19話:御家騒動
その王宮内ではある情報がもたらされた。シュバルツ王国が放った密偵の知らせで現国王が死去し、王位を巡って王太子と第2王子が争っていることを・・・・
「何、ジュリアス王国で御家騒動だと!」
「ははっ!ジュリアス王国にいる密偵の知らせによりますると、国王であるオールド・ジュリアス様が突然、御隠れになり、跡継ぎであるギルト・ジュリアス王太子と第2王子であるジルト・ジュリアス王子が王位を巡って争っているとの由にございます!」
「うむ。」
我が国と長年、友好関係を結んでいるジュリアス王国、普通だったら王太子であるギルトが王位を継ぐのになぜ第2王子が王位を狙うのか考えていると・・・・
「陛下、畏れながらお耳を拝借しとうございます。」
「何だ?」
すると側近の一人がロバートに接近し、小声で話しかけた。ロバートも耳を傾けた
「実は御家騒動の原因は我が国が関係しているようにございます。」
「それはどういうことだ。」
「どうやら彼の国は我が国を巡って争っているとの事にございます。もしかしたら我が国で起こっている数々の事件、他国のスパイに関してもジュリアス王国が陰で糸を引いていたのではないかと。」
「うむ、これまでの出来事と合わせると確かに胡散臭いな。で、どちらが優勢なのだ?」
「現段階では両者の実力は伯仲、一進一退の攻防を広げておりまする。」
「うむ、ワシとしてギルトだな。あの者は我等との友好を願っておったからな。」
「陛下、もしギルト殿が国王の座に付かれれば彼の国との関係は如何いたしますか?」
「無論、これまで通り友好関係を結ぶ。もしジルトが王位に付いたら関係を考え直さねばな。」
ロバートは内心、ギルトに勝ってほしいと願っていた。両国は友好関係を続いていく上で、無駄な争いは何としても避けたいところである。もしジルトが国王になれば間違いなく戦争が起こる。仮に戦争が起こらなくても気まずい関係はこれからも続くであろう
「全く面倒な事になったわい。」
「もしかしたら亡きオールド公はロゼオ元王太子を拉致し、此度はロミオ王太子殿下に刺客を放った事、彼の国がロゼオ元王太子を再び王太子の座につけ、いずれは国王にし、我が国を支配下にしようと企んでいたのやもしれません。」
「だがそのオールドが死んだ時点で計画が白紙になった。第2王子であるジルトが王位を狙ったのもそのためか。それで如何する?」
「こうなれば目には目を、歯には歯をにございます。」
「やれるか?」
「お任せくだされ。」
国王の命で隠密がジュリアス王国に向けて出発するのであった
島左近清興だ。ブリュッセル辺境伯屋敷にてワシらにある情報がもたらされた。それはジュリアス王国で起こった御家騒動である。与一が町中を探索していると旅の者よりその話を聞いたという。客間にはワシと与一、ベルと家令のモール4人がいた
「この時期に御家騒動とは。」
「はい、旅人の噂によればジュリアス王国の国王が突如御隠れになり、王太子と第二王子が王位を巡って争っておる模様。」
「うむ。」
「サコン殿、何か?」
「ジュリアス王国の国王、オールド・ジュリアスという御方は優れた戦略家・謀略家だと聞いておる、もしや此度の出来事はそれが関係していると思う。」
「と、いいますと。」
「此度のシュバルツ王国で起こった数々の出来事、ジュリアス王国が裏で糸をひいているやもしれん。」
現世にいた頃、数々の戦場とともに謀略に生きてきたワシの長年の勘がそう思った。それを聞いたベルとモールは驚愕し、反論した
「サコン殿、言葉を慎め!我が国とジュリアス王国は長年、友好関係を結んできたのですぞ!ジュリアス王国がそのような真似を・・・・」
「長年の友好を結んだからこそ、一方に油断が生まれる。そこへ楔を打ち込めば、そしらぬ顔で友好国に介入できよう。」
「ま、まさか。」
「まさか、まさかの連続が戦というものでござる。此度、オールド公が御隠れあそばされたことで、御家騒動が起きて居り申す。もしかしたらスパイたちに何か動きがあると思う。」
「動きとは。」
「うむ、オールド公がこの世におらぬと知ったスパイたちはもはやこの国にいる必要がない。直ちに母国の下へ帰りましょう。その時は元王太子殿下を亡き者にする可能性もある。」
「ロゼオ様をですか!」
「恐らくな。」
すると天井から気配がした。ワシらは警戒していると天井から声がした
「ベル様。」
「あっ、お主等か。サコン殿、辺境伯家にお仕えする隠密にございます。」
どうやらブリュッセル辺境伯家に仕える忍びのようだ。ワシと与一は警戒を解いた
「して何があった。」
「はい、他国のスパイのアジトを見つけました。」
「それは誠か!」
「慌ただしい様子で人気のない場所へ入り、そこでアジトを見つけました。」
どうやらジュリアス王国の御家騒動をスパイたちの耳にも届いたようだ。向こうも落ち着いてはいられない状況になったらしい
「ベル殿、早速、そのアジトへ参りましょう。」
「そうだな。」
そのころスパイたちのアジトでは母国で御家騒動が起きたことを知った
「何!本国で御家騒動だと!」
「ははっ!陛下がお亡くなりになりギルト王太子殿下とジルト殿下が争っておる由にございます!」
「何という事だ。」
カリンの心中は絶望の淵にいた。主君であるオールド・ジュリアスより密命を賜り、このシュバルツ王国で暗躍を続け、本国の知らせを待っていたが、まさかの主君の死と御家騒動である。もはやここに留まる理由が無くなった以上、やることは一つ・・・・
「如何いたしますか?」
「無論、ここにいる理由がない、本国へ帰るぞ。」
「それで人質は?」
「もはや用はない、殺せ。」
「ははっ!」
カリンたちはロゼオを始末し、この国から去ろうと準備しようとしていると・・・・
「ギャアアアア!」
「な、何者だ!」
突如、悲鳴が聞こえた。カリンたちはすぐに戦闘体制に入り、侵入者の下へ向かった。駆けつけるとそこには180cm超えるほどの大男が朱色の短槍を手に待ち構えていた。大男の足元には部下たちの躯が散らばっていた
「何者だ!」
すると大男が静かに構えつつも殺気と威圧感がヒシヒシと伝わってきた。こいつは出来る、部下たちもこの大男の放つ殺気と威圧感にピリピリと肌に感じ、警戒を続けた
「我が名はサコン・シマ。」
名乗った同時に、危機察知能力が働いた。サコン・シマ、よりにもよってこの男か。下手すれば我等は・・・・
「主らの母国であるジュリアス王国の野望、ここで終わらせてやる。」
この男、我が国の計画を知っている!くっ、抜かったわ。すると部下の一人が大男の下へ斬りかかった
「くっ!」
「待て!」
私の制止を聞かず、部下の一人が大男に斬りかかったが、大男が目にも止まらぬ槍捌きで一瞬のうちに仲間を刺殺した。そこから大男の仲間である忍びと騎士たちが続々と入ってきた
「我等はブリュッセル辺境伯家の者である。賊ども、神妙にしろ!」
「くっ!知られたからには全員、殺せ!」
一人の騎士が宣戦布告をしたと同時にカリンたちも戦闘体制に入り、ついに両者は激突したのである




