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144話:メアリー

島左近清興だ、ワシはメアリー伯爵令嬢らと共にワシの治める領地を案内した。メアリー嬢は目をキラキラさせながら、一通り領地を見て回った


「私の実家の領地よりも広いですわ!」


「開拓した土地の他に陛下より賜った土地もござる。」


「それに湖や泉から塩を作るなんて夢のようですわ!」


メアリーが言うているのは【サコン塩湖】や【サコン塩泉】の事である。塩湖と塩泉から取れた【サコン湖塩】と【サコン山塩】を味見させたら、驚きの表情をしていた。塩を使った菓子を食べさせたら、ご満悦な表情をするなど、コロコロと顔が変わる娘で面白かった


「楽しんでいただけましたかな?」


「はい!色々な物が見れて、良かったです!」


「それはようござった。」


「あの、失礼を承知で尋ねたいのですが、サコン様はどうして貴族にならないのですか?これほどの領地を持っているのに?」


「某は宮仕えよりもこちらの方が性に合っておるのでな、それに貴族になれば領地替えもあるからのう。」


「確かに手放したくありませんものね。」


ワシらは領地の案内を済ませた後、宿へ戻ろうとすると向こうからサスケが颯爽と現れた。何やら慌てているようだが・・・・


「旦那様、急ぎ屋敷へお戻りください、先程、王都よりルナ殿が参られました。」


「何?」


「何でもメアリー嬢の事で・・・・」


サスケはちらっとメアリーの方を向いた。メアリーは何故、自分が関わっているのか、混乱していた。取りあえずメアリーに一緒に来るよう説得をした


「メアリー嬢、すまぬが一緒に来てくれるか、向こうは貴方が我が領地に来た目的を知りたがっている。」


「はい・・・・」


「そうだな、表向きは遊学と通すのだ、後は我等が差配いたす。」


「はい、よろしくお願いします。」


やはり報告書の通りに遊学で通すしかあるまい、ワシはメアリーを伴って屋敷へ向かうと、そこにはルナが屋敷の前にてワシらが帰るのを待っているかの如くに玄関先にて立ち尽くしていた。ワシらが駆け足で向かうとルナもワシらに気付き挨拶をした


「すいません、サコン殿。御呼び立てしまって。」


「こちらこそ待たせて申し訳ない。中で御待ちしても宜しいのに。」


「先程来たばかりですので・・・・その御方がメアリー・カイザス伯爵令嬢ですか?」


「左様、メアリー嬢、この御方はシュバルツ王国の内政官のルナ・キサラギ殿だ。」


「はい、お初にお目にかかります、私はジュリアス王国に仕えるホルス・カイザス伯爵が娘、メアリー・カイザスと申します。」


「これは御丁寧に。」


「立ち話はここまでにして屋敷へ参りましょう。」


互いに挨拶を済ませた後、ワシはルナとメアリーを屋敷へ招いた。2人を客間へ通した後、茶と茶菓子を用意させた。ワシらは茶と茶菓子を頂いた後、本題に入ることになった


「さてメアリー嬢、遊学でサコン殿の下を訪れたとか?」


「はい、父から見聞を広めよと勧められて・・・・」


「それでしたら王都へ参られては如何でしょう?我が国の貴族と交流を深める事で見聞を広められますよ。」


端から聞いていたワシはルナの狙いに気付いた。この女子はメアリーに見聞を広めると見せかけ、ここに来た真意を探ろうとしている。ワシからメアリーを切り離し、あらゆる手を使って情報を聞き出そうとする。恐らくワシがどう出るか窺ってもいるであろうな、あえて乗ってみるとするか・・・・


「ルナ殿、メアリー嬢がシュバルツ王国に訪れたのは領地の経営のため見聞でござるよ。」


「それだったら尚更、王都へ参った方が宜しいのでは?それとも連れていけないわけでもおありですか?」


「大変申し訳ないが御父君よりくれぐれも娘を宜しく頼むと言付かっておるのでな。」


「ほぉ~、そうですか?」


「では逆に尋ねるがルナ殿はどうしても王都へ連れていかなければいけない理由でもおありか?」


「いいえ、私はあくまで親切心より申し上げたまでです。」


やはりこの女子は気を許してはいけないな、向こうも遊学だけが目的ではないと気付きつつも、気付いていないふりをしている。そうすることでメアリーの気を引こうとしているのかもしれぬな


「あ、あの、宜しいですか。」


「何でしょう、メアリー様?」


言ったそばから、早速パクッと食いついてしまった。ワシとしては余計な事をしない事を祈るのみであった


「実は私の父からくれぐれも目的以外の事はするなとキツく言われておりまして内政官様には申し訳ありませんが、御辞退いたします。」


「そうですか、私はいつでも御待ちしておりますよ。」


ルナはあくまで笑顔で対応した、ワシとしては辞退した事に内心、ホッとしつつも警戒を続けた。ルナは監視役ティア・ストロートに聞く可能性がある。生憎だが、ティアはアメリアと遊びに出かけているのだ


「では私はこれにて失礼致します。」


「もう帰られるのか?」


「ええ、用件は済ませました。ではメアリー様、ごきげんよう。」


「ごきげんよう。」


そういうとルナは馬車に乗り、王都へと帰還した。ワシらは馬車が見えなくなったのを確認した後、ホッと溜め息をついた


「此度は何とか切り抜けたな。」


「サコン様、私、余計な事しちゃいましたか?」


「あの場は何とかなったが、次からは気を付けた方がいい。あの女子は狡賢いからのう。」


「はい。」


「では宿までお送りいたそう・・・・ん。」


ワシはメアリーを宿まで送ろうとしたら、向こうから郵便屋の男が駆け寄ってきた


「準男爵様、御手紙です。」


「それは御苦労、与一。」


「はっ!」


「はい、受け取り確認致しました。では私はこれにて失礼します。」


与一が手紙を受け取り、ワシに手渡した。ワシは宛先を確認すると宛先はカイザス伯爵家からである


「メアリー嬢、カイザス伯爵家より手紙が来たぞ。」


「本当ですか!」


「あぁ、ここでは何だから屋敷にて読みなされ。」


ワシらは一旦、屋敷へ戻り、例の手紙を拝見する事にした。まずは最初にメアリーが手紙を広げ、一言一句見ていた


「サコン様、婚約が解消になったそうです!」


「それは誠か。」


「はい、カイル様の御父君であるボルゾン侯爵閣下が我が家にお越しになり、婚約を解消したいと願い出たそうです。この手紙にそう書かれています。」


「すまぬが、その手紙を見せて貰えるだろうか?」


「はい、どうぞ。」


ワシはメアリーから手渡された手紙を拝読した。内容はメアリーの申した通り、婚約解消の事である。どうやらボルゾン侯爵家は愚息の女癖の悪さに辟易しており、これ以上、悪化するのを避けるために婚約解消に踏み切ったと書かれていた。念のために様子を見ており、メアリー嬢はワシの領地にしばらく滞在させてほしいとの文章も書かれていた


「メアリー嬢、ワシの方は構わないぞ。」


「御免なさい、また御厄介になってしまって・・・・」


「構わぬよ、ほとぼりが収まるまで滞在されよ。」


「ありがとうございます。」


一方、ルナは王宮に到着し早速、国王ロバート・シュバルツに報告をした。報告を受けたロバートは訝しんだ


「それは本当か?」


「今のところはそう申し上げる他、ございません。」


「うむ。」


「陛下、今回の事はサコン・シマに任せる他はございません。」


「何事もなければよいがな。」








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