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24話:熊退治

ワシと与一は牧場に駆けつけると、羊たちが熊に教われているのを目撃し、早速、退治に向かった


「与一!鼠花火だ!」


「はっ!」


与一は鼠花火を出し、熊の近くまで投げた。鼠花火は地面に落ちたと同時にバチバチと爆発音を出した。羊たちは爆発音に驚き、あちらこちらへ去っていく一方、熊の方も爆発音に驚き、森の方へと去っていった


「な、何なんですか!今の音は!」


鼠花火の爆発音にボブテスとボムカ夫婦が駆けつけた。夫婦が目にしたのは、左近と与一の姿と、森に向かって吠える愛犬、羊たちが建物の奥に固まっている事と、何頭かの羊が血塗れの姿で負傷していた


「サコンさん!」


「あぁ、ボブテス殿、先程熊が追い払ったところだ。」


「熊ですって!」


ボブテスとボムカ夫婦は熊の出現に驚いた。ワシと与一は二人を落ち着かせながら、負傷した羊たちの下へ向かった


「これは酷いな。」


羊たちは血塗れの状態で熊の歯形や爪痕がくっきりと残っており、重傷であり、特に熊に襲われた一頭の羊は既に死んでいた


「左近様、とりあえずポーションを飲ませましょう。」


「あぁ。」


ワシと与一は負傷した羊たちに回復用のポーションを飲ませ、一旦、安全な場所へ運ぶことにした


「ボブテス殿、負傷した羊たちを安全なところへ運びましょう。あと、奥で固まっている羊をお願い申す。」


「あ、ああ、そうじゃのう。ラッシー!」


「ワン!」


「さぁ、こちらへ。」


ワシと与一は負傷した羊を担ぎ上げ、大八車に乗せて安全な場所へと運び、奥で固まっている羊たちはボブテスとラッシーが誘導して羊専用の建物へ避難させた。羊たちを避難させた後、ワシはボブテスとボムカ夫婦にある事を伝えた


「ボブテス殿、ボムカ殿、熊は再びやってくるかもしれぬ。」


「何ですと!」


「ええ、熊は執念深い生き物でな、一度獲物と見なした物は絶対に捕まえ、離さないほどだ。此度、羊を狙ったということは間違いなくここへ戻ってくる。」


ワシは前にベーカリーから熊の習性を聞いたことがある。熊は犬よりも優れた嗅覚を持ち、遠くからでも臭いを嗅ぎつけることができる。更に体は岩石のように固く、殴る力は人の首の骨を折るほどのパワーがある。爪の威力は凄まじく、人の眼球をえぐるほどである。足の速さも馬と同等、もしくはそれ以上であり、追撃されたら間違いなくやられる


「あの熊は間違いなくここへ来ます。こうなれば罠を張り、仕留めましょう。」


「じゃ、じゃが罠はどうするのです。」


「羊の躯でござる。」


「躯?」


「左様、死んだ羊の躯を囮に熊を引き寄せまする、我等は風下に入らないところから待ち伏せし、そこで仕留めまする!」


「だ、大丈夫なのですか!」


「ボブテス殿、このまま放っておけば奴は貴方方を襲う可能性があるのです。そうならないためにも、奴はここで仕留めます。」


ボブテスとボムカは互いに顔を見合わせながら、ワシらの方を見た


「「お願いします。」」


二人は覚悟を決めた表情でワシらに熊退治の依頼をした。本来だったらギルドの依頼ではないのだが、これ以上、犠牲を出さないためにもワシらは了承した


「御二方は鍵を閉めて、なるべく外へは出ないようにしてくだされ。」


「「は、はい。」」


それからのワシらは羊の躯を目立つところに置き、羊の近くに虎ばさみ(羊の血付き)を設置し、我等は風下に入らない場所から熊を待ち伏せしていた。ボブテスとボムカ夫婦はワシらの指示に従い、牧羊犬のラッシーと共に家の戸締りをした後にワシらが合図を送るまでに籠城を続けた


「左近様、奴は現れるでしょうか。」


「そうだな、ベーカリーの言う事が確かなれば己が殺した羊の血の臭いで駆け付けるはずだ。」


ワシらは乾パンと金平糖を口にしながら、待ち続けると森の方から黒い物体を見かけた。きっと死んだ羊の躯を取りに来たのだろう。ワシらは息を殺し、熊が羊の躯へ近づくのを待っていた


「さあ、貴様の餌だ、遠慮なく受け取れ。」


熊は徐々に羊に近づくと、急に立ち止まった。ワシらは気付かれたかと思って警戒したが、どうやら後から小熊が2頭、付いてきたようだ。奴らは虎ばさみの存在には気が付いておらず、羊の躯へと近づいた途端・・・・


「ぐお!」


2頭の小熊が虎ばさみに引っかかり、負傷した。親熊も驚き、興奮し始めた途端、虎ばさみにかかり、負傷した


「グオオオオオオオオオオオオオオオ!」


親熊の咆哮は夜空に響いた。親子熊は虎ばさみを何とか剥がそうと頑張るが、虎ばさみはガッチリと固定され、悪戦苦闘していた。ワシらはそれを逃さず、動き出した


「与一!」


「はっ!」


与一は弩を用意し、矢の先には獣が嫌う唐辛子粉を詰めた入れ物を装着し、親子熊に向けて放った。矢は親子熊近くに当たると同時に入れ物が破裂し唐辛子粉が親子熊を襲った


「グアアアアアアアアアアアアアア!」


親子熊のもがき苦しむ声が響き渡り、唐辛子特有の辛味があらゆる粘膜と皮膚に激痛が走り、親子熊は途方に暮れていた


「いざ参る!」


ワシは朱槍(投槍)を出し、親熊にめがけて投げた。槍はそのまま加速し、親熊の体を貫いた


「グアアアアアアアアアアアアアア!」


親熊は今までにないほどの咆哮を発し、尚も立ち上がろうとする。そこへ左近が再び朱槍(投槍)を発生させ、熊にめがけて投げる。槍はそのまま加速し、熊の喉部分を貫いた。熊は喉を貫かれたと同時にバタッと倒れた。ワシは念のために再び朱槍(投槍)を投げ、熊の体を貫いたが熊はピクリとも動かず、そのまま息耐えた


「南無三。」


ワシはそう言った後に、念のため恐る恐る近づくと二頭の子熊は死んだ親熊の前に立ち、ワシを威嚇していた。だが先程の虎ばさみと唐辛子粉の影響で苦しんでいた。ワシは子熊を親熊の下へ送ろうとワシは朱槍を出現させた


「「グウウウウ!」」


「許せ。」


ワシは朱槍を振り回し、そのまま子熊二頭を突き刺した


「「グアン!」」


二頭の子熊は刺された激痛で悶え苦しみ、そのまま息耐えたのである


「終わりましたな。」


「あぁ。」


そこへ与一が駆けつけた。ワシと与一は死んだ親子熊に片合掌をしつつ、悪夢のような一夜が終わりを告げたのである


後に親熊の大きさは、体長200㎝、体重200㎏の雌、小熊2頭の大きさは、体長30㎝、体重600gほどの雄であることが判明した



島左近清興だ。ワシらは牧場で羊を襲い、一頭を殺した親子熊を罠に嵌めて、親子熊を駆除した。この異世界ではわらべ向けの玩具として熊のぬいぐるみ(テディベア)が流行っているだが、本物の熊は熊の玩具よりも恐ろしく、その気になれば人を襲い食べるものもあるから注意をしてほしい。まぁ、それは置いといてワシらは早速、ボブテスとボムカ夫婦に熊を退治したことを報告した。夫婦は牧羊犬のラッシーを連れて、死んだ親子熊の下へ行くと・・・・


「あぁ、ワシが見た親子熊で間違いない。」


ボブテスは複雑そうな表情で親子熊を見ていた


「如何された?」


「あぁ、やっといなくなって安心したんだが、親子を見ると何か複雑ですな。」


「複雑とは?」


「はい、ワシたちは、こうして家畜を育て、それを売って生計を立てて息子を育てました。この親熊も我が子を食べさせるために餌を探して、ここにいる。同じ親として複雑な思いを抱きましてな。」


「運が悪かったと言いようがござらぬな。」


「そうですな。」


その後、親子熊はマタギたちによって解体されると、腹の中には、僅かな獣の骨(後に馬の骨と判明)らしきものがあった。そこから毛皮、熊肉、熊の肝等を回収した。熊肉はマタギたちによって熊鍋にし、みんなで食べることになった。熊の肉は、独特の臭みがあるが普通に美味しかったから良かったが。そんなこんなでワシらの任務は終わり、報酬の他に牛の乳、腸詰め(ソーセージ)、醍醐バターチーズ等を貰った


「左近様、任務が終わりましたな。」


「ああ、あやつがいないことを祈るだけだ。」


足取りが重くガルバ町へ向かう左近と与一であった










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