125話:琥珀
島左近清興だ、ワシの領地にてある物が見つかった。【エメリカ山脈】にて、畑の栽培をしていた農民が偶然にも洞穴を見つけたのである。誰一人として洞窟の存在に気付く者はおらず、洞窟が見つかった事で領内ではその話で持ちきりである
「洞穴とはな、ワシもあの山脈には行ったが、そのような穴には気付かなかったわい。」
「如何いたしますか?」
「うむ、塩泉だけではなく、他にも何かあるのやもしれぬ。」
「調べまするか。」
「うむ。」
ワシは早速、ギルドにて調査隊を結成した。調査隊は洞窟に精通した者を選抜されで、確認した後は報酬として金貨をやる予定である。調査隊は早速、洞窟に潜入した。調査隊のリーダーであるポルコはランタンを手に持ち、洞窟の周辺を調査し始めた
「皆、ここから先は狭くなっている、足元に気を付けろよ。」
ポルコの指示の下、洞窟の奥を探索すると、そこには沢山の蝙蝠が調査隊に向かって飛び始めた
「うわわ!」
「くっ!」
「このこの!」
調査隊は蝙蝠を何とか払い除けて、奥へ進むと、そこはもう行き止まりだった
「行き止まりか、よし一旦、引き返して・・・・」
「隊長!これを見てください!」
「ん、これは。」
1人の隊員が指差す方向へ向けると、そこには飴色で固まった石を見つけた。道具を使って飴色の石の周りを丁寧に削り取り、飴色の石を取り出した
「これは琥珀だぞ!それも質がいいやつだ!」
琥珀とは天然樹脂の化石&宝石であり、宝飾品として珍重されている
「隊長!こっちにもあります!」
周囲を改めると琥珀が大量に埋め込まれており、隊長のポルコだけではなく隊員たちは興奮を抑えきれなかった
「早速、報告するぞ!」
調査隊は早速、洞窟を出て、島左近に琥珀の事を報告したのである
「琥珀だと、それは誠か。」
「はい、これがその証拠でございます。」
ポルコはリュックから琥珀を取り出した。ワシはポルコから琥珀を受け取り、確かめた。どこからどう見ても琥珀である
「うむ、間違いないようだな、琥珀はこれだけか。」
「いいえ、洞窟の奥に大量に埋め込まれています!」
「そうか、御苦労であった。一人一人に金貨10枚をやろう。」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
調査隊に金貨をやり、解散させた後、琥珀を産出する洞窟の発掘作業をすることにした。早速、志願者を募り、例の洞窟へと向かった
「良いか、無理はせず、安全に発掘をせよ。」
「「「「「ははっ!」」」」」
作業員たちは道具一式を持って洞窟に入り、発掘作業に入った。すると琥珀が続々と産出され、続々と運ばれた。領民たちは琥珀見たさに集まり、警備隊が出動するほどの大騒ぎとなった。あの後、他にも洞穴を見つけ、探索すると琥珀が見つかったという
「これは流石に隠し通せる物ではないな。いずれ、王都にも知られるだろう。」
「ティアに報告をさせますか。」
「そうだな。」
ワシはティアを呼び出し、琥珀の産出された事を報告させた。ティアに現物を見せると琥珀を凝視しつつ、報告書作成に取り掛かった。報告書を書き終えると早速、早便にて送られ、数日後に王都へ到着し、報告書は王宮へと運ばれ、ルナの下に届いた。ルナは報告書を呼んだ後、国王ロバート・シュバルツに報告をした
「【エメリカ山脈】から琥珀が産出されたか。」
「王都でもサコン・シマの領地にて琥珀が産出されたとの噂がちらほら出てきました。」
「ルナよ、これより直ちに現場に向かえ、真偽を確かめよ。」
「ははっ!」
ルナは馬車に乗り、島左近の治める領土へと向かった。その頃、島左近は執務室にて琥珀に関する書類を目にしていた
「うむ、どうやら【エメリカ山脈】は塩泉だけではなく、琥珀の産出地でもあったという事か。」
「左近様。」
「ん、与一か。」
そこへ与一が気配なく執務室に現れた。ワシは書類を置き、与一の方へ目を向けた
「して何用だ。」
「はっ!シュバルツ王国の家紋のついた馬車がこちらへ向かっております。」
シュバルツ王国の家紋のついた馬車、馬車に乗っているのはルナであろうな。恐らく琥珀の件で確かめにきたのだろう、ワシは与一に命じてティアに来るよう命じた。与一が執務室から退出してから2分後、与一と共にティアも執務室に入室した
「ティア、シュバルツ王国の馬車がこちらへ向かっていると知らせが入った。分かっていると思うが・・・・」
「はい、旦那様との事は決して話しませぬ。」
「それでよい、その方がワシとそちも安泰じゃからのう。」
「はい。」
「下がって良い。」
ティアに釘を指しておいた後、ワシらは準備を始めてから、数日後に馬車が到着し、ルナが馬車から降りた。ワシは偶然を装い、ルナと対面した
「これはこれはルナ殿、突然の御来訪、何事にござるか?」
「【エメリカ山脈】にて琥珀が産出されたと耳にしたもので真偽のほどを確かめにきました。」
「左様か、では案内致しますゆえ、馬車に乗られよ。」
「ではサコン殿も乗られませ。」
「忝ない。」
ワシらは馬車に乗り、【エメリカ山脈】へ向かった。その道中、人だかりもできており、警備隊が退かせ、馬車が通れるようにした
「これほどの人だかり、噂は本当のようですね。」
「左様、まさか琥珀が出たなど誰も思いもせなんだ。」
馬車は【エメリカ山脈】に到着すると、そこには発掘された琥珀のついた岩石がいっぱい箱に入れられていた。ルナは馬車から降りて、琥珀のついた岩石を手に取り、確かめた
「おお、本物の琥珀ですね。」
「おい、ちょっと、あんた、勝手に触るな。」
そこへ作業員の1人がルナを咎めるとワシは作業員を止めた
「良い。」
「じゅ、【準男爵】様」
「この御仁はシュバルツ王国から派遣された内政官殿だ。」
「な、内政官、失礼しました!」
「もう良い、作業を進めろ。」
「は、はい。」
「すいません、私たら仕事の邪魔をしてしまって・・・・」
ルナも琥珀に夢中になり、仕事の邪魔をしてしまったと申し訳なさそうにワシに詫びを入れた
「皆、琥珀の採掘に気が立っているのだ。ルナ殿も不用意に触れない方が良いかもな。」
「そうですね。」
「では工房へ案内いたそう。」
ワシは馬車に乗り、【サコン町】にある工房へ向かった。工房に到着し、中へ入ると岩石を綺麗に取り除き、琥珀を取り出す作業が行われた
「ほぉ~、こうやって琥珀を取り出すのですね。」
「ええ、幸いにもその技術に精通した者が移住していたおかげで作業がはかどり申した。」
その後、ワシは加工し終えた琥珀をルナに見せた。出来立ての琥珀は手触りがよく、温かかった
「これは美しいですね。」
「もしお望みであれば1つルナ殿に進ぜよう。」
「え、いや、流石にそれは・・・・」
「ルナ殿には大変世話になっておるからな、その礼だ。」
ワシは既に加工され、作られた琥珀の首飾り(ネックレス)をルナに渡した
「ありがとうございます、サコン殿。」
「ふふ、見目麗しいルナ殿にお似合いだと思うたまでよ。」
「か、からかわないでください。」
ルナは頬を赤らめながら、琥珀の首飾り(ネックレス)を受け取った。それと出来上がった琥珀を献上する事にした
「この琥珀を国王陛下に献上致します、無事に届けてくだされ。」
「分かりました、陛下もお慶びになりましょう。」
その後、ルナは馬車に乗り、王都へ帰還したのである。ワシは馬車を見送った後、屋敷へ戻った。ルナの乗った馬車は数日後に王宮へ到着した。ルナは早速、執務室にいる国王ロバート・シュバルツに報告すると共に、琥珀を献上した
「ご苦労。」
「ははっ!」
「ルナ、その首飾りは何だ?」
「あ、これは、サコン殿よりいただきました。」
「そうか、奴は女性の扱いが上手いようだな。」
「へ、陛下。」
「冗談だ、下がってよい。」
「はっ!」
ルナは下がった後、ロバートは加工された琥珀を手に取り、眺めた。飴色に光り、手触りが良かった
「献上品、確かに受け取ったぞ、サコン・シマ。」




