134話:虎の牙
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ここはシュバルツ王国王宮、王国創業記念パーティーの真っ最中に突然の爆発音と共に、ロバート・シュバルツ暗殺を企てた刺客の存在、結果として最悪な幕切れでパーティーは終了したのである。ロバートは他国の王族に謝罪をしながら、下手人の捜索に熱を入れた
「陛下、刺客の持ち物にこれが。」
側近が刺客の持ち物の一つにある銅板をロバートに渡した。その銅板には虎の紋章がついていた
「これは何だ?」
「はっ!詳しくは分かりませぬが、恐らく何らかの組織の紋章にございましょう。」
「早急に調べあげろ。」
「はっ!」
側近を下がらせた後、例の銅板を眺めた。例の刺客は明らかに私を狙っていた。私に怨みを抱いての犯行か、それとも・・・・
「私に恥をかかせおって・・・・許さぬ!」
ロバートは銅板を固く握りしめ、歯ぎしりをし、謎の集団への怒りを募らせたのである
島左近清興だ、王宮にて創業記念パーティーの最中で爆発が起きた事はすぐに下々の者の耳にも入った。勿論、ワシの耳にもな・・・・
「左近様、一体何者の仕業にございましょう。」
「うむ、刺客に関する手掛かりは虎の紋様の入った銅板のみ・・・・」
刺客の持ち物の虎の紋様の入った銅板、ワシらも知らぬ名も知らぬ組織があるのやもしれん、だが手掛かりがない。ワシも与一も思案に暮れていると、扉からノック音がした。ワシは許可を出すと、入室してきたのはサスケだった、何やら慌てた様子で新聞を持っていた
「旦那様!」
「如何した、そのように慌てて・・・・」
「旦那様、今日の新聞をご覧ください!」
「何じゃ。」
サスケが持ってきた新聞を拝読すると、ある文言が目についた。その内容は王宮爆破の下手人は自分たち反政府・反王政組織【虎の牙】という者たちの犯行声明と【虎の牙】の紋章である虎が刻まれていた
「【虎の牙】・・・・」
「一体、何者にございましょう。」
「自ら下手人として名乗り出るとは大胆か、あるいはうつけか。」
勿論、王都にもこの新聞が広がっており、ロバートだけではなく、自国の王族や貴族、他国の王族にも反政府・反王政組織【虎の牙】の存在が知られるようになった。急遽、他国の王族も交じった緊急会議が行われた
「ロバート殿、【虎の牙】の目的は反政府・反王政の打倒で間違いないようですな。」
ジュリアス王国国王のギルト・ジュリアスは真っ先にロバートに尋ねた。皆は静かに成り行きを見守っていた。ギルトの問いにロバートは口を開いた
「王国創業記念パーティーを知り、我等、王族に対し宣戦布告した事、断じて赦しがたし。よって反乱組織【虎の牙】を各国が協力し征伐致したいと考えております。」
ロバートは完全に【虎の牙】を完全に敵視した。ポーカーフェイスを貫きつつも、並々ならぬオーラに自国の王族や貴族だけではなく他国の王族等も全員が息を飲んだ
「貴殿らはどう思われる、【虎の牙】を敵と見なすか、それとも否か、この場で決められよ。」
ロバートは他国の王族に協力するか否かを問うた。他国の王族たちはすぐには返事ができずにいた。理由としては会議の主導権、即ち【虎の牙】討伐の盟主がロバート・シュバルツである事を認めるようなものである。それは自国の誇りと矜持が許さなかった、そんな様子を見たロバートは溜め息をついた
「これ以上、話し合っても無駄なようですな、私だけでも【虎の牙】と戦います、精々、御身を御大切に。」
ロバートは緊急会議を終わらせ、他国の王族は続々と会議室を退出した後、ロバートは再び溜め息をついた
「未だに煮え切らない者たちばかりだな。」
ロバートは他国の王族たちの不毛ともいえる腹の探り合いに業を煮やした。そこへユリヤはある提案をした
「陛下、このまま御客人を国へ帰されては如何か?」
「大公、それはどういう意味だ。」
「御客人の方々は自分たちは狙われていないとタカを括っておられる。それに御客人も自国へ一刻も早く帰還したい御様子、我等は【虎の牙】の調査をしつつ、様子見を決めましょう。」
「ふっ、様子見か。」
ロバートはユリヤの意見を聞き入れ、他国の王族を国へ返す事にした。他国の王族もそれを聞いて安心し、国へ帰還する準備を始めた。その様子を見ていたロバートは笑みを浮かべた
「無事に帰れるかな。」
準備を終えた他国の王族は慌ただしくもシュバルツ王国から退避し、自国へ帰る王族、国境を出た途端に安心したのか、王族らは安堵の溜め息をついた
「ふう、ここまで来れば安心だな。」
「あとは国に帰るだけだな。」
「自分の失敗を棚に上げて、主導権を握ろうなど片腹痛いわ。」
王族らは自国へ悠々と帰る一方、それを狙う謎の集団、集団の一人が弩を構え、王族の乗っている馬車に目掛けて放った。放たれた矢は窓を突き破り、国王の足に突き刺さった
「がっ!」
「陛下!」
馬車を止め、馬車戸を開くと、国王の足に矢が突き刺さっていた
「く、曲者だ!」
「陛下をお守りしろ!」
騎士が辺りを警戒し、下手人の捜索に向かった。勿論、他の王族にも被害が続出し、中には死亡した王族もいた。同盟国であるジュリアス王国やシュンフェン王国も道中で賊に襲われていた
「陛下、ここは我等が防ぎますゆえ、退避を!」
「相分かった!」
「殿下、賊は我等が蹴散らしますゆえ、今しばらくお待ちを!」
「うむ、任せたぞ、タイラン。」
ジュリアス王国とシュンフェン王国は賊を蹴散らした後、下手人の懐を探ると、例の虎の銅板があった
「【虎の牙】か・・・・どうやら我等もうかうかしている場合ではないな。」
「急ぎ国へ帰るぞ、我等も【虎の牙】を敵と見なす!」
それぞれ自国へ帰国した王族らは、早速、【虎の牙】を敵を見なし、他国と連携を取り始めた。その知らせを聞いたロバート・シュバルツはようやく重い腰を上げた他国にホッと溜め息をつきつつ、自国も【虎の牙】の探索を続けた
一方、爆破計画及びロバート・シュバルツ暗殺、他国の王族襲撃を企てた反政府・反王政組織である【虎の牙】は各自、報告しあっていた
「爆破に応じてロバート・シュバルツの暗殺に失敗。」
「こちらは王族の一人を暗殺に成功。」
「我等は王族の何人かを負傷させるも失敗。」
「うむ、まずまずだな。」
【虎の牙】は反政府・反王政を掲げる秘密革命組織であり、その実態は国家等の政体としての君主制を廃止し、民主主義を行うことである。民主主義を実現させるためには現政府や現王政体制を革命によって排除しようと計画していた
「同志諸君、ご苦労であった。」
「「「「「ははっ!」」」」」
【虎の牙】のリーダーであるこの男の名は、フレイク・マルギニア、見た目は30代前半、銀髪の長髪、色白碧眼、切れ長の目、身長は180mほどの美丈夫である
「皆の働きのおかげで王族の者たちの肝を冷やしたであろう。」
「同志フレイク、このまま挙兵致しましょうか!」
「いや、まだその時ではない、現政府・王政への不満と怒りと憎しみを民たちに植えつけさせねばなるまい、そのためにも各地で破壊活動を行う、勿論、それを未然に防ぐことができない現政府・王政の怠慢の噂を民たちに植えつけねばならぬ、我等が挙兵する時は民たちが暴動を起こした時だ。」
フレイク・マルギニアは民たちの不満と高ぶらせ、革命を起こそうと計画していた。そのために同志たちに各国で破壊活動を積極的に進めたのであった




