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14話:婚約破棄

島左近と颯馬与一はセシリア・ブリュッセル辺境伯令嬢とともに辺境伯領へ帰還する一方で、王都では・・・・


「この大馬鹿者オオオオオオオオオオオオ!」


シュバルツ王国王宮では、金髪碧眼、色白の美中年、30代後半である当代の国王であるロバート・シュバルツは、父に似て金髪碧眼、色白の美男子、10代後半である王太子である息子のロゼオ・シュバルツを叱責していた。しかし肝心のロゼオは意にも返さなかった


「私が不在の時に勝手に婚約破棄とは何事だ!しかも領地に蟄居とは!」


「ですが父上、セシリアはカリンを苛めていたのです。だから婚約破棄をしたのです!」


「戯け者が!セシリア嬢は普段は妃教育で忙しく、お前にも会っておらぬし、ましてや浮気相手の顔など知る物か!第一証拠はあるのか!」


「証拠はカリンの証言です!」


「浮気相手の証言などあてにできるか!」


「なっ、父上といえど許しませぬぞ!」


「喧しい!この婚約はお前がセシリア嬢と一緒になりたいと駄々を捏ねて、結んだものだ。それをお前が勝手に潰しおって!」


「昔の事など当に忘れました。私はカリンと出会い、彼女を婚約者にしようと決めたのです。祝福こそすれ、叱責されるいわれはございません。」


ロバートは改めて子育てに失敗したと悔やんでいた。亡き王妃との間にできた唯一の男子であり、ブリュッセル辺境伯家の後ろ盾もあって、何とか世継ぎとしてていをなしたが、此度の事でご破算となった


「ロゼオ、お前を廃嫡とする。」


「は、廃嫡!」


「お前が国王になれば間違いなくシュバルツ王国は終わる。王太子は第2王子であるロミオ・シュバルツとする。」


「側室との子供ではありませんか、亡き母上も草葉の陰で泣いておりまするぞ!」


「喧しい、むしろ泣かせたのはお前の方だ!誰か!こやつを連れていけ!」


「父上!くそ!このままで済むと思うなよ!必ず後悔するからな!」


衛兵に連れていかれる愚息にロバートは項垂れた。今のロゼオは未だ悪女に骨抜きにされ洗脳された操り人形である。そしてその悪女は未だに見つからないことだ


「まだ見つからぬか。」


「はっ!くまなく探しておりまするが・・・・」


「やはりどこぞのスパイか。」


一方、ロゼオの浮気相手である銀髪緑眼、色白美少女であるカリンは王都の人気のない隠れ家に潜んでいた


「役立たずが。もう少しだったのに。」


カリンはロゼオを罵った。もう少しで王太子の婚約者になり、いずれは王妃になると思っていたが、ロゼオが勝手に婚約破棄をしたと知ったときは、不味いと思い、ロゼオの下を去り、身を隠していたのである


「あのボンクラはまだ使い道がある。とりあえずはここで息を潜むか。」


カリンは再び身を隠し、時が来るのを待っていた



その頃、左近たちはブリュッセル辺境伯領に入り、無事に屋敷へと到着した


「サコン殿、ヨイチ殿、ここが我が屋敷ですわ。」


ワシと与一がセシリアの指さす方向を見ると、巨大な邸宅があり、邸宅は台地の先端部に位置しており、周囲は断崖になっており、3つの池が堀となり、天然の要害となっており、大手門へ行く道は狭く、まさに自然に囲まれた要害堅固の丘城と思わせる。するとセシリアが感想を求めてきた


「どうですか、我が屋敷は?」


「これは攻めにくいな。」


「それは嬉しいですわ。この天然の要害が我が屋敷の自慢ですのよ。」


「まことに。」


ワシは素直にそう思った。攻められる場所が限られており、唯一の攻め口といえる大手門への道は狭く、少しずつ兵を入れる事しかできず、格好の的となる。ここで敵が弓矢や鉄砲を放てば、間違いなく味方に被害が出るのは間違いない。河川に堰を設けた後、堰を切って敵城に向けて河川を流す水攻めか、高台から大筒(大砲)を放つか、それか長期戦覚悟で城を包囲し兵糧攻め、もしくは内通者を作るかが無難だろうな。ワシがこの城をどう攻めるか考えていると、与一が読唇術を使い話しかけてきた


「(左近様、如何ですか。この城。)」


「(うむ、なかなか良き城じゃ、久しぶりに武人の血が騒ぐわい。)」


ワシらが大手門へ近づくと門番がセシリアの姿を見た途端、驚いた表情で見つめた


「セシリアお嬢様、王都におられたはずでは!」


「ワケあって、領地へ戻ってきたの、父上に取り次いでくれるかしら?」


「ははっ!ただいま!」


門番が城へ入り、待つと先程の門番が出てきて、入るよう許可が出た


「サコン殿、ヨイチ殿、参りましょう。」


「「ではお邪魔いたします。」」


ワシは大手門から入ると、通路自体も狭く、おまけに円形・三角形・四角形・長方形の狭間さままで設けている。戦闘に際はこの狭間から弓矢や鉄砲などで攻撃できる仕組みだ。狭い通路に出窓でまどまで設けるとは・・・・


「(まず力攻めは無理だな。)」


「(左様ですな。)」


ワシも与一も力攻めによる攻城戦は甚大な被害が出ると予想した。そのまま進むと門があった。門自体が人が狭く、おまけに門の上が左右側に出し(出窓)まであった。ここから鉄砲や弓矢、更に石落としも可能である


「(ますます攻めにくいわい。)」


ワシらは門に入って出口を出ると、開けた道に出た。だが三方には狭間や出し(出窓)があり、三方から攻撃できるようになっていた


「(門から入った先は三方からの攻撃、考えておるわい。)」


そのまま進むと、ようやく邸宅に到着したが、そこも出し(出窓)と狭間があり、橋がかけられていた。もしワシだったら橋自体に細工をし、敵が橋に渡ったら、そのまま橋を落とすようにする。もし向こうも同じ考えなら味方が橋を渡った際、橋が崩れ奈落の底へと落ちるだろうなとワシは思った。邸宅前にセシリアの両親である金髪碧眼の30代後半の色白美男美女夫婦であるブリュッセル辺境伯とブリュッセル辺境伯夫人とセシリアの義弟(従弟)の金髪碧眼、色白の美少年で十代前半のオシリス・ブリュッセルが出迎えていた


「セシリア、一体どうしたのだ。」


「何かあったのですか、セシリア?」


「あ、義姉上。」


「はい、突然の帰還、実は私、王太子殿下から婚約破棄の上、領地へ蟄居を命じられました。」


「何だと!」


セシリアから突然の婚約破棄と蟄居の命令、ワシと与一は正直、場違いなのではないかと思うほど浮いていた


「(左近様、あの娘は出戻りでござったようですな。)」


「(あぁ、通りで王都にいないわけだ。)」


「まぁ、その話は後で聞くとして。そちらの御方は?」


「こちらは領地へ帰還する途中で山賊に教われていたところをお助けいただきました。此度も道中の護衛を依頼し、辺境伯領へ御招待いたしました。」


「そうか、娘を助けていただき感謝いたす。」


「いえいえ、我等が勝手に行ったことですので。」


「サコン殿とヨイチ殿のおかげでこうして無事に故郷に戻ることができました。」


「サコン、ヨイチ、不躾ながら貴殿らはサコン・シマ殿とヨイチ・ソウマ殿か!」


「左様にござる。」


ワシらの名前を知った途端、ブリュッセル辺境伯が目の色を変えて、ワシに近づいてきた。ワシらは警戒しつつ、ブリュッセル辺境伯は・・・・


「貴殿が彼のサコン・シマ殿か!武名はこの辺境伯領にも轟いておる。」


「お褒めにいただき恐縮にございます。」


「ヨイチ・ソウマ殿もサコン殿の右腕とこの辺境伯領に轟いておる。」


「畏れ入ります。」


「これも何かの縁、是非、貴殿らの武辺話をお聞かせ願いたい。おい、客人だ、丁重にもてなせ!」


「ははっ!」


「「畏れ入ります。」」


その後、ワシと与一はブリュッセル辺境伯から手厚い歓迎を受けることになるのであった



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