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29話:決闘

島左近清興だ。ワシは与一と共にユカリ・オリムラという女武人と昼餉を取った後、【ガルバ町】の公園に避難した


「先程は申し訳ない。」


「次からは時と場所を考えねばな。」


ユカリ自身も罰が悪かったのか、ワシらに謝罪した。うん、分かるよ。なにせ高名な人物に会えたのなら興奮しない方が可笑しいと・・・・


「それと某の武勇伝を聞きたいと申すが、それほど聞かせるものではないぞ。」


「御謙遜をなされまするな!サコン殿の武勇は彼の国王陛下【ロバート・シュバルツ】も認めるほど、我等、武人の間でサコン殿は、伝説の武人、チョウ・ウンチョウの再来だと言われています!」


チョウ・ウンチョウ、この異世界で遥か昔に存在した伝説の武人であり、戦場で多大な功績を上げ、国を救い、天寿を全うしたとされている。ワシもこの異世界に来て、その名を知ったのだが・・・・


「某がいにしえの武人、チョウ・ウンチョウの再来とは畏れ多い事だ。」


「サコン殿、現に貴殿と戦いたいと思う者は数多くおります!それほどサコン殿の影響力は凄まじいものなのです!」


確かにワシの下に決闘を申し込む者が出てきたり、ワシを討ち取って名を上げたい輩もいる。やはり有名になるのも考え物だな


「それに、こうして貴殿と戦いたいと申す者がいるのですから。」


するとユカリは殺気と気迫を放った。与一はワシの前に立ち、ユカリを注視した。公園にいた人々もユカリの殺気と気迫を感じ、ワシらを見ていた


「・・・・場所を移そう。」


「それは受けるととって宜しいか?」


「愚問だ。」


ワシらはガルバ町外へ出た。門番は「また決闘ですか?」と聞いてきて、頷いたら、「大変ですね。」と同情された。そして何もない平原に移動した


「サコン殿、一手御手合わせ願いたい!」


そして現在に至り、ワシとユカリは決闘をするのであった。ユカリは2本の太刀を抜き、殺気と気迫を放つ。ワシは朱槍(短槍)を出現させた。与一はワシらの間に立ち、戦況を見守っていた


「ほぉ~、貴殿は特殊な武具を使うのか。」


「普通の槍と違って、じゃじゃ馬ではあるがな。」


「ふふ、ますます楽しみだ。」


ユカリは不敵な笑みを浮かべながら、間合いを取り始め、ワシも間合いを詰める。ワシは朱槍を撓らせ、ユカリは八の字を描くように2本の太刀を振り回し始めた。互いの額から汗が出始め、その1滴の汗が地面に落ちたところで両者は動いた


「はっ!」


ユカリは一飛びし、体を回転させ、2本の太刀による回転斬りを展開した。左近自身も円を描くように回転し、大太刀のように片手で振り回し、ユカリの回転斬りを難なく防いだ


「流石はサコン殿、大抵の輩はこの技に破れましたのに・・・・」


「ワシとて伊達に修羅の道を潜り抜けたわけではない。」


「ふふ、ではこれならどう!」


ユカリは今度は舞踊を取り入れた動きを見せ、そこから二刀流の斬撃を展開した。まるで蝶のように美しく蜂のように鋭い攻撃を仕掛け、ワシは一歩退き、体勢を整えた。ユカリはそれ以上、追撃せず体勢を整えた。ワシはもう一方の手に日本刀を出現させ、朱槍(短槍)と日本刀の二刀流の戦法を取った


「目には目を、歯に歯をか。」


ユカリはそう呟いた後、再び八の字を描くように2本の太刀を振り回し始めた。ワシも八の字を描くように朱槍と日本刀を振り回し始めた。互いにタイミングを計り、徐々に間合いを詰めた


「「はっ!」」


互いに一飛びし、左近の朱槍とユカリの太刀が激突したと同時に朱槍と太刀が吹き飛び、左近は日本刀をユカリはもう1本の太刀でぶつかり合い、鍔迫り合いか始まった


「はっ(やっ)!」


互いに距離を詰め、そこから日本刀と太刀が火花を散らし、互いに鋭い斬撃を展開したが、ギリギリの状態で避けきった


「「はぁ、はぁ。」」


互いに息を切らしながら、間合いを取りながら、タイミングを計っていた


「「はっ!」」


再び互いに距離を詰めると、左近は日本刀とユカリの太刀が再びぶつかり、鍔迫り合いが始まったが、左近はわざと引くと、ユカリはチャンスと思ったのか、一気に押しきると、左近は一歩退いた。ユカリは左近が退いた事で一瞬だけ体勢が崩れると左近はそれを見逃さず、日本刀を振り回し、ユカリの持っていた太刀を弾き飛ばした。左近の膂力りょりょくに圧された事で、体勢が崩れ、尻餅をついたユカリの首筋には左近の日本刀が突き付けられた


「参った。」


ユカリは降参し、決闘が終わった。ワシは日本刀を鞘に収めた


「流石にお強い。負けましたが清清しい気分です。」


「お主もなかなかの腕前であった。」


互いに腕を認め、心地好い終わりかたであった。ユカリは太刀を収め、左近に向き合った


「サコン殿と戦えた事、私の誇りです。」


「某もユカリ殿と刃を交えた事、生涯忘れぬ。」


「それを聞いて私、胸がすくような思いです。」


決闘を終えた後、ワシらはユカリと共にガルバ町に戻った後、別れを告げ、別々の方向へ向かった


「左近様、強敵でしたな。」


「あぁ、これはうかうかしてはおれんな。」


ワシらは宿へ戻った。一方、ユカリの方は左近と戦った事で敗れはしたものの、自分は未だに未熟だと改めて気付かされたのである


「私もまだまだだな。」


ユカリは途中で買い出しを済ませた後に宿へ戻ると、そこへ左近と与一に出会った


「これはサコン殿に、ヨイチ殿。」


「ユカリ殿はこの宿か?」


「ええ、まさかサコン殿たちと同じ宿とは思いませんでした。」


どうやら同じ宿に泊まるようだ。ユカリ自身、知り合いが同じ宿に泊まっていると知って、内心、ホッとした


「どこか出かけられるのか?」


「そうだな。」


「それではユカリ殿、また。」


そういうと左近と与一は外へ出ていった。ユカリは2人がどこへ行くのか気になったが、知り合いのプライベートに土足で踏み込もうとする気もせず、自分の泊まる部屋へと向かうのであった


「危なかったですな。」


「ああ、流石に【イザナミ】に行くとはいえんしな。」


左近が決闘を通じて親しくなったユカリに娼館【イザナミ】に行くとは口が裂けても言えなかった。ワシに対して尊敬の念を抱いている女武人に、まさか娼館通いしているなんて・・・・


「今のところ、あの女子の気配はございません。心配はご無用です。」


「そうか。」


「左近様、心配せずとも、いずれユカリ殿も分かってくれますよ。」


「だといいが。」


そんなこんなでワシらは【イザナミ】に到着した。ワシと与一はアリーナとウルザの出迎えを受けて、そのまま部屋へ向かった


「そういえば旦那、女の武人と決闘したそうですね。」


「ああ。それがどうした。」


「その武人さん、【イザナミ】の用心棒として雇おうって話があったんですよ。」


それを聞いたワシは衝撃を覚えた。ユカリが用心棒としてここで働く。おいおい、こんなところでできたばかりの知り合いに会うのは流石に気が引ける


「旦那、何か心配事でも・・・・」


「ああ、実はな・・・・」


ワシはアリーナに例の女武人との関係を話した。それを聞いたアリーナはゲラゲラと笑い始めた


「ギャハハハハハハ、だ、旦那、それは災難でしたね、ギャハハハハハハハ!」


「ああ、我ながら己自身の女々しさを呪うわい。」


「まあ、そうなったら仕方ありませんよ。そんな時は堂々としていればよろしいんですよ!」


「与一にも同じことを言われたな。」


「まあ、何とかなりますよ♪くくく・・・・・」


その後、ワシはアリーナと一夜を過ごした後、与一と合流し、【イザナミ】に出ようとした瞬間・・・・


「御免、本日より【イザナミ】で用心棒の仕事をすることになったユカリ・オリムラで・・・・・」


「ああ、ユカリ殿か。」


「さ、サコン殿!」


ユカリはまさか左近がここにいるとは思っておらず驚きの表情を見せた。ワシは意を決してユカリに本心を告げた


「ユカリ殿、ワシも男だ。女子と触れ合いたい時もある。それだけは分かってほしい。」


「あ、はい。そうですね・・・・」


ユカリは左近が娼館通いをしていることを知り、内心ショックを受けつつ、仕方がないと区切りをつけるのであった















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