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165話:内部粛清

ここはシュバルツ王国執務室、ルナはマルギニア民主共和国総統の側近が島左近をスカウトをしに来た事を報告した。執務室にはロバート・シュバルツととルナの2人だけであった


「ふん、大盗人の国が欲張りおって。」


「幸いにもサコン・シマが辞退した事で未然に終わりましたが彼の国は他国にも人材を求めている可能性が浮上いたしました。」


「うむ、由由しき事態だ。」


「陛下、直ちに各国にマルギニアの奸計に乗らぬよう手配いたしましょう。」


「手ぬるい。各国にマルギニアの関する弾劾状を叩きつけよ、大盗人の国の毒牙にかからぬようにな。」


「畏まりました。」


シュバルツ王国は直ちに各国にマルギニア民主共和国の弾劾状を送り付けた。弾劾状の内容には人材流出という文字や島左近のスカウトも書かれており、これを危険視した各国を人材流出を防ぐためにマルギニア民主共和国の関係者の入国規制を行った。中にはスカウトに乗り、マルギニアへ向かおうとしたした者がいたため、その場で保護したのである。その頃、マルギニア民主共和国では人材確保に難航し、溜め息をつくフレイク・マルギニアと気まずそうにフレイクを見つめるバイルの姿があった


「バイル、厄介な事になったな。」


「はい・・・・」


「サコン・シマがシュバルツ王国の内政官にお前の正体や目的を話した事によって事が露見した。益々、国家の運営に差しさわりになった。バイル、サコン・シマから返事が来ないあたりで辞めておけば良かったものを・・・・」


「申し訳ございません。」


「はあ~、今さら悔いたところで遅い。こうなれば我等だけでやっていくしかない。マコトの後任は何とか軍を纏めているが、問題はマコトを信奉する一派だ。」


フレイクが危惧していたのはマコトを慕う武闘派の集団である。もしマコトを暗殺した事が露見すれば間違いなく反乱を起こす可能性がある。せっかく国作りが徐々に軌道に乗ってきたというのに、未だに命に従わないのである


「奴等は未だにマコト・アララギを慕っている、奴等にはマコトは未だ行方知れずと伝えているが、もし暗殺の事が奴等の耳に入れば、我等の苦労は水の泡になる。」


「同志フレイク、いっそのこと一派に命じてマコト探索の任を命じては。」


「正気か、同志バイル!」


「いつ爆発するか分からない一派をこのまま置いておくよりも、このまま野に放つ他はありません。」


「・・・・致し方ない。」


フレイクはマコトを慕う一派を呼び、改めてマコト探索の任を命じた、ただしマコトを見つけるまでは帰還してはならないという制約をつけられた。一派は涙を流し、ひたすら「ありがとうございます!」と御礼の述べ、部屋を後にしたのである。フレイクは罪悪感を覚えつつも、厄介払いできた事に少しばかりホッとした。マコトを慕う一派のリーダーであるアサルド・ブレイクは一抹の不安を覚えた。マコトを見つけるまでは帰還してはならないという制約である。アサルドはマコトの方向音痴を知っており、どこにいるのかも分からない。探すにしても手掛かりがないのである


「まさか、我等を追い出すための算段ではないか?」


アサルドは仲間たちを集め、今回のマコト捜索の任務について疑問視している事を仲間に伝えた


「同志たちよ、此度の同志マコトの捜索、きな臭くはないだろうか。」


「何を申しておるのだ、同志アサルドよ、同志マコトを探す事自体、どこがきな臭いのだ。」


「忘れたのか。同志マコトは極度の方向音痴でどこに行くのかも分からない状態だ、それに見つかるまでは絶対に国に帰ってはならないなんて、どう考えてもおかしいだろ。」


「そういえば、そうだな。」


「まさか同志フレイクが我等にそのような事を・・・・」


マコト探索を喜んだ仲間たちも、冷静になって考えてみると今回の任務に二の足を踏み始めた。自分たちは同志マコトを信奉し、時には上からの命令にも逆らう無骨者の集団である。そんな自分たちをフレイクは国から追放したいのではと結論に達した


「間違いなく我等を追い出すための方便かもしれん。」


「俺たちは同志マコトと共に国家樹立に貢献してきたというのに!」


「俺たちはお払い箱ってことか。」


「そうだ、そうに違いない!」


「それでどういたすのだ、このまま言う通りにするのか?」


「我々に残された道はただ一つ、決起あるのみ!」


「まさか、同志フレイクを亡き者に・・・・」


「いや、同志フレイクを影で支えるバイル・エゲレスを亡き者にするんだ。」


「そうだ、同志マコトは奴の奸計で失脚したんだ、今度は我等の手で奸賊バイル・エゲレスを暗殺するんだ!」


アサルドたちはバイル・エゲレス暗殺の計画を立てた。相手は切れ者のバイル、事は隠密裏に行う必要があった。アサルドたちはまず食糧買い出しをするためと言って時間稼ぎを行い、バイルが屋敷へ戻る時間帯を狙って襲撃をかけようとした。バイルの方はというと一向に出発しないアサルドたちに違和感を抱いた。試しに人を使って調べてみると、何と自分を暗殺する計画を立てていると知り、愕然とした


「私を亡き者にするとは何と愚かな連中だ!」


バイルはそのままフレイクの下へ向かい、アサルドたちの計画を伝えた。それを聞いたフレイクは頭を抱えた


「恐れていたことが起こったか。」


「いいえ、まだ起きてはいません、これを機に奴等を排除いたしましょう。」


「どうやってだ、奴等は一騎当千の強者だぞ。真っ正面からやり合えば間違いなく多くの被害が出る。」


「奴等の土俵で戦う必要はありません、」


「何だと?」


「私にお任せを。」


フレイクはアサルドたちを招き、細やかながら宴を催した。マコト探索の成功を祝うためである。アサルドたちはまだ計画が露見していないと思い、宴に参加したのである


「同志たちよ、細やかだが宴を催した。さあ、飲んでくれ。」


「「「「「ありがとうございます。」」」」」


一斉にグラスを飲み干した後に、料理が運ばれた。出てきたのは子牛の煮込み料理であった


「同志フレイク、我々のためにこのような料理を振る舞ってくれるとは、感涙に咽ぶ心地です。」


「うむ、皆は懸命に働いてくれたからな。それに同志マコトの探索にも参加してくれたんだ、これくらいやって当然だ。」


「ありがとうございます、同志フレイク。」


「「「「「ありがとうございます!」」」」」


「ささっ、冷めないうちに食べてくれ。」


アサルドたちは早速、子牛の煮込みを頂いた。日々、質素倹約の生活が続いたため、久し振りの肉料理に舌鼓をうつアサルドたち・・・・


「うん、美味い!」


「これほど美味なものははじめて・・・・ぐっ!」


「ごほっ、ごほっ!」


アサルドたちは突然、苦しみ出し、そのまま椅子から転げ落ちてのたうち回った。アサルドはフレイクを睨み付け、「謀ったな。」と言い放った


「許せ、同志たちよ。」


フレイクは目から涙を流し、苦しむアサルドたちを眺めていた


「お、おのれええ。」


恨み言を述べたアサルドはそのまま息を引き取った。他の仲間たちもアサルド同様、フレイクを睨み付けたまま、息を引き取った。全員が死んだのを確認したフレイクはバイルを呼んだ


「全員、始末したようですな。」


「あぁ、最期まで私を怨んでおった。」


「同志フレイク、国のためです。」


「分かっている、同志バイル、この者たちを丁重に葬ってくれ。」


「はい。」


「あの世で同志マコトと共に見守っておくれ。」


かくしてマコト信奉者たちによる謀反は未然に防ぎ、マコト一派は壊滅したのであった




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