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122話:秘密契約

島左近清興だ、サムエル男爵が帰った後、ワシはティアの動向を伺った。もしかしたら今回の事を報告するかもしれない。そこへ与一が駆けつけ、ティアは今回の事を書状に書き、報告するようだ


「流石に今回の件は報告するわけにはいかないな。」


「止めまするか。」


「そうだな。」


その頃、ティアは部屋に戻り、今回の出来事を手紙に書き早速、郵便局に出そうとしていた


「これは報告しないと。」


ティアは財布と手紙を持って、扉を開けるとそこには島左近と颯馬与一が仁王立ちしていた


「だ、旦那様に執事長、如何なさったのですか?」


ティアは突然、扉の前に現れた二人に戸惑っていた


「ティア、今回の事は他言無用と命じたはずだぞ。」


「な、何の事ですか、私にはさっぱり。」


「主を監視しておったぞ、その書状はルナ殿に送る予定なのだろう?雨乞いの件も送っていたのであろう?」


それを聞いたティアの表情が青白くなり後退りをした、その隙に与一が電光石火の早業で書状を取り上げた後、ワシに渡した


「あっ!か、返して!」


ティアを書状を取り替えそうとしたが与一に取り抑えられた。ワシは書状を広げると、今回の出来事が事細かく記されていた


「ティアよ、今回の事は目をつむってもらおうか。」


ティアは観念したようで抵抗する気力が失せていたそしてワシの方へ顔を向けた


「いつから気付いていたんですか?」


「始めからだ、ルナ殿が侍女を寄越すと聞いた時は何か裏があると思ってな、案の定、スパイだったと言うだけの話だ。」


「・・・・私をどうするんですか?」


「安心せよ、別に殺しはしない。ただ、これまで通りの報告はできなくなるがな。」


ティアは観念して、ここへ来た目的を話した。分かってはいたが、国王からの密命でワシの監視し、逐一報告するよう動いていたらしい


「あの男爵も必死の思いでワシの下に近付いてきたようだからな、もし主がこの書状を国王の手に渡れば、間違いなくサムエル男爵は何らかの咎めが出るであろう、下手をすれば家族は路頭に迷う可能性がある。ティア、両親を早くに亡くし、孤児だったお主にも分かるであろう?」


「は、はい。」


「分かればそれで良い、下がれ。」


「はい・・・・」


ティアはそのまま自分の部屋へ入っていった。ワシは念のために監視を続けるよう命じたのである。そしてワシと与一は読唇術を使った


「(サムエル男爵の馬車に追跡動物を配置させたか。)」


「(抜かりなく。)」


「(男爵が申した事が誠か、それとも偽りか、それを知らぬ内はティアには大人しくして貰わねばな。)」


「(はっ。)」


その頃、サムエル男爵の馬車は王都へ到着し、屋敷に戻った


「「「「「お帰りなさいませ。」」」」」


「うむ。」


妻のネドリー・サムエル男爵夫人と息子のジョン、娘のメアリーと数人の使用人が出迎えた。屋敷へ入るサムエル男爵の衣服に追跡動物【蝶】がくっつき、同行をした。自分の部屋に入ったサムエル男爵は妻に例の事を報告した


「そうですか。」


「流石に無理であった。」


「だから申し上げたのです、娘を平民の妾になど・・・・」


「これ!相手の家は畏れ多くも陛下より下賜紋を賜った家だぞ!失礼な事を言うでない!」


「申し訳ございません。」


「それと妙な事を言ってきたんだ。」


サムエル男爵は左近の言った事を妻に話した。ネドリー男爵夫人は頭を傾げた。わずかな領地で取れる物なんて早々ないのだが・・・・


「それで私は領地に赴き、調査することにした。」


「えっ!それはあまりにも急ではありませぬか!」


「いや、もしかしたら男爵家の発展に寄与する物を私は見落としているのがあるのやも知れん。私はそれに賭けてみたい。」


「分かりました、旦那様に従います。」


「すまない。」


サムエル男爵は早速、残りの休暇を使い領地へ赴いた。男爵家の領地と王都の距離は目と鼻の先なので1日で到着した。すると村の村長がサムエル男爵を出迎えた


「これは領主様、如何なさいましたか!」


「うむ、領地の視察だ。」


サムエル男爵は早速、領内の視察を開始した。領地をくまなく探索したが、これといったものはなく、あるとすれば穀物、岩塩、そして大量の椿である。サムエル男爵は領内を視察し終えた後、王都へ帰還した


「「「「「お帰りなさいませ。」」」」」


「うむ。」


家族と使用人の出迎えを済ませた後、部屋へ戻り、島左近宛に手紙を書いた。サムエル男爵は手紙を書き終えた後、封をして早便にて島左近の下へ送った。その手紙は数日後に島左近の下に届いた、左近は与一と共に執務室へと行き早速、封を切り、書状を広げ、一読した後、与一と読唇術で会話を始めた


「(なるほど。)」


「(何と書かれていたので?)」


「(領内で穀物・岩塩・椿があるらしい。)」


「(それしかござらんのか?)」


「(ああ、しかし椿があるのは幸いだな。)」


島左近は椿と聞いてある事を閃いた。ワシが一介の武人だったころ、とある国で椿を使った油を目にした事がある。椿の油は食用だけではなく、化粧品としても珍重されている。サムエル男爵の領土にある大量の椿を使って椿油を製造することを進めることにした。ワシは早速、書状を作成することにした






【ボルム・サムエル男爵へ】

「御手紙拝読いたしました。某は椿の樹木の種子を使った椿油の製造を御勧めいたします。椿油は食用だけではなく、化粧品として珍重されております。某が一介の武人だったころ、某国にて椿を使った油が王族や貴族の御夫人方に大変評判が良いと聞き及んでおります。貴殿の領地にて椿が自生しているのであれば、試しに作られてみてください。ただし椿は取りすぎない程度に行いつつ、栽培をしてください。」

【サコン・シマより】





ワシは書状を書いた後、早便にてサムエル男爵家に送った。勿論、ティアの耳には入れていない・・・・


「さて向こうはどう出るか。」


左近の書いた書状は数日後にサムエル男爵家に届けられた。使用人は手紙をサムエル男爵に渡すと、封を切り、書状を広げ、内容を拝読した


「まさか椿から油が取れるとは・・・・」


サムエル男爵は、左近の進言に従い早速、食用油に通じた職人たちを集め、椿の種子を使い、椿油の製造を始めた。職人たちは試行錯誤の末、ついに椿油を完成させた。試しに食用油として調理を始めると、菜種油同様に揚げ物を揚げる事ができ、味も申し分なかった


「よし、椿油を商人たちを通じて売りに出そう。」


サムエル男爵は早速、懇意にしている商人と通じて、椿油を売ることにした。商人は椿油を試しに売ってみると、菜種油と同様に注文されるようになり、また化粧品としても利用され、王族や貴族にも珍重され、サムエル男爵家の評判が鰻登りになった


「まさに宝の山が領地にあって良かった!」


サムエル男爵はこの事を島左近に知らせるべく、手紙を書き、早便で送った。手紙は数日後に島左近の下に届いた


「旦那様、男爵は何と?」


「椿油が大層の評判が良いそうだ。ワシへの礼も含まれておる。」


「それは重畳ですな。」


「与一、ティアを呼んで参れ。」


「ティアを?」


「ああ、監視としての役目を果たさねばな。」


与一は執務室を退出した後、入れ替わりでティアが執務室に入室した。ティアは緊張した面持ちでワシの下を訪れた


「御用の趣は・・・・」


「うむ、ルナ殿に報告してもらいたい事があってな。まずはこの書状を読め。」


「はい、では失礼して。」


ティアはサムエル男爵が寄越した書状をティアに渡した。ティアは書状を一通り拝読した後、ワシの方へ顔を向けた


「この事を報告しても宜しいのですか?」


「ああ、此度の事は報告しても構わん。ただし監視をつけた上で書状を書き、ワシに一旦見せてからだ。」


「承知しました。」


ティアは早速、報告書の作成を開始した、勿論、シグレの監視の下で書状を書き記した。その書状をワシの下で持っていき、ワシは確認した後、シグレに命じて早便にて届けさせた。ワシはというとティアと二人きりになったところで、これからも良好な関係を築けるよう説き伏せた


「ティアよ、これからもよろしく頼むぞ、お主の裁量次第で王国にも我等にも幸があらんことを祈るばかりだ。」


「・・・・分かりました、旦那様。」


ティアは未だにワシの事を信用していないようだが、こればかりは時をかけてやるしかない


「安心せよ、主が余計な事をせねば、主の命はワシが保証しようぞ。」



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