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13話:辺境伯領行き

島左近清興、前回までのあらすじだが、ワシらは任務を終えて、【ガルバ町】へ行く途中、山賊に襲われた場所を救出、馬車に乗っていたブリュッセル辺境伯家の令嬢、セリシア・ブリュッセルに誘われ、ブリュッセル辺境伯領へ向かう途中、【ガルバ町】に戻ることになったのである。【ガルバ町】に到着し、ワシらは真っ先にギルドへ向かい、職員であるビルデに任務を達成した事を報告した


「サコンさん、ヨイチさん、お仕事お疲れ様です。」


「ああ。」


「特に問題はない。」


「御二方は先程、馬車に乗っておられましたが・・・・」


「ああ、道中で山賊に襲われていたのを助けたのだ。その御礼にと。」


「そうでしたか。てっきり貴族様のお忍びかと思いました。」


まあ公家(貴族)で合ってるな。お忍びかどうか分からぬが普通なら、ここにはいない。普通なら故郷である辺境伯領へ帰るはずがない。だとしたら何かしらのワケがあるだろう


「サコン様、ヨイチ様。」


「ん、お主はメイドの。」


「はい、マリアでございます。」


ワシの前に現れたセシリア専属のメイドのマリア、なぜここにいるのだ


「如何された?」


「はい、私共はこの【ガルバ町】にて一泊していきます。」


「左様か、宿は決めておられるのか?」


「いいえ、実はこの町で最高級の宿を探しにこのギルドに参りました。」


「そうであるか、ならこの受付のビルデ殿に聞くと良い。」


「ありがとうございます。」


「ビルデ殿、よろしいか?」


「はい、では御案内いたします。」


その後、セシリア一行はこのガルバ町最高級の宿に泊まることになった。勿論、即金で払い、一番良い部屋に泊まることとなった。その噂は【ガルバ町】全体に広がったのはいうまでもない。真意を聞こうとベーカリーがワシの下へ訪れた


「サコン、ヨイチ、あの馬車の持ち主って貴族の御令嬢か?」


「さあな。」


「お前たちがあの馬車から出てくるのを見た者がいるんだぞ!それにあの馬車に乗っていたメイドがお前と話しているところをギルドで目撃されているぞ!」


「仮にそうだとしても、お主には関係なかろう。あの者たちは左近様がお救いしたのだから。」


「いや、それはそうなんだが・・・・」


「ベーカリー、はきと申せ。目的は何だ?」


「いやあ、俺って汗臭いだろ、勿論、風呂には入っておるぞ。だが、俺の汗臭さで御令嬢に失礼になるのではないかと。」


「だったら、御令嬢が【ガルバ町】から去るまで宿で大人しくしていろ、そうすれば御令嬢も嫌な顔はされぬよ。」


「別にお主に会う予定などないではないか。」


「いや万が一、外で会うことがあるかもしれんではないか。」


「だったら御令嬢が【ガルバ町」から去るまで宿で大人しくしていろ、そうすれば御令嬢もお主も傷付かず済む。」


「よ、ヨイチ、貴様!」


「ベーカリー、仮に会ったとして向こうはお主に用がないのだ。」


「し、しかし。」


「もうこの話は終わりだ。あまりくどいとロゼットに嫌われるぞ。女々しい男が嫌いだからな。」


「ウワアアアアアアア!ロゼット、キラワナイデクレエエエエエエエ!」


ベーカリーは号泣しながらギルドを出ていった。やれやれ誠、面倒な事に巻き込まれたとワシも与一も心中密かに思うこのころである


「旦那、どうするつもりなの?」


「どうするとは?」


ワシは娼館【イザナミ】におり、アリーナと一緒にベッドで寝ていた。するとアリーナが例の御令嬢について聞いてきた


「いや、噂じゃあ例の御令嬢が旦那を自分の御領地へ招待したいってギルドに道中の護衛の依頼があったではありませんか、もしかしたら仕官の誘いが・・・・」


「ありえんわ。ワシは宮仕えをするつもりもないし、今後もない。それにお主と会えなくなるのは嫌だからな。」


「もう、旦那たら♡」


左近とアリーナが逢引している一方、与一とウルザも例の噂について話があった


「ヨイチの旦那はどうするの?」


「決まっている。左近様は仕官なされぬよ。某は左近様に従うだけだ。」


与一がいつも通りの返答をすると、ウルザは頬を膨らませ、不満ありげの表情になった


「どうしたんだ。」


「もういつもいつもサコンの旦那ばっかり、焼き餅焼いちゃう。」


「左近様は某の主だ。それに愛しの女子を放っておくわけがないだろう。」


「もう、旦那はいつもそうやって誑かすんだから。」


「ううん、じゃあどうすればいいのだ。」


「決まってるでしょう。」


そういうとウルザは与一をまたがるように上になった


「今日も愛してください♡」


「ああ、分かった。」


左近も与一も夜遅くまで恋人と愛を確かめ合い、一緒に同衾した。そして朝を迎え、互いにスッキリした気分で娼館【イザナミ】を後にした


「与一、とりあえず朝飯を食うか。」


「そうですね。」


ワシらは朝から空いている食堂に入り、朝食を取った後、宿へ戻り、準備を済ませた後、待ち合わせの高級宿へ向かった


「サコン殿、おはようございます。」


「「おはようございます、ベル殿。」」


そこへ騎士のベルが準備をしていた。主であるセリシアとメイドのマリアはまだ宿から出てこないようだ


「サコン殿、ヨイチ殿、お嬢様の我が儘にお付き合いいただき申し訳ない。」


「お気になされるな。」


「某らは依頼を受けたまでにござる。」


「忝ない。」


「お待たせいたしました。」


ワシらが外で話し合っていると、噂の御令嬢であるセシリアとメイドのマリアがやってきた


「サコン殿、ヨイチ殿、おはようございます。」


「「おはようございます、セシリア嬢、マリア殿。」」


「では参りましょう、道中までの供をよろしくお願いします。」


「心得た。」


挨拶を終えた後、我等は馬車に乗り、セシリアの故郷であるブリュッセル辺境伯領へと向かった。道中までは特に何もなく、山賊や肉食動物が現れず、順調に進めることができた


「サコン殿とヨイチ殿の生まれたヒノモトというのはどういう国なのですか?」


「はぁ~、我等が生れたヒノモトは戦乱に明け暮れ、一度は天下が定まり、ヒノモトに戦が無くなりましたが、ヒノモトの国王に世継ぎに恵まれておらず、やっと出来た世継ぎもまだ幼く、国王の死後に再び戦が起こり申した。」


「その後、我等はヒノモトを去り、その後、どうなったかは、分かり申さぬ。」


「そうですか。異国にも色々とありますのね。」


「左様にござるな。」


「サコン殿はもう一度、ヒノモトに帰りたいと思ったことはあるのですか?」


「もはや我等はヒノモトを捨てた身にござる。今更、戻りたいと思ったことはござらん。某は与一と共に旅をし、色々な風情や人情の機微を知り申した。結果として去って良かったと思い申した。」


「そうですか、私も一度、ヒノモトに行ってみたいですわね。」


「お嬢様!」


「言ってみただけよ。私は辺境伯領や王都しか知らないから・・・・」


「不躾ながら辞めておいた方がよろしゅうござる。某らの旅は常に危険がつきもの、お勧めはできませぬ。」


「はぁ~、分かりましたわ。」


セシリア嬢は少し不満気な表情をしつつも馬車は順調に進み、ようやくブリュッセル辺境伯領の領境りょうざかいに到着し、検問所へ向かった


「そこの馬車、止まれ!」


検問所から警備兵が現れ、我々の乗る馬車へと向かってきた。するとベルが馬を降りて、警備兵と応対した


「私はブリュッセル辺境伯にお仕えするベル・クラウンだ。セシリア・ブリュッセルお嬢様がお戻りになられた。」


「セシリアお嬢様だと!」


警備兵が驚いていると、ひょこっとセシリアが顔をだした。セシリアの顔を見た警備兵はすぐに平伏叩頭した


「役目、ご苦労。」


「ははっ!お帰りなさいませ、セシリア様。」


「父上のいる御屋敷へ帰るので通してくれるかしら?」


「ははっ!ただいま!」


そういうと警備兵が検問所の方へ戻り、大手門が開いた。馬車は動き出し、大手門に入った


「ようこそブリュッセル辺境伯領へ。」


ワシらは無事にブリュッセル辺境伯領に入り、ブリュッセル辺境伯の住む屋敷へと向かうのであった











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