」
突然、声が響き、ソテロは辺りを見渡したが誰もおらず途方に暮れていると・・・・
「ソテロよ。」
「誰・・・・うわぁ!」
上空から声がして、見上げると、そこには巨大な男の顔がソテロを見下ろしていた。男は立派な髭を蓄え、髪は白く、威厳に満ちていた
「な、何者だ!」
「我は神なり。」
「か、神だと!」
突然、神と名乗る男にソテロは愕然とした。まさか本当に神が存在しているとは思わなかったのだ
「何しに現れた!」
「ソテロ、貴様は神託を蔑ろにし、偽の聖女を立てた事、断じて許しがたし、それゆえ、貴様に罰を与えたのだ。」
「な、何だと。」
「ソテロよ、貴様の父と想い人は今、地獄におる。」
「父上とモニカが!」
「そうだ、貴様の悪行を見て見ぬふりをした父親、聖女に成り代わろうとした思い人、その者たちは無限地獄にて今でも刑に服している。」
「な、何だと。」
「ソテロ、貴様のした事が国を滅ぼす結果を生んだのだ。」
「そ、それは・・・・それはルーミアが悪いんだ!あの女のせいで・・・・」
「大馬鹿者が!自分の罪を棚にあげて聖女に罪を擦り付けるとは!」
神は憤怒の形相でソテロを睨み付けた。ソテロはあまりの迫力に尻込みをした
「貴様に呪いをかけてやる。生き地獄と言う名の呪いをな!」
神がそう言い放った後に、黒雲が上空を覆い、ゴロゴロと雷が鳴り響いた。ソテロは雷に怯え、恐怖ですくんで動けなかった。すると1寸の稲妻がソテロに目掛けて落ちたのである
「ギャアアアアアアアアア!」
稲妻を受けたソテロは、激しい痛みと苦しみを味わい、力尽きて倒れた
「ソテロよ、貴様にかけた呪いは、【永遠の命】と【永遠の苦痛】と【弱体化】の呪いだ。地獄の苦しみを味わいつつ、永遠に生き続けるのだ。それに【弱体化】によって貴様の力は病人や子供にも劣るほど貧弱になる。それが貴様に課せられた呪いだ、よう覚えておくがよい。」
神はそう言い残した後、そのまま消え、黒雲が綺麗さっぱり無くなった。残されたソテロはというと・・・・
「いてえええええええ!」
早速、激痛が体を襲った。ソテロは激痛が収まるまでジタバタするしかなかったのである。そして激痛が収まり、ソテロは息が乱れ、地べたを這っていた
「だ、誰か助け・・・・ギャアアアアアアアアア!」
再び激痛が襲い、ソテロはまさに生き地獄を味わうのであった
「呪いを思いしれ、愚か者め、フハハハハハハハ!」




