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154話:謀殺

島左近清興だ、ワシの下に知らせが届いた。マルギニア民主共和国は飢饉・干魃に苦しんでいるのだとか、総裁であるフレイク・マルギニアはあれこれやっているらしいが兵と民たちの逃亡が相次いでいるらしい・・・・


「【虎の牙】も天災には手も足も出ないようだな。」


こちらはというと、例の猪肉を使って猪鍋ししなべにした。鍋の中に薄切りにした猪肉に、野菜、根菜、きのこ類、芋類、蒟蒻、麩、豆腐と一緒に煮つつ、取り寄せた昆布や鰹節を入れて、そこに豆味噌と溜まり醤油を入れて味付けにした。特に猪肉は徹底的に煮込み、旨味を引き出した。早速、ワシらは出来上がった猪鍋を食べたが、猪肉が絶妙な味付けをしており、食が進んだ。本当はアリーナにも食べさせたかったがアリーナは遠慮した。今は医者の勧めで消化のよい食べ物を食す事に専念したいとの事だ


「うむ、久し振りの猪肉は美味いな。」


「左様ですな。」


久し振りの猪鍋に舌鼓をうちつつ、御礼状の格闘しようやく書き終えた


「よ~し!オワッタアアアアアアア!」


御礼状を郵便局へ渡した後、ワシは生まれたばかりのシリウスの顔を見に行くことにした。そこへアルグレンとサリーナを見かけ、ワシの下へ駆け寄ってきた


「「ちちうえ!」」


「アルグレン、サリーナ、これよりシリウスの下へ行くが一緒に行くか?」


「「いく!」」


ワシはアルグレンとサリーナと共にシリウスのいる部屋へ赴くと、そこにはきゃきゃとはしゃぐシリウスの他にウルザと娘のヨームがいた


「あ、主様と坊ちゃまとお嬢様。」


「あるじさま!」


「遊んでおったのか。」


「ヨームも一緒に行きたいと申しておりまして。」


ヨーム・ソウマは息子のアルグレンと同い年の3歳、黒髪短髪、色白の肌とぱっちりとした紫眼、愛らしい顔立ち、将来美人のなるのは必定だな。ワシはシリウスを眺め、あやした


「シリウス、父が参ったぞ♪」


「きゃ、きゃ。」


「おお、よい子じゃ、よい子じゃ♪」


「「む~!」」


するとアルグレンとサリーナは自分も構ってとワシの裾を掴んだ


「あらあら坊ちゃまもお嬢様も焼き餅を焼いちゃったのでしょうね。」


「あはは・・・・」


ワシは苦笑いを浮かべつつ、アルグレンとサリーナの相手もした。それから数日後、アリーナも気分を持ち直し、普段通りの生活を送れるようになった。産後の肥立ちが悪く、亡くなる女子が現世でもおったから安堵した


「旦那様、子供はもう宜しいです。」


「そうか。」


アリーナは子供は3人だけでいいと申しておった。アリーナ曰く、これ以上、体型を崩したくないらしく、アルグレンを出産した後、ユカリから護身も兼ねて剣術や薙刀術を習って体型を崩さないようにしているのだとか・・・・


「私も奥様に負けないように体型を維持しなきゃ!」


ウルザもヨームを出産した後にアリーナと共にユカリから剣術や薙刀術を習い、体型を崩さないように励んでいると与一が申しておった


「主様、女はいくつでなっても綺麗でいたいんですよ。」


「そうです、私だって菓子を食べ過ぎて少し体型が崩れてしまったから・・・・」


シグレやティアも体型が崩れるのを嫌い、食事を制限しながら鍛練を欠かさないのだとか・・・・


「サコン殿。」


「サマノスケ殿、どうした、頬が真っ赤だぞ。」


「ははは、お恥ずかしながらユカリに少し太ったかと言ってしまったら、思い切りビンタされました。おかげで小遣いと飯の量を減らされました」


「あはは。」


どうやらユカリも子供を出産してから些か体型が崩れたのをサマノスケに指摘され、体型を戻そうとアリーナたちと共に頑張っているらしい


「体型の崩れは心の乱れ、私たちは元の体型に戻るまで戦い続けるぞ!」


「「「「オオオオオオ!」」」」


「女子の心は複雑じゃのう。」


「左様ですな。」


アリーナたちの話はここまでとして、最近だがワシの領地に続々と流民が入ってきた。他国からではなく、全てシュバルツ王国の民たちである


「一体どこから流れ込んできたのだ。」


「この民たちは全てソビエット子爵の領地から出た民たちにございます。」


「ソビエット子爵だと?」


ソビエット子爵の領土はワシの治める領土である【カンバス地域】に属する河川の向こう側にある土地が、ソビエット子爵家の治める土地であり、元々は豪商の出で先代が献金して男爵位を得た後に、子爵に出世し褒美として土地を賜った。今は先代の養子(妹の息子)であるヤルク・ソビエット子爵が治めているが、評判は芳しくなく現にソビエット子爵家の領民はワシの領地へ逃げ込んでいる始末である


「左近様、もし子爵が領民を返せと因縁をつけてきたら如何いたします?」


「愚問だな・・・・与一、主にこれをやる。」


左近が机の引き出しから取り出したのは【虎の牙】の紋章のついた銅板だった


「これは、死神騒動を起こした女子の持ち物ですな。」


「与一、耳を貸せ。」


「はっ。」


ワシは与一の耳にある事を吹き込んだ。それを聞いた与一は悪い笑みを浮かべた、それにつられてワシも悪い笑みを浮かべたのである。一方、領民の相次ぐ逃亡に業を煮やしたヤルク・ソビエット子爵は配下と共に島左近の治める領土へ向かおうと思っていた。用件は逃亡した領民を返上を要請にである


「くそ、領民どもめ、ソビエット家の恩を忘れおって・・・・」


先代の跡をついだヤルク・ソビエット子爵、年齢は20代後半で見た目は金髪碧眼、色白で肥満体で二十顎の男である。実はこの男、先代の妹の子供(甥っ子)であり、養子に迎えていたが、当主欲しさに先代である伯父に毒を盛って殺害し、その後、義伯母も同様に殺害し、ソビエット子爵家を乗っ取ったのである。子爵になったヤルクは質素倹約な家風を廃し、酒池肉林の生活を送るようになった。贅沢をしたくて過酷な税を取り立て、支払えない場合は男は奴隷、女は夜伽といった生活を送っており、すっかりブクブクに太っていたのである


「くそ、せっかく貴族になったのに領民が逃亡したら贅沢ができない!」


「旦那様、領民たちはサコン・シマ準男爵のところへ逃亡したようです。」


「ふん、国王に気に入られた平民の事か、よし私が直々に懲らしめてくれよう!」


ヤルク・ソビエット子爵とその一行は馬に乗って向かっていた。馬車は領民たちが全て持っていったため、馬で行く羽目になったのである。数少ない領民たちは子爵一行が現れると、そそくさと消えた


「全く失礼な奴らだ。」


河川には橋がないため遠回りをしながら島左近の領土へ向かう途中、怪しき影が子爵一行を狙っていた


「よし、奴らを狭い路地まで来たら仕掛けろ。」


「御意。」


そうとは知らない子爵一行は狭い道路に差し掛かるのを見合わせ、黒装束の集団が弓矢と弩を子爵一行に向け、「放ってえええええ!」と黒装束のリーダー格の号令の下、矢の雨が子爵一行を襲った


「なっ!」


子爵一行は突然の矢の雨に右往左往し、ヤルク・ソビエットは何とか逃げ出そうとしたが、狭い路地のため上手く動けずにいた。そこへ一行に重点的に矢の雨が降り注ぎ、ヤルク・ソビエットの体に複数の矢が突き刺さった


「が、あああ!」


「だ、旦那様!」


ヤルク・ソビエットは全身の矢を受け、落馬した。部下たちも矢の雨の餌食になり一人、また一人、息絶えた


「が・・・・しゅ。酒池肉林・・・がふ。」


ヤルク・ソビエット子爵は貴族になってから数ヵ月、贅沢三昧の暮らしをし、領民を苦しめた男はあまりにも残酷な最期を迎えた。一行は全滅し、黒装束の集団は全員を串刺しにした後、虎の紋様が入ったの銅板を落とし、その場を退散したのであった







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