158話:橋の完成
島左近清興だ、橋の建築の方は順調に進んでおり、ゴンザは意気揚々と「大船に乗ったつもりで任せてくれ」と豪語しおったわ。一方、商人たちは【小田原評定】の如く無駄な会合を開いておった。そんな事する暇があったら今から投資しても良いものを・・・・
「主もそう思わぬか、シリウス。」
「きゃ、きゃ♪」
「主もそう思うか。」
「ちちうえ、構って!」
「構って!」
「ふふふ。」
ワシはアリーナと共に子供たちと一緒に遊んでいた。こうして家族団欒な日々を送るのも久し振りだな、領地が増えると仕事も増える、特典【若返り&病気にかからない強健な身体】のおかげで、身体も壊さず病にもかからずやってきた。やってきたが、やはり人手は欲しい・・・・
「人手欲しい・・・・」
「何か仰いましたか?」
「何でもない。」
それから月日が経ち、ゴンザから橋が完成したと知らせが届いた
「誠か、それは。」
「はい、お疑いなら御自分の目で確かめてくだされ!」
「うむ、では参ろう。」
ワシらは早速、完成された橋へ向かうために【カンバス地域】へと向かった。橋の近くには人だかりができており、その中にはマシリト姉弟や他の商人たちも来ていた。ワシが現れると人だかりは道を開けた、するとそこには橋が出現したのである
「おお。」
ワシの目の前には立派な橋が存在しており、思わず驚嘆した。ワシの横にいたゴンザは誇らしげにワシに橋の感想を聞いてきた
「どうです!」
「おお、立派な橋だ!」
「へへ、ありがとうございやす!」
すると向こうから元ソビエット子爵領の民たちも騒ぎを聞き付けて駆け付けてきたようだ。例の橋を見た途端、民たちが歓喜した
「橋が出来たぞ!」
「おお、これで向こうに行けるぞ!」
「遠回りせずに済むぞ!」
元ソビエット子爵領の民たちは自分の事のように喜び合っていた。ワシは橋が完成した事を報告するため、内政官であるルナ・キサラギ宛にワシと監視役の報告書を作成し、先にティアが送り、ワシは1日遅れて報告書を送った。ティアが送った報告書を受け取ったルナは早速、国王ロバート・シュバルツに渡した
「橋が完成したか。」
「はい、子爵領の民たちも喜んでおりました。」
「うむ。」
「サコン・シマは後から報告書が送られる予定です。」
「そうだな。」
1日遅れて島左近の報告書が届いた、書かれている内容はティアとほぼ同じだが、橋の建築に関わった者たちの活躍も書かれていた
「ふん、サコン・シマめ、自分だけではなく橋作りに貢献した者どもの事も書きおったわ。」
「如何いたしますか?」
「決まっておる、他の者にも褒賞を与えねばな。」
「畏まりました。」
それから1週間後、ワシはマシリト姉弟やゴンザ等、橋作りに関わった者たちが集会場に集まり、ワシらは平伏して、ルナから勅諚を賜った。まずワシだが、事前に調べた通り、元ソビエット子爵領を賜ることになった。ルナいわく「子爵領の民がワシの下で暮らしたい」との嘆願書があったのだとか、まあ理由がどうであれ子爵領にある青芋を得ることができたのは幸先が良い。次にマリシト姉弟は橋作りに投資した事で、大量の金貨と国王直筆の感謝状を賜った。マシリト姉弟が国王からの感謝状に手を震えながら受け取った。最期に橋作りに貢献したゴンザとその他の大工たちにもマシリト姉弟と同様、大量の金貨と国王直筆の感謝状を賜った。マシリト姉弟同様、国王からの感謝状に全身冷や汗をかき、手が震えつつも受け取った。役目を終えたルナはワシの下へ向いた
「サコン殿、本日の御役目、ご苦労にございます。」
「某だけの力ではござらぬよ。」
「陛下はソビエット子爵の振る舞いに心を痛めておりました。それ故、陛下は民からの嘆願書に応え、サコン殿に子爵領と民たちを任せようとお心を配られました。」
「左様のござるか、微力ながら御役目を全うする所存にござる。」
「では私はこれにて失礼いたします。」
「道中、お気をつけて。」
ルナは馬車に乗り、王都へ帰還した後、ワシはマシリト姉弟を呼び出した。呼び出されたマシリト姉弟は緊張した面持ちでワシの下を訪れた
「突然、呼び出してすまなんだ。」
「いいえ、私どもは準男爵様のおかげにて、陛下より褒美を賜りました。」
「ありがとうございます。」
「まあ、それは置いといて、そなた等を呼んだのは他でもない。本日よりそなたらを御用商人に任命しようと思う。」
それを聞いたマシリト姉弟は驚愕の表情を浮かべ、互いに見合わせた後、再びワシの方へ向き、再度尋ねた
「そ、それは本当ですか!」
「ああ、本日よりマシリト商会は我が領地における様々な特権を認める。」
「あ、有り難き幸せにございます!」
「そなたらの大博打、見事に当たって良かったな。」
マシリト姉弟は再び平伏してワシの礼を述べた。姉弟にとって今日ほど幸福と呼べる日はないであろうな。ワシとしても信用に値する商人を見つけて良かったと思っており、他の商人も後になって「投資しとけば良かった」とほぞを噛んでいるであろうな・・・・
「さて奴らは今頃、どうしておるかな。」
一方、投資をしなかった商人たちは左近の読み通り、後悔の真っただ中であった。しかもマシリト商会が御用商人に選ばれた事により更に立場が危うくなったのである。そこからは互いに罵り合い、責任の擦りつけあいが始まった
「お前たちが反対したせいで、褒美が受け取れなかったじゃないか!」
「だからあの時、投資をすれば良かったと言ったんだ!」
「お前があの場で強く言っていれば良かったじゃないか!」
「責任を持ちたくないと言ったのはお前じゃないか!」
「何を!」
「やるか!」
「落ち着け!まずは御用商人になったマシリト姉弟に挨拶に向かわねば・・・・」
「そうだな、今にうちに唾をつけとけば・・・・」
商人たちは挨拶代わりに大量の贈り物をマシリト商会に送ったが、マシリト姉弟は今までそっぽを向いていたにも関わらず御用商人になった事がきっかけで掌を返すように媚びを売る商人たちの嫌悪感を抱き、礼状一本だけで済ませた。マシリト商会から礼状1本だけで色よい返事がないことを確信した商人たちは密かにマシリト商会の誹謗中傷等の嫌がらせを行ったが・・・・
「信用棄損及び業務妨害の罪にて逮捕する!」
「ま、まってくれえええええ!」
「な、何故ばれたんだ!」
マシリト商会に誹謗中傷等の嫌がらせを行った商人たちは警備隊によって一斉に検挙された。商人たちは出された証拠の数々に手も足も出ず、続々と牢屋に入れられた。更に商人たちの経営する商会も今回の事件を機に、次々と倒産及び破産してしまい、一家が路頭に迷う羽目になり、更に民たちから白眼視され、逮捕された商人の家族は一家が離散し、借金返済のために生き地獄を味わう事になったのである。今回の事件を影で監視し、誹謗中傷などを行った商人たちを豚箱送りにした島左近はえらくご満悦な表情を浮かべた。島左近は予てから商人たちの動きを監視しており、事を起こした商人たちの悪行の数々を警備局に提出したのである
「ワシを敵に回すからこうなるのだ、うつけもの共が。」




