148話:珍客
ここはシュバルツ王国国境付近、ここに3人の男女が立ち尽くしていた
「とうとう到着したぞ。」
男は仲間の敵討ちのために国を捨ててきたマコト・アララギ、元【虎の牙】の最古参であるが、直情径行なところがあり、【虎の牙】の総帥であるフレイク・マルギニアに疎まれ、失脚し現在に至る
「チャーリー、これで良かったのか。」
「私たちはシュバルツ王国へ案内しただけだから、用件が済めば、後は知らないわ。」
道案内をした勇者、チャーリー・プレスとコーネリアスはシュバルツ王国のギルドで仕事を探すついで連れてきたがシュバルツ王国に入ってしまえば、後は離れ離れである。早速、3人は国境の正門に辿り着き、通行証を警備兵に見せた後、何事もなくシュバルツ王国に入国することが出来た
「世話になったな、2人とも。」
「いいってことよ。」
「それじゃあ、私たちは町へ行くから。」
「ああ、さらばだ。」
チャーリーとコーネリアスはマコトと別れて、町へと向かった。マコトは王都へ向けて、前進した
「ふふふ、待ってろ国王、貴様の首はこの俺がいただくぞ。」
一方、チャーリーとコーネリアスはとある町に到着し、ギルドへ向かっていた。道中で軽食を取りながら、ギルドへ辿り着くと、そこにはマコトがいた
「あれ、マコトじゃない、何やってんの?」
マコトはこっちに気付き、駆け寄ってきて、第一声が「王都はどこだ!」と発した。チャーリーとコーネリアスは耳を疑った
「あんた、ここは王都と正反対の方向なんだけど・・・・」
「何!俺はちゃんと王都へ向かっていたのに!」
「あ(そういえば、こいつ極度の方向音痴だった。)」
チャーリーとコーネリアスはマコトの方向音痴を思い出し、頭を抱えた。そうとは知らず、マコトは「王都へ案内しろ」と命令口調で頼み込んだ
「嫌だね。」
「何だと!」
「私たちはシュバルツ王国まで道案内したんだ、後は自分だけで行きなさい。」
それを聞いたマコトは顔を真っ赤にさせ、「もう、お前らには頼まん!」とプンスカしながらギルドを出ていった。厄介者が出ていった事でチャーリーとコーネリアスはホッと溜め息をついた
「やっと煩い奴が消えたよ。」
「むしろ清々したわ。」
チャーリーとコーネリアスは何か仕事がないか職員に聞き、ようやく仕事を見つけ、応募し現地へ向かった。本日の任務は献上品「馬車一台分の鉄鉱石」の護衛であり、場所は王都である
「まさか王都へ行くとは思わなかったわ。」
「ええ、もしあいつがいたら、俺も連れていけって言うでしょうね。」
「ああ、言えてるわ!」
「「ギャハハハハハ!」」
「聞いたぞ・・・・」
「「え。」」
2人が背後を振り向くと、いつの間にかマコトが乗っていた。二人は背筋をぞっとさせながら手に武器を持った
「なんであんたがここにいるの!」
「決まっているではないか、お前らに着いていけば王都へ辿り着けるからな、だから途中まで付き合うぞ。」
「ふざけんじゃないわよ!今、あたしらは任務の最中なんだ!無関係のあんたを連れていったら、面倒事が起きるじゃないのよ!」
「こうなれば一蓮托生だ、それともこの献上品が無くなってもいいのか?」
「この野郎(怒)」
「落ち着け!献上品に傷がついたらどうする!」
「くっ!」
「なあに王都まで届けるだけでいいんだ。」
「ちっ!分かったよ!」
チャーリーとコーネリアスはマコトの直情径行に苛立ちを覚えつつも王都へ向かう道中で、マコトを警備隊に引き渡そうと画策するのであった
島左近清興だ、突然だが我が領地に変な珍客が現れた。その珍客とはブレメルン王国の王太子、いや元王太子になる寸前といった方が正しいか。名前はルイス・ブレメルン、どうやら身分を偽り、表向きは冒険者として側近らと共に入国したそうだが・・・・
「与一、その者らは今、どこにおるのだ?」
「はっ!【お庭方】の隠家に幽閉してございます。」
何故、幽閉したかといえば、どうやら一行はとある元令嬢を追いかけてきたそうである。しかもその理由が実にしょうもない。元王太子は想い人と結ばれるために、婚約者に濡れ衣を着せて身分剥奪、国外追放を独断で命じたらしいが、それが国王や婚約者の父親にばれて、元婚約者を連れ戻さねば王位継承権の剥奪、王籍からも除籍になるとか。王太子は元婚約者を血眼になって探し、ようやく居場所を突き止め、元婚約者を誘拐しようしたらしく、【お庭方】が怪しい動きをする一行を捕縛したとのことである。因みに元婚約者はよりにもよって我が領地にいるのだとか・・・・
「して、どうやってその事を知った、拷問でもかけたか?」
「いいえ、本人が洗いざらい喋りましたので拷問をかけるまでもありませんでした。」
それを聞いたワシは呆れてものが言えなかった。自分勝手に婚約者を捨てておきながら、自分の都合が悪くなると元婚約者を無理矢理でも連れ戻そうとするその性根が気に入らぬ・・・・
「それで元婚約者は今はどこにいるんだ?」
「どうやらギルドの受付嬢をしていると申しておりました。」
ギルド、アメリアの他にもギルドとして採用したマリー・スターズという女子がおった。見た目は薄紫色の長髪、色白紫眼、身長は160cm、年齢は10代後半の美少女であったな。見るからに気品がありどこぞの公家【貴族】の令嬢かと思った
「与一、ギルドへ参るぞ。」
「ははっ!」
ワシはすぐさま、ギルドへと向かった。道中で民たちと挨拶を交わしつつ、ギルドに到着し、中へ入るとアメリアの他にマリー・スターズもいた。アメリアはワシを見つけると元気良く挨拶をした
「サコン準男爵様!ようこそお越しになられました!」
「アメリアも元気そうで何よりだ。」
「ようこそお越しにくださいました、サコン準男爵様。」
アメリアの隣にいたマリー・スターズ、礼儀正しく御辞儀をした
「マリー、そなたに用がある。応接間に来てくれるか。」
「・・・・はい、分かりました。」
一瞬だけ間があったがマリーは承諾した
「アメリア、引き続き頼むぞ。」
「はい!」
ワシと与一はマリーを連れて応接間に入り、長椅子に座った。ワシが醸し出すただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、マリーは緊張した面持ちで望んでいた
「マリー、そなたは確かブレメルン王国の出身であったな。」
「は、はい。」
「うむ、確かかどうかは分からぬが、ブレメルン王国の王太子が婚約者を探して、この国に入った知らせが入った。」
それを聞いたマリーは僅かだったが手が震えた。どうやら何か知っているようだな
「婚約者の特徴だが薄紫色の髪と紫色の眼をした色白の女性だという。ワシが知っている限りでそなたが合致しておる。」
マリーは顔が青ざめ、手が小刻みに震えていた
「その婚約者の名はマーリー・サラシリア伯爵令嬢と・・・・」
「サコン準男爵様!」
するとマリーが土下座をした。ワシと与一は確実に本人であることを察知した
「お願いします、どうかお見逃しください!」
「・・・・理由を聞かせてもらおうか?」
「はい・・・・サコン準男爵様の仰る通り、私はマーリー・サラシリアです。私は国王陛下の命でルイス様と婚約を結びました。」
マリーは顔を歪ませながら、ここへ来た経緯をワシらに語り始めた




