28話:女剣士
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島左近清興だ。配下の与一と共に、このガルバ町に拠点を置く武人だ。そんなワシの下に、余所から来たある旅人がワシに決闘を申し込んできた
「サコン殿、一手御手合わせ願いたい!」
ワシに決闘を申し込んできたのは、ユカリ・オリムラという女武人だ。適正は女剣士、年齢は20代半ば、腰まで伸びた緑の黒髪、切れ長の目と鋭い目つき、スタイル抜群で身長は170㎝ほどの長身、色白紫眼の美人である。なぜ、こうなったかというと、ワシと与一がギルドにいた時だ・・・・
「サコンさん、ヨイチさん、本日の報酬です。」
「「忝い。」」
ワシらはビルデから報酬を貰っている時、ちょうどギルドに入ってきたのが、一人の女武人だ。女子にしては背が高く、腰には2本の太刀を指していた。女武人は真っ直ぐ、受付にやってきた
「仕事を探している。」
「仕事ですか、仕事でしたら、あちらの掲示板にあります。」
ビルデが掲示板まで女武人を案内した。女武人は鋭い眼光で掲示板に掲載されている依頼の張り紙を拝読していた。ワシと与一はあの女子はただ者でないと悟った
「あの女子、デキるな。」
「左様ですな。」
腰に差してある2本の太刀、二刀流の使い手と見た。戦場に望む武士は、大刀が折れた時の用心に、2尺以上の脇差を帯びる習慣が多く、2本携帯していることがあった。しかし二刀流の使い手は少なく、太刀自体が重く、片手で振り回すと場合は相当の膂力と技術が必要になる。女武人は掲示板に張られている張り紙を見終わった後・・・・
「今日はいいのがないな。」
「申し訳ありません。」
「いや今日は何があるか見に来ただけだ。」
「またのご利用お待ちしてます。」
ビルデがそう言うと、その女武人はそのままギルドを去っていった。ワシらもギルドに用事を済ませたため、ギルドを去った
「ん、左近様。あれを。」
「あれは・・・・」
与一が指差す方向を見ると、先程の女武人が柄の悪い男たちに絡まれていた。何やら不穏な気配を感じ、ワシらは臨戦態勢を取ると、女武人は素早く1本の太刀を抜き、目にも止まらぬ早業で男たちを峰打ちで難なく退治した。女武人は太刀を鞘に収め、そのまま去っていった
「左近様。」
「あぁ、あの女武人やるな。」
「それでこの男共、如何いたします。」
「警備隊に連れてってもらおう。」
ワシらは警備隊を呼び、この男たちを連れてってもらった。ワシらは先程見た女武人の実力の片鱗を垣間見えた瞬間だった。武人としての血が騒ぐと同時にワシらの腹の虫が鳴った
「・・・・まずは腹拵えだな。」
「・・・・御意。」
ワシらは何時ものように食堂に寄った。食堂は客でいっぱいで席順が少なかった。店員が「いらっしゃい」と挨拶をした後、空いている席へ案内した
「良かったですな、左近様。席が空いていて・・・・」
「そうだな。」
ワシらは運よく席に座り、何時ものようにカレーライスを頼んだ。カレーライスが出来上がるまで待っていると、そこへ店員が申し訳無さそうにワシらに声をかけてきた
「突然すいません。相席をお願いしたいのですが・・・・」
「ああ、構わないが・・・・」
「ありがとうございます。こちらへどうぞ。」
店員が呼ぶと、あの二刀流の女武人が現れた。店員はワシらに礼を言うと、そのまま去っていった
「相席、ありがとうございます。」
「いいえ。」
「では失礼します。」
女武人は礼を述べた後に席に座り、注文をした。ワシらは先にカレーライスが届き、先に食べていた。すると外が騒がしく、振り向くと柄の悪き男たちが店員を押しのけ、ワシらのいる席へと押しかけた
「見つけたぞ!」
「てめえのせいで仲間が捕まったんだぞ!どうしてくれるんだ!」
どうやら男たちは先程の輩の仲間のようだ。男たちは女武人に目を向けた。女武人は見向きもせず、男たちの怒声を無視して水を飲み始めた
「おい、無視してんじゃねえぞ!」
「騒々しいぞ。」
「なんだと・・・あっ!」
男たちはワシと与一に気付き、先程の勢いがなくなり、後ずさりをした。どうやらワシらの事を知っているようだ。とりあえずワシらは男たちに尋ねた
「この女子に何か用があるのか?」
「い、いや、あの、その。」
男たちは目が泳ぎ、しどろもどろになった。すると先程から黙っていた女武人が語り始めた
「この者たちは私を娼館【イザナミ】に勧誘しようとしたので、辞退したのですが、力尽くでも連れて行こうとしたので成敗したのです。」
「な、てめえ・・・・」
「ほお~。いつから娼館【イザナミ】は嫌がる女子を力尽くで入れようとする方針になったのだ?」
「く、くそ!」
ワシが尋ねると男たちは、一目散に逃げようとした。するとそこへ運よく警備隊が駆けつけた
「け、警備隊!」
「そこで何をしている!」
「ちょうど良かった。この輩が店で暴れていたところだ。捕まえてくれ。」
「何!貴様ら、神妙にしろ!」
「ち、ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
男たちは警備隊に捕縛され、そのまま連れていかれた。後で知ったことだが、あの男たちは最近、このガルバ町へ来た流れ者で、【イザナミ】とは全く関係なく、女子を食い物して金品を巻き上げていた事が発覚したのである。その後、男たちはどうなったかというと【イザナミ】の名を使ってアコギな事をしたことで、ガルバ町の御偉いさんの怒りを買い、男たちの存在は闇に葬られたそうだ
「先程は御助力いただきありがとうございます。」
「いや、我等は何もしておらぬよ。」
「それでも助けていただいた事に変わりはありません。」
女武人はワシらに礼を言ったが、ワシらは何もしていないことを伝えたが女武人は・・・・
「よろしければここの飯代を奢らせてほしい。」
「いや、そこまでしなくても。」
「このまま恩を作ったままでは私の気が収まりません。」
女武人は義理堅い性格なのか、何としても恩返しをしたいと見える。このままじゃ埒があかないので受けることにした
「分かり申した、御馳走になろう。」
「ありがとうございます、申し遅れましたが私はユカリ・オリムラと申します。」
「某はサコン・シマ、こちらはソウマ・ヨイチだ。」
ワシが名乗ると同時に、与一の紹介を済ませると、女武人の様子が変わった
「サコン・シマ、貴方が彼のサコン・シマ殿か!」
「まぁ、そうだが。」
「まさか、歴戦の武人とお会いできるとは思わなかった!」
ユカリはワシの正体を知ると、先程の冷静沈着な雰囲気が一変し、憧れの人物に会えた事への喜びへと変わった
「サコン殿の御名は武人たちの間で知らぬ者はおりませぬ!」
「そ、そうか。」
「是非、貴殿の武勇伝をお聞かせ願いたい!」
おいおいそんな純粋無垢な眼差しで見ないでほしい。それに客と店員が全員、こっちを見てる。ワシはただ、飯を食いに来ただけなのに・・・・
「すまぬがユカリ殿、ここでは人の目もある。まずは腹拵えを済ませた後にしてくれないか。」
そこへ与一が助け舟を出した。ユカリも与一の忠告を受け、周囲を見渡すと「申し訳ない。」と一言言って大人しく席に座った。それからワシと与一とユカリは周囲の視線を感じつつ、昼餉を取った後、ユカリがワシらの分の代金を支払った後、店を出た
「先程は申し訳ない。」
「次からは時と場所を考えないとな。」




