21話:それぞれの行く末
島左近清興だ。元王太子であるロゼオ・シュバルツは救出され、今は王都内の病院に安静にしていた。あれ以来、ロゼオ元王太子に関して王宮からの使者は来ず、何事もなく日々が続いた。やはり廃嫡し此度の騒動の原因を作った元王太子に情けはないようだな。ワシらの方は国王の命で辺境伯屋敷に滞在することになった
「左近様、いつになったら王宮の知らせが来るのでしょう。」
「さあな、戦後処理をせねばならないのであろう。」
「そういえばジュリアス王国ではジルト第2王子が病死したようですな。」
「まあ、それで良いのだろう。現王太子であるギルト公は穏健派だと聞く。これまで通り、両国の関係は続くだろう。」
ワシらは鍛錬等をしながら待っていると、王宮から使者が到着した。使者から褒美を与えるから王宮に参内するよう命を受けた
「褒美を貰えてようございましたな。」
「ああ。」
ワシと与一は王宮に参内し、国王のいる広間へ向かった。広間までの道のりだが、まさに南蛮の文化が凝縮された絢爛豪華な様式だった。太閤秀吉公が精魂込めて御作りになられた聚楽第も絢爛豪華だが聚楽第は日ノ本の美、この王宮は南蛮の美とそれぞれの美が顕著に反映している。そうこうしている内に広間に到着した。我等は広間に入り、用意した椅子に座らされた。どうやらこの国では椅子に座るのが礼節らしい。我等は広間で待っていると・・・・
「国王陛下、参内す!」
我等は椅子に座ったまま、頭を下げた。国王が玉座に座ると、大臣から許しを得た後に頭を上げると、仮面を着けた国王が玉座に座っていた
「陛下より褒美を与える!」
「「有り難き幸せ!」」
ワシらは袋一杯の金貨(一枚1万エンの価値)を受け取った後、国王は一言も発することなく、広間を去った。現世でも貴人が下々の者に声をかける事は滅多にない。どこの世界でも同じだとつくづく思った。その後、ワシと与一は王宮を去り、辺境伯屋敷へ戻った。一旦は屋敷にいるベルとモールに明日、ガルバ町に帰る事を伝えた
「我等は明日、ガルバ町へ帰り申す。」
「色々とお世話になり申した。」
「サコン殿、国を救っていただきありがとうございます!」
「旦那様もきっとお喜びになると思います。」
「我等はあくまで御当主の依頼を受けたまでにござる。御当主によろしくお伝えくだされ。」
「「忝い。」」
ワシらは辺境伯屋敷を一泊してから王都を去った。久しぶりのガルバ町である。元々はブリュッセル辺境伯家の護衛と歓待だけなのだが、再び王都へ上京し、元王太子を救出するに至ったのである
「予想よりも長居してしまったな。」
「左様ですな。」
「とりあえずアリーナにどう言い訳するかのう。」
「某もウルザへの言い訳を考えねばいけませぬな。」
「「はぁ~。」」
恋人にどう言い訳するか道中で考える左近と与一、ようやくガルバ町に到着し、ギルドに寄り、任務達成を報告した後、【イザナミ】によりアリーナとウルザに謝罪し、そこで再び愛を確かめ合い、一緒に過ごすことが多くなった
【島左近の場合】
「サコンの旦那、あまりにも遅いから心配したのよ。」
「すまんすまん、予定より大幅に遅れてしまってな。」
「その分、埋め合わせをしてもらいますからね♡」
「ああ、勿論。」
【颯馬与一の場合】
「もうどこまで行ってたのよ!」
「いやあ王都に用事ができてな。」
「こうなったら、今日はとことん絞ってやるんだから!」
「ははは・・・・」
その頃、王都の病院で入院していたロゼオは徐々に回復していったが心までは回復していなかった
「なんで僕は生きているのだろう。」
今までの事件も元を正せば自分が婚約者であるセシリア・ブリュッセルを蔑ろにしジュリアス王国のスパイであるカリンに心を奪われ、あまつさえ婚約者に濡れ衣を着せて婚約破棄したのがきっかけで国を揺るがす騒動へと発展したのである。最初は父である国王とかつての婚約者のセシリアを怨んだが、カリンの策謀に嵌まっていたことに気付かされ、結果、足の筋が切られ歩行困難になり、身体中の鞭による傷痕も痛々しく残ったままなのである
「どうせだったら、あの場で死んでいたら・・・・」
あれから王宮より連絡はなく僕はこの病院で療養生活を送っている。もし退院したとしても身体が不自由な僕はどうやって生きていけばいいのだろうと思い悩むのであった。すると王宮から使者が訪れた
「罪人ロゼオに流罪を申し付ける!」
流罪とは、もはや僕は廃嫡の身、しかも此度の騒動を引き起こした張本人、死罪、もしくは国外追放が妥当なのだが、まぁ僕にそれを言う権利はないが。僕は素直に流罪処分を受けることにした。その後、僕は退院し、車椅子に乗ったまま、配流先へと向かわされた
「さて僕はどこの僻地へ送られるのかな。」
僕はこれ以上、生きる意味がないと心のどこかで思いつつ、配流先で自殺を考えるようになった
「せめてセシリアに会って謝罪したかったな。」
かつての婚約者、セシリア・ブリュッセル、僕は初めて会ったとき、僕は彼女に一目惚れし父にお願いして僕の婚約者にした。しかしセシリアは妃教育で会える機会も制限され、次第に彼女への恋心も冷めていき、女狐に心を奪われ、骨抜きにされてしまったことも・・・・
「着いたぞ。」
どうやら僕は配流先に着いたらしい。一人の騎士が車椅子を先に地面に置いてから、僕を運び車椅子に乗せた。僕は周辺を見ると、のどかな風景に溢れた土地だった
「ここ、前に来たことがある。」
そう僕はかつてセシリアと一緒にここに来たことがあった。一緒にここで遊び、一緒に魚を取って食べたり、セシリアとの思い出が詰まった土地だ
「ここからは歩きで行く。」
騎士たちに連れられていくと、そこには修道院があった。どうやら僕はそこへ暮らすことになった、騎士が修道院の責任者と話し、僕はここで幽閉生活を送ることになった
「セシリア様からの手紙だ。」
そこへ騎士が僕にセシリア宛の手紙を受け取った。僕は正直、戸惑っている。僕はセシリアに対してとんでもない仕打ちをしたのだから・・・・
「では我等は行く。」
騎士たちは馬車に乗り、そのまま王都へ向かうのであった。僕は修道院の責任者に連れられ一人部屋に入った
「ははは、僕はこの修道院で朽ち果てる運命なのだな。」
僕は手元にあったセシリア宛の手紙を見ようかどうか迷っていた。だがいずれ朽ち果てるのだと思い、見ることにした。僕は手紙を開き、内容を見た
【ロゼオ様へ】
「ロゼオ様、お久しぶりです。セシリアです、ロゼオ様が廃嫡となり、配流となった事は領地にて知りました。私は現在、領地にて療養生活を送っています。それはさておき、ロゼオ様、そちらでは如何お過ごしですか?風邪など引いていないか心配です。実は私事ですが、私は義弟のオシリスと結婚の約束をいたしました。実はオシリスは私の事が前々から好きだったようで、ロゼオ様と婚約することになって一度は諦めたらしいですが、ロゼオ様が婚約破棄をしたことで、オシリスは私に告白をし、私の両親もどこの馬の骨とも分からない奴よりはオシリスと結婚した方がいいと認められ、私たちは夫婦になる約束をしました。オシリスは養子から婿養子として正式に陛下から許可をいただきました。一応、元婚約者であるロゼオ様にご報告したくて手紙を送りました。ロゼオ様も私の事は忘れて幸せになってください」【セシリアより】
僕はこの手紙を呼んだあと、バラバラに破り捨てた。僕はどうやら、ここで朽ち果てる運命だったようだ
「ははは・・・・はははは・・・・はは。」
その後、ロゼオはどうなったかは知られておらず、歴史書にもロゼオは廃嫡になり、配流先へ幽閉となった事しか書かれておらず、確かめる術もないという
一方、ここはブリュッセル辺境伯家の別荘地、ここで二人の男女が一緒に座っていた
「義姉上、僕は義姉上を絶対に幸せにします。」
「オシリス、もう私たちは将来を誓い合った仲よ、セシリアと呼んで。」
「・・・・セシリア。」
「なあに?オシリス」
「やっぱり恥ずかしいです。」
「ふふふ♪」
その後、二人は結婚し、夫婦仲は睦まじく3男3女の子宝に恵まれたのであった




