151話:自害
ここはブレメルン王国の地下牢、この地下牢に故人である王太子ルイス・ブレメルンの浮気相手であるリルル・エリトリア、ルイスの独断で行った婚約破棄と国外追放が国王やマーリーの実父であるサラシリア伯爵にばれて、ここに幽閉されている
「どこで間違えたのよ、私・・・・」
リルルは小さい頃から王妃への憧れと羨望を抱いており、いつか王太子と一緒になり王妃の座に君臨しようと考えていた。幸いにも容姿には恵まれており、見た目は赤みがかった金色の長髪、色白の肌、金色の眼の美少女であり、よくモテた事が自慢である。そんなある日、偶然王太子であるルイス・ブレメルンにばったりと会い、持ち前の女の武器を使って王太子を篭絡させることに成功した。しかし問題があった、そう婚約者であるマーリー・サラシリアの存在である。元はサラシリア伯爵と妾であるメイドとの間に産まれ、平民生まれの成り上がり令嬢である
「成り上がり者のくせに王太子の婚約者なんて妬ましいわ。」
リルルは早速、ルイスに讒言し徐々に二人の仲は険悪になっていった。もう少しというところで、あの女、国王や実父に告げ口しやがった。おかげで私は両親から大目玉をくらい、謹慎することになった。ようやく謹慎が解けて、学園に入学すると周囲から嘲笑され陰口を叩かれた
「娼婦もどきが来たぞ。」
「あらあら。」
「見るからに浅ましいわね。」
「どうやって殿下を誑し込んだのやら。」
それもこれも全部、あの女のせいだわ、ルイスと再会し、互いに傷を舐めあいながら、リルルへの復讐を画策した。途中でばれて再び謹慎と再教育を課せられつつ、ようやく計画を実行に移した。ルイスは自分に仕える騎士たちを配置させ、手紙を使っておびき寄せ、捕らえたところ、罪状を並び立て身分剥奪の上で国外追放を決行することにした。こうすれば国王も伯爵も手も足も出ないという寸法である。案の定、あの女は1人でノコノコ来たわ。そこへルイスと私が登場し、合図を送り、あの女はまんまと騎士に捕縛された
「マーリー・サラシリア、貴様は私の想い人に嫌がらせをした罪は断じて赦しがたし!よって王太子の名も元に貴様の貴族の身分を剥奪の上で国外追放を命じる!」
あの女はポカンとした表情で私たちを見続けたわ。ざまぁみろとはこの事よ・・・・
「最後に言っておきたい事があるなら聞いてやる!」
「・・・・ございませんわ殿下、ではさようなら。」
あの女はポカンとした表情から冷めた表情に変わり、別れの言葉を述べた後に国境まで連れていかれた。泣き叫ぶのかと思ったが拍子抜けしちゃったわ
「リルル、これで君と一緒になれるよ。」
「はい、殿下。」
しかし私たちの幸せな時間はあっという間に打ち砕かれた。婚約破棄と国外追放が国王や伯爵の耳に入り、私とルイスは捕らえられた
「私は王太子だぞ!離せ!」
「私は次期王妃よ!」
「喧しい!」
そこへルイスの父である国王が現れた。大変な剣幕で私たちを睨み付けた
「ルイスよ、いつからお前は人を裁く権利を与えたのだ。事と次第によってはお前を廃嫡いたすぞ。」
国王の口から廃嫡という言葉が出た途端、ルイスは先程の強気な態度が一変し言い訳を開始した
「ち、父上、お待ちください。確かに父上の許しもなく勝手にやったことは認めます。しかし元平民の血を引く者を婚約者にすれば王家の血が穢れます!」
「ルイスよ、それを決めるのはこのワシだ!そちではない!」
「陛下、私はマーリー様に苛められたんです!殿下は私のためにやったことなんです!」
国王は私を睨み付けた、淡々と私を問い詰めた
「貴様、誰の許しもなく勝手に申しておるのだ?元を正せば貴様のせいではないか?貴様がルイスをろう絡しなければこの愚か者は廃嫡にまで追い込んだんだからな。」
それを聞いた私は背筋が凍った。ルイスが廃嫡されたら私は王妃になれないじゃないと思いつつ、国王はルイスに仕える側近と騎士たちに目を付けた
「お前たちはルイスの言いなりになり、マーリー嬢を濡れ衣を着せ罪に陥れた。その罪は赦しがたし、よって貴様らを死罪に致す。」
「「「「「な、何卒御許しを!御許しを!」」」」」
ルイスに仕える側近と騎士たちに命乞いをしたが聞き入れられず、連れていかれ処刑されたのである。ルイスは何とかこの場を乗り切ろうと必死に知恵を巡らし、マーリーを連れ戻す事にした
「ち、父上。何卒にこの私にマーリー探索の下知を下さい!私が責任を持って連れ戻します!」
「ルイスよ、今さら貴様の下に戻ってくると思っているのか?」
「私は誠心誠意謝罪し、説き伏せますので何卒!」
ルイスの必死の弁明に国王は溜め息をつき、ルイスを見やった
「ならばマーリー嬢を探し出し、必ずや連れ戻すのだ、勿論、婚約破棄は白紙にし身分も伯爵令嬢に戻す、よいな!」
「ははっ!」
「その前にルイスを誑し込んだ女狐には地下牢に入って貰おうか!」
国王の命で私は衛兵によって連れていかれた
「殿下!お助けを!」
ルイスは私の方は見ずにただ黙っているだけで私を助けようとしなかった。あれから私は地下牢に入ったまま、事態がどのようになっているのかは知らない。ここには食事以外は誰も来ない、ベッドとトイレと換気用の拳大ほどの四角い穴があるだけ・・・・
「どうも調子が出ないな。」
最近だが体の調子が悪くなっている。食事を持ってくる人に話すと「ここにはいれば調子が悪くなるのは当たり前」と突き放すように言い放った。それから私は自分の異変に気付いた
「わ、私の髪が・・・・」
私の自慢の金色の髪が真っ白に変色していたのだ。それだけではない、手を見てみると滑らかな肌が、しわしわの老婆のような肌になっていたのである
「いや、イヤアアアアアアアア!」
私は自分が老いていく恐怖に気が狂いそうになった。私は恥も外聞もかなぐり捨てて、必死に命乞いをした
「私が悪うございました!私はただ王妃になりたくてマーリー様を陥れました!もう王妃になりたいとは思いません!殿下にも近付きません!マーリー様にも謝ります!だから出して!」
しかし誰も私の言葉を聞かず、空しく響くだけであった。すると私の耳元で幻聴が聞こえるようになった。全て私に対する悪口が嘲笑の類いである
「ふふふ、言い様ね!」
「身の程知らずとはこの事よ。」
「娼婦もどきに相応しいわね。」
「キャハハハハ!負け犬!負け犬!」
「リルル、お前には失望したぞ。」
「お前なんか産まなきゃ良かった!」
「この、恥さらしが!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!許して!許して!」
私はひたすら謝罪するしかできなかった。もう生きていたくない、死にたいという欲求が心を支配した
「私が死ねばもう悪口を聞かなくてすむ、あはは・・・・」
私はベッドのシーツを使い、自分の首をひたすら絞め続けた。苦しかったが、それ以上に楽になりたいという欲求が支配していたため、私は自分の首を絞め続け、ようやく私は永遠の眠りについた
「(さようなら殿下。)」
「そうか、死んだか。」
「はっ、自害したものと思えます。」
報告を受けた国王はリルルの骸を秘密裏に処理するよう命じたのである。リルルの実家は爵位を返上し平民として生活する事になったらしく、リルルが自害したことも知らない。かくして王太子のルイスと浮気相手のリルルの生涯はこうして幕を閉じたのであった




