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133話:謎の刺客

島左近清興だ、【カンバス地域】の開拓を短期間で終えた事で、その報告書が一気に舞い込んだ。おかげでワシは報告書と睨めっこしながら、ようやく終わらせた


「ああ、終わった!」


ワシは報告書を全て終わらせ、椅子から立ち上がり、長椅子ソファーに寝転がった。領地が増えたのは良かったが、その分、仕事も増えた。我ながらようやった方だわ。すると扉からノック音がした、ワシは体を起こした後、入室の許可を出した。入室してきたのは、アリーナであり、手元には茶と茶菓子が持っていた


「旦那様、お仕事の方は?」


「今、終わらせたところだ。」


「それはお疲れさまですわ。」


ワシはアリーナが用意した茶と茶菓子をいただき、ホッと一息ついた。アリーナは終わらせた報告書の束を見た


「あの書類は【カンバス地域】のものですか?」


「ん、ああ、堤も牧場も完成させたからな、領地が広ければ広いほどその分、苦労するわ。」


「大変ですわね。」


すると扉からまたノック音がした、許可を出すと入室してきたのは与一であった


「如何した?」


「はっ、王都より書状が届きましてございます。」


「書状、誰からだ?」


「ルナ・キサラギです。」


ルナ、書状を送るとは珍しい、ワシは与一から手渡された書状を広げ、書状を拝読した





【サコン・シマ殿へ】

「突然の御手紙、申し訳ありません。実は1週間後に王国創設記念パーティーがございまして、他国から王族の方々がご来賓します。そのため貴殿には貢ぎ物として琥珀と上布を献上して欲しいのです。我が国にとっては極めて重要な行事にございますので御理解のほどをお願いいたします。」

【ルナ・キサラギより】





ワシは書状を仕舞うと与一は聞いてきた


「左近様、書状には何と?」


「1週間後に王国創設記念パーティーがあるらしく、ワシらには貢ぎ物を用意せよとの事だ。」


「そういえば私が伯爵家の令嬢だった頃にございましたわ、他国からの王族の方々が御来訪された事が昨日の事に思えますわ。」


アリーナは昔を思い出し、しみじみとしていた。ワシは琥珀と青芋&藪芋麻の準備に取り掛かることにした


「うむ、其処へワシに琥珀と上布を献上するよう言うてきおった。」


「他国の王族が来賓されるということは多くの琥珀と上布が必要ですな。」


「うむ。早速、取り掛かるぞ。」


ワシは献上する最高級の琥珀と青芋&藪芋麻の最高級の上布を用意をした。警備隊と【お庭方】によって輸送され、王都へと向かった


「無事に到着することを祈ろう。」


琥珀と上布を乗せた輸送隊は数日の間は特に問題はなく、盗賊といった類いも現れず、無事に王都へ到着した。輸送隊の行列は真っ直ぐ王都へと向かう道中、多くの見物客が輸送隊を眺めていた


「あれはどこの輸送隊だ?」


「ああ、サコン・シマ準男爵様のところだ。」


「あぁ、ユリヤ大公殿下様の行列を思い出すな。」


「王国創業記念パーティーが行われるらしいからな、そのための献上品だろう。」


輸送隊は王宮に到着し、献上品は兵士たちによって確認をされた後、王宮へと運ばれた。役目を終えた輸送隊は王都で一泊した後、帰還したのである。王国創業記念パーティーが始まる3日前、王族の一行が続々とシュバルツ王国に入国した。その中には同盟国であるジュリアス王国やシュンフェン王国も含まれており、一行は島左近の治める領土に到着した。ジュリアス王国の国王であるギルト・ジュリアスは王都へ向かう途中、島左近のいる屋敷へ立ち寄った。島左近を始め、アリーナや与一、ウルザ等が全員、平伏して出迎えた


「そなたがサコン・シマか?」


「ははっ!」


「暴れ象の件は世話になった。」


「勿体のうございます。」


「陛下、御時間です。」


「ん、であな。」


「ははっ!」


ギルト・ジュリアスはそのまま王都へと向かった。立ち去ったのを確認すると、ワシや与一以外の面々はぐったりした状態で座った


「アリーナ、久し振りの王族の対面はどうだ?」


「他国の王族の御来訪が久々でしたので、緊張いたしました。」


「主様、お前さんは何ともないの。」


「ああ、国王陛下に会ってるからな。」


その次にやって来たのはシュンフェン王国の一行であり、その中に使節団の大使を勤めたタイラン・マオも含まれていた。タイラン・マオは王太子のリー・シュンフェンと共に、島左近の屋敷へ訪れた。島左近を始め、アリーナや与一、ウルザ等が全員、平伏して出迎えた


「久しいな、サコン・シマ準男爵。」


「お久しゅうございます。」


「そなたがサコン・シマか、タイランから聞いておる。」


「ははっ!」


タイランと一緒にいるのはシュンフェン王国の王太子のリー・シュンフェン、見た目は10代後半、黒髪短髪、朱色の瞳、肌は色白で眉目秀麗の御曹司であった。リー・シュンフェン王太子が来訪したのは、父である国王が急な病(ぎっくり腰)のため、来られなくなり、その代理としてパーティーに出席したのであった


「主が献上した上布、なかなか良かったぞ。」


「畏れ入ります。」


「では、我等はこれにて失礼する。」


「ははっ!」


その後、リー・シュンヘンとタイラン・マオは王都に向けて出発した。立ち去ったのを見届けたワシらはホッと一息ついた


「旦那様、あの御方がシュンフェン王国の王太子殿下にございますか?」


「ああ、遠路はるばるご苦労なことよ。」


王都に各国の王族が集まってから3日後のシュバルツ王国が主催する王国創業記念パーティーが行われた。パーティー会場にて主催者であるロバート・シュバルツを始め、大公殿下であるユリヤ・シュバルツ、ロミオ・シュバルツ王太子とその婚約者であるリリア・ジョルド侯爵令嬢を始め貴族が他国の王族を出迎えた。主催者であるロバート・シュバルツは集まった他国の王族や自国の貴族の前に現れた


「うほん、本日は王国記念創業パーティーに参加いただき感謝いたす。」


ロバートの堅苦しい挨拶とスピーチを済ませた後、乾杯の音頭を取ることになった


「では乾杯。」


「「「「「乾杯!」」」」」


乾杯の音頭が終わり、一人一人会談したり、挨拶し合ったり、料理を食べたり、友好や思惑が混じった記念パーティーが始まった


「シュバルツ殿、創業記念パーティーおめでとうございます。」


「うむ、ありがとうございます。」


「これはこれは王太子殿下、リリア嬢、お久しぶりにございます。」


「これはこれはお久しゅう。」


「お久しぶりですわ。」


「ユリヤ大公殿下、三十路にもなって、まだ結婚していなかったんですか?」


「あら、何か仰いましたか?(般若の形相)」


「い、いいえ、失礼しました!(失禁)」


パーティーが順調に進み、互いに気分が高揚していると・・・・・





ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!





突如、爆発音が響いた。会場にいた王族や貴族たちは爆発音に酔いが醒め、何が起こったのか分からず、慌てふためいた


「衛兵、お客人を安全な場所へ護衛せよ!」


突然の爆発音に呆気を取られていたロバートは我に返り、衛兵を呼び、王族や貴族を安全な場所へ避難させた。ロバートも下にはユリヤが駆け付けた


「陛下!」


「ユリヤ、そなたも避難せよ!」


「陛下こそ避難された方がいいでしょう、狙いが陛下なら尚更・・・・危ない!」


ユリヤは咄嗟にロバートにのしかかるように体当たりをすると、矢が飛んできた。幸いにも矢はロバートやユリヤには当たらず、床に刺さった


「ちっ!」


ロバートに目掛けて矢を放った刺客はその場を離れようとしたが、ユリヤは護身用に隠していた投げナイフを取り出し、刺客に向けて投げた


「ぎゃ!」


ナイフは刺客にあたり、その場で負傷した。そこへ衛兵が捕縛したが、刺客は自ら舌を噛みちぎり、その場で息絶えたのである


「陛下、御無事ですか?」


「あ、ああ、ユリヤは?」


「私は大丈夫ですわ。」


互いに無事を確認しあった後、そこへ衛兵たちが駆け付け安否を確かめた


「陛下、殿下、御無事にございますか!」


「ああ、大事ない。それで刺客はどうした。」


「申し訳ございません。捕らえましたが、舌を噛み切り自害いたしました!」


「そうか。」


王国創業記念パーティーは何者かによって邪魔された形で後味悪い結果に終わったのである

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