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32話:異変

島左近清興だ、ワシは与一と共に髪を黒く染めて、髪型と服装を変えた元聖女であるルーミアと修道騎士のマリナと共に彼女たちの生まれ故郷まで護衛をすることになり、馬車に乗り、旅を続けていた


「故郷と言っても追手が来る可能性があるが大丈夫なのか?」


「はい、私の故郷は天然の要害に恵まれた土地で、元々、私が修道女になったきっかけも、私が神に仕えるために故郷へ離れ、修道院に入ったのがきっかけですから。それにクリミア王国の人々も私の故郷を知りませんし。」


「なるほど。」


「されど追手を差し向けていることは事実です。ソテロは目的のためなら手段を選ばぬ男、油断はできません。」


マリナの言う通り、追手はルーミアとマリナを血眼になって探していた。まさか祖国が天変地異が起きている事を知らず、二人を亡き者にしようとする追手は【ガルバ町】に到着した。【ガルバ町】の門番は追手の対応をした


「何だ、あんたらは?」


「金髪と赤髪の女は来ているか?」


「あぁ、うちには色んな髪をした女がいっぱいくるよ。」


門番はいかにも胡散臭いこの集団に適当に答えた。追手たちは話し合った結果、確認のために【ガルバ町】に入ることになった


「なら入れて貰いたい。」


「その前に通行証だ。」


「ちっ、ほらよ。」


「通っていいぞ(問題起こしたら、問答無用で捕縛してやる)」


追手は【ガルバ町】に入り、ルーミアとマリナをくまなく探していた。追手の一人がギルドに訪れ、ビルデにルーミアとマリナの事を尋ねた


「金髪と赤髪の女性ですか?」


「ああ、このギルドに来ているだろうか?」


「当ギルドには様々な人がお越しになります。金髪や赤髪の御方も多く見かけますし・・・・」


「そうか、邪魔をしたな。」


追手はギルドを去った途端に、ビルデはホッとした


「もしかして、あれが追手かしらね。」


実は事前にルーミアたちから追手の事を聞いており、適当にはぐらかしたのである。ビルデはルーミアたちの安否を気遣いつつ、今日もギルドの職務を全うするのであった。次の追手の行ったところは娼館【イザナミ】だった。女用心棒のユカリ・オリムラが対応していた


「金髪の女と赤髪の女を見なかったか?」


「ウチは金髪と赤髪の娼婦はいっぱいいるが?」


「そうか、邪魔したな。」


追手が【イザナミ】を去った後、ユカリは周辺を確認した。そこへアリーナが出てきた


「行った?」


「ええ、追手はこの町にも来たようね。今のところ、奴らの気配は感じなかったが・・・・」


「あの娘たち、無事にいてくれるといいけど・・・・」


追手は【ガルバ町】一帯を探し回ったが、ルーミアとマリナの探索を続けたが、手掛かりがなく、公園に集まり、互いに状況報告を行った


「おい、見つかったか。」


「見つからなかったぞ。」


「金髪や赤髪の女を見つけたが人違いだった。」


「くそ!」


「もしかして別のところへ行っているのではないか!」


「そうとしか考えられないな。」


追手は【ガルバ町】で買い出しを済ませた後、【ガルバ町】を出発する準備を進めた。とりあえず若い女二人がどこへ向かったか、あちらこちらに聞いたが、若い女二人が行く方向がまちまちで、追手たちは悪戦苦闘するのであった






一方、クリミア王国では天変地異が相次ぎ、各地で飢饉や旱魃が多発するだけでなく、現聖女モニカが雷にうたれて死んだことが城内だけではなく城下にも広まった


「今年は農作物や魚介が全滅したってよ。」


「仕事がクビになっちまったよ。」


「ウチのおっかあが喘息ぜんそく持ちだから外に出れねえよ。」


「それよりも聖女様が雷にうたれて死んだそうだ。」


「聖女って確かモニカ様だったよな。」


「前の聖女様はどうした?」


「さあな、最近見てないから分からねえ。」


「おい、役人が来たぞ!」


クリミア王国内で飢饉と旱魃が多発したことで真っ先に被害を受けたのは農民たちだった。農民たちは何とか自分たちの食糧を守るべく、役人たちに年貢の免除を嘆願した


「どうかお願いします。」


「農作物が火山灰によって作物が全滅しました。どうか年貢の免除を・・・・」


「ならぬ!年貢は払ってもらうぞ!」


「どけ!」


「みんな食糧を守るんだ!」


農民は自分たちの食糧を守るべく役人たちを押しとどめたが、役人の一人が業を煮やし、剣を抜いた


「邪魔だ!」


「ギャア!」


役人は農民の一人を切り殺した。それを見た農民たちはこのままだと自分たちが切られると思い、役人たちを殺そうとした


「殺せ!役人どもを殺せ!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」


「し、静まれ!」


「や、辞めろ!」


役人たちの制止を聞かず、農民たちは役人を滅多打ちにした。役人は命乞いをしても、農民たちは聞く耳を持たず、ついに息の根を止めてしまったのである


「とうとうやっちまったぞ。」


「ここにいたら間違いなく処刑か、飢え死にだ。」


「こうなったら逃げよう。」


「そうだ、食糧をもって逃亡だ!」


「自由のために生きるんだ!」


「「「「「おおおおおおおおおおお!」」」」」


クリミア王国内の農民たちは食糧を馬車に乗せて、クリミア王国を脱出することにした。役人たちが止めに来る可能性を考えて、武器を手に取り、隣国であるシュバルツ王国へと向かう。他の民たちもこの国にいたら間違いなく死ぬと悟り、他国へ落ち延びるのであった。役人たちは逃亡する民たちを止めようとしたが、民たちも武器で対抗し、役人たちを殺して国を脱出するのであった


クリミア王国に残っている民たちは此度の天変地異は神託で選ばれた聖女ルーミアを廃した事への天罰だと噂されるようになり、やがて人から人へと伝わり、クリミア王国はもう終わりなのではと噂されるようになり、ソテロの耳にも届いた


「くっ!好き勝手いいおって!」


「殿下、どうかお静まりを!」


「喧しい!元を正せばそちらがルーミアを暗殺するよう進言したことが発端ではないか!」


「「「「「も、申し訳ありませぬ!」」」」」


側近らは自分達の軽率な発言をしたことを後悔していた。元を正せばソテロがモニカを寵愛し始めた事が発端なのだが、誰も言い出せずにいた。何も言わない側近たちに益々イライラを募らせ、近くにある雑貨を投げ捨てたのである


「くそ!まだ見つからないのか!」


「全力を持って探索を続けております!」


「そんなことは聞いてない!」


すると1人の側近がある事を思い出したのである。ルーミアと共にクリミア王国を脱出したマリナ・スカルノの事である


「お、畏れながらマリナ・スカルノの事にございますが・・・・」


「何だ?」


「もしかしたらマリナ・スカルノの故郷へ行ったのはではないでしょうか?」


「マリナの故郷だと?」


「ははっ!もしかしたら、そこへ行ったのかも。」


「おお、そこはどこだ!」


「・・・・分かりません。」


「は?」


「分かりません。」


「だったらしゃべるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


「も、申し訳ありません!」


「「「「「(何、やってるんだよ、もう。)」」」」」


「全くこのごく潰しどもが!誰のおかげで暮らしていけると思ってるんだ!」


「「「「「申し訳ありません(元を正せば、てめえが浮気相手に現を抜かしたのが悪いんだろうが・・・・」」」」


ソテロはこの時ばかりおべっか使いの部下たちの無能っぷりに激怒した。側近たちもこれ以上、ソテロの怒りを買いたくないのでこれ以上、話さず、心の中で毒を吐いた。冷静に考えればマリナの所属していた神殿に聞けばいいのだが、天変地異によって誰もそのことに考えが至らず、無駄に時を過ごすのであった




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