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147話:帰国

島左近清興だ、カイル・ボルゾンを始末したと報告を受け、ワシはホッと溜め息をついた。ワシはメアリーの泊まっている宿へ向かい、カイルが捕縛(本当は暗殺)した事を伝えた。その知らせを聞いたメアリーはワシ同様、ホッと溜め息をついた


「本当に捕まったんですね。」


「ああ、奴は無銭飲食をしたあげく、警備隊に暴行を加えたからな、自分はボルゾン侯爵家の子息だと喚き散らしていたそうだ。」


「あはは、何となくですが分かります、あの御方は身分を笠に着て威張っていましたから。」


「これで貴殿を悩ます元凶がいなくなった。もう国に戻っても良い頃合いであろうな。」


「はい、ありがとうございます、サコン様!」


ワシの命を受けたサスケは数日後にカイザス伯爵邸に到着し、カイルが捕縛(本当は暗殺)された事を報告するとカイザス伯爵もホッと溜め息をついた


「そうか、最後の最後まで救いようのない男だ。」


「メアリー嬢もその報告を受けて安堵したそうでございます。」


「ああ、ボルゾン侯爵も安心したであろうな。」


「伯爵閣下、もうそろそろ、宜しいのでは?」


「うむ、後顧の憂いが無くなったからメアリーを帰国させよう。」


帰国の許可を得たメアリーは島左近らに御礼をいいに屋敷へ訪れた


「そうか、帰国が叶ったのでござるか。」


「はい、弟も帰還の命が下ったそうです。」


「おめでとうございます、メアリー嬢。」


「「「「「おめでとうございます!」」」」」


「ありがとうございます。」


「そうじゃ、帰国する前にパーティーでもやらないか?」


「宜しいのですか?」


「貴族のパーティーではないが精一杯もてなしましょうぞ。」


「何から何までありがとうございます。」


ワシらはメアリーが帰国する前にお別れパーティーを行う事にした。会場は集会場に設置し、そこから料理やら出し物やらを準備した。メアリー嬢はパーティーの主役のため、おめかしをしたり、着ていくドレスの準備をしていた


「サナ、ちょっと派手じゃないかしら、貴族のパーティーじゃないんだから。」


「いいえ、お嬢様。今日のパーティーの主役はお嬢様なのですから、しっかりとおめかししないと!」


「う~ん、私の趣味じゃないんだけど・・・・」


「お嬢様は普段から地味なのばかり着ているのですから、パーティーの時だけはしっかりと存在感をアピールしないと!」


パーティーと聞いて張り切るサナにメアリーは少々、白けていた。一方、アリーナもどのパーティードレスを着ていこうか、迷っていた


「今日はどれを着ていこうかしら。」


アリーナは水色と薄紫色のパーティードレスに迷っていた。正直、どちらも捨てがたい・・・・


「旦那様はどちらが宜しいですか?」


どちらのドレスがいいかワシにふられ、ワシは水色の方が良いと正直に答えることにした


「うむ、水色の方が似合っていると思うが。」


「水色ですか・・・・う~ん。」


迷うなら聞くなと心中、思いつつもようやくアリーナは着ていくドレスを決めたのである。どうやって決めたかについてだが子供たちがこっちがいいと指差した方を来ていくことにしたそうだ


「ママ、こっちのドレスがいい!」


「いい!」


「うん、そうするわ。」


その頃、ウルザもパーティードレスに迷っていた


「ねえ、どれがいいかしら?」


「どれを着ても似合うと思うぞ。」


「そんな中途半端な答えは聞いてないわ!」


「ヨームはどう思う。」


与一は愛娘であるヨームにドレスの件を振った。我ながら情けないと思いつつも愛娘に選ばせた


「こっち!」


「おお流石、私の娘!」


ヨームが指差した方を見たウルザは大喜びだった。与一は命拾いしたと思いつつ、ウルザの喜ぶ姿を見続けた。そんなこんなでお別れパーティーが開催され、主役であるメアリー・カイザスが登場した。メアリーのパーティードレスは全身、黄色という明るい色であった


「似合っておりますぞ、メアリー嬢。」


そこへパーティーの主催者である島左近とその妻とアリーナが現れた。島左近は白のワイシャツ、グレーのタキシードとズボン、黒の蝶ネクタイを着用しており、アリーナは水色のパーティードレスを着用していた。共に美男美女なので絵になるほど見栄えが良かった


「サコン様、アリーナ様、とてもお似合いですわ。」


「ありがとうございます。」


「メアリー様もお似合いですわ。」


「いやあ私にはちょっと派手なような気がいたしまして・・・・」


「いやいやパーティーの主役に相応しいと思うが?」


「ありがとうございます。」


「左近様。」


そこへ与一とウルザが駆けつけた。与一は白のワイシャツ、黒のタキシードとズボン、黒の蝶ネクタイを着用し、ウルザは緑色のパーティードレスを着用していた


「本日、某らをパーティーへの参加を御許しいただき光栄にございます。」


「御主らは我が家のために働いてくれたのだ、その礼だと思ってくれ。」


「そうよ、遠慮する必要はないわ。」


「ありがとうございます、主様、奥様。」


パーティーは開催され、料理がツギツギと運ばれた


「うわぁ!どれも美味しそう。」


メアリー嬢は運ばれる料理、特に甘味に目を向けていた。ワシは思わず、吹き出しそうになったが堪えた


「サコン様、このお菓子をいただいてもよろしいですか!」


「構わぬよ、貴族のパーティーではないのだから。」


「ありがとうございます♪貴族のパーティーはカイル様からいつも、【婚約者なんだから僕に合わせろ】とか【菓子をつまむな】とか言われていたから貴族のパーティーは苦手でして・・・・」


メアリー嬢は色気よりも食い気の気性であるな。元婚約者であるカイル・ボルゾンはこの世にはいない。彼女には捕縛と嘘をついたが、平民に降格となった貴族は今までの生活水準を落とすのを嫌い、また自尊心が強いため、平民相手に頭を下げることはしないだろう。その結果、宿無しになったり自害する者もいる


「それは良かった、今日は思う存分、楽しんでくだされ。」


「はい♪」


料理の他に出し物「手品&曲芸&演奏&演劇等」が披露され、メアリー嬢は菓子をいただきながら観賞していた。その姿は生き生きとしており、天衣無縫といえるほどの美しさであった。パーティーも終盤になり、ワシはメアリー嬢を外へと案内すると、外は真っ暗な空であった


「サコン様、外で何をするのですか?」


「もうすぐ始まる。」


ワシが合図を送ると、真っ暗な空に花火が打ち上がった


「綺麗。」


メアリーは空に花開く花火に目を奪われた。花火師たちに頼んでパーティーの幕引きのために用意した。気に入るかどうかは当人が決めることだが、どうやら気に入ってくれたようだな


「ありがとうございます、サコン。」


「お気に召していただいて光栄にござる。」


「ええ、私が生きていた中で人生最高のパーティーです!」


「お褒めに預かり恐悦至極にございます。」


パーティーは無事に終わり、メアリー嬢は気分良く宿へ戻っていった。彼女にとっては最高の思い出であっただろう


「旦那様。」


「アリーナ、そなたはどうであった、久し振りのパーティーは?」


「ええ、久し振りに羽目を外せましたわ。それにメアリー様も生き生きとしておられましたわ。」


「あぁ、今度は良き相手が見つかれば良いがな。」


「そうですわね。」


夜が明け、明朝になり、朝餉をいただいた後は、見送りをすることになった


「サコン様、アリーナ様、皆様が色々と御世話になりました。」


「メアリー嬢、向こうでも頑張ってくだされ。」


「どうかお気を付けて。」


「ありがとうございます。では此にて失礼します。」


メアリーは馬車に乗り、ジュリアス王国に向けて出発した。その道中でメアリーは左近らがプレゼントとした琥珀のネックレスを見ながら・・・・


「(サコン様、貴方様を末長くお慕い申しております。)」


メアリーはそう思いながら故郷の土を踏むのであった







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