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119話:アメリアとティア

島左近清興だ、ワシはアリーナと共に寝室で話をしていた


「旦那様、あの者の事をどう思われますか?」


「陛下よりの賜り物であろう。」


「旦那様、あの者は・・・・」


「待て。」


ワシがアリーナを制すると扉からノック音がした。ワシが許可を出すと中に入ってきたのは与一であった


「お休みのところ、申し訳ございません。」


「構わん、それで?」


「はっ。」


すると与一がアリーナの方へ目配せした


「構わぬ、申せ。」


「はっ、報告書を作成した後に例の者はご就寝致しました。」


「御苦労、下がって良い。」


「はっ、ではお休みなさいませ。」


ワシが許可を出すと与一は部屋を退出した。部屋を退出したのを確認し、アリーナの方を向いた


「で、あの者は・・・・何だって?」


「はい・・・・スパイなんじゃないかと。」


「何故、そう思う?」


「はい、陛下から女を賜るということは即ち、監視をつける、貴族の間では警戒すべき予兆にございます。」


アリーナは元は伯爵家の令嬢、嘘は申していないようだな


「流石は我が妻だ。」


ワシはアリーナに打ち明けることにした。アリーナの申した通り、あの者は国王が寄越した間者であり、ワシの行動を逐一報告すること、あえて放置をすることをアリーナに伝えた


「旦那様も気付いておられましたか。」


「あぁ、妙な胸騒ぎがしてな、調べてみれば案の定、これだ。アリーナ、お主にも協力して貰うぞ。」


「はい、分かりました。」


「話は終わりだ、さて・・・・」


「だ、旦那様。」


「アリーナ、今宵のそなたは美しい。」


「あ♡」


そして明朝になり、ワシとアリーナは着替えを済ませ、一緒に食堂の間へ向かうと、そこへティアと出くわした


「旦那様、奥様、おはようございます!」


「おはよう、今日から仕事か。」


「はい!」


「ティア、貴方の働き期待していますよ。」


「ありがとうございます、では失礼します!」


ティアはワシらに一礼した後、そのまま仕事場へ向かった


「さて行くか。」


「はい。」


ワシらは食堂の間へ行くと、与一とウルザがアルグレン、サリーナ、ヨームに離乳食を与えていた。ワシらの事に気付き挨拶をした


「「おはようございます。」」


「おはよう。」


「おはようございます。」


「「「おはよーございましゅ!」」」


「あぁ、3人ともおはよう。」


「おはよう♪」


ワシらは挨拶を済ませ、一緒に朝餉を取った。ティアがワシの前に近付き茶を勧めた


「旦那様、お茶をどうぞ。」


「うむ。」


ワシはティアが持ってきたお茶を飲んだ、程よい熱さで飲みやすかった。どうやら腕は本物のようだな。するとティアはアリーナにも茶を勧めると、アリーナも茶を飲み、チラッとティアの方を向いた。ティアは笑顔を絶やさず、アリーナに応対した


「旦那様、奥様、もう一杯如何ですか?」


「うむ、いただこう。」


「ええ。」


ワシとアリーナはティアの勧めで2杯目の茶を飲んだ。ワシは「下がってよい」と言うと、ティアは「失礼します。」と退出した。ワシとアリーナは互いに目配せしながら、茶を飲んだ。朝餉が終わり、執務室で仕事をしていると扉からノック音がして、ワシが許可を出すと与一が入ってきた


「左近様、贈り物は部屋に入りました。」


贈り物とは、ティア・ストロートの事である。陛下より送られた贈り物【ティア・ストロート】を監視している。追跡動物という手もあるが、ティア・ストロートは、れっきとした女子であり、流石に私生活まで覗くのをためらった


「流石に女子の着替えを覗くのは気が引けるな。」


「左様ですな、女子には女子ですな。」


ワシらは【お庭方】の一人であるくノ一をティアの監視につかせた。このくノ一の名は、シグレと申し、身長は160㎝、黒髪短髪、20代前半の色白碧眼の美女である


「では頼んだぞ。」


「はっ!お任せを!」


【お庭方】にもティア・ストロートは国王が放った間者だと伝えており、監視するだけにしておいた。もし不穏な動きがあれば、ワシの下に伝える事になっている


「ティアさん、よろしくね。」


「は、はい、よろしくお願いします。」


シグレは持ち前の話術で、ティアに近づき、生まれや王宮で何をしていたのかを聞いたらしい。ティアが自分がスパイである事を隠しつつ、生まれや王宮でしていた仕事を教えた。シグレはティアを慰めつつ、付かず離れずの距離でティアと接した。話を終えたシグレはそれらを与一に通じワシに報告をした


「左近様、あの者は生まれはシュバルツ王国の片田舎の生まれにて、元の名前はティア・メイセルと名乗っており、両親は早くに死亡しており、アメリア・ハントと同じ孤児院で育っています。」


「アメリアと同じ孤児院だったのか。」


「はっ、その後、ストロート家に養子に迎え入れられ、王都で暮らし、王宮で侍女の仕事についているようですな。」


「うむ、もしかしたらアメリアとも会っているかもしれぬな。」


「アメリアを呼びまするか?」


「うむ、試しにやってみるか。」


ワシはアメリアを屋敷へ呼んだ。表向きは仕事の報告であり、そこへティア・ストロートと鉢合わせることにした。早速、呼ばれたアメリアは客間にてギルドの状況を報告した


「うむ、ご苦労であるな。」


「はい!」


「仕事の方は慣れたようだな。」


「お陰様で!」


そこへお茶と茶菓子を持ってきたティア・ストロートが入室してきた。茶菓子と茶を置き、「ごゆっくり」と述べた後、ワシは・・・・


「そういえばアメリア・ハートは、〇〇〇孤児院の頃の知り合いに会う事があるのか。」


「え、あ、はい。今のところ、会っておりませんね。」


するとティアはアメリアの方へ向いた。アメリアもティアの方を向き、互いに目があうと・・・・


「もしかしてアメリア?」


「えっと。」


「私よ、ティア、ティア・メイセルよ!同じ〇〇〇孤児院にいた!」


「え!本当に!ティア!」


どうやら正解のようだ、ワシの前で久し振りの再会を喜び合っていたが、ワシの事に気付くと、気まずそうにしていた


「「申し訳ありません。」」



「ははは、よいよい。アメリア、ワシの用はそれだけだ。それとティア、久し振りに旧友との会話を楽しんでまいれ。」


「宜しいのですか!」


「ああ、アメリアもティアと話したい事があるであろう、ワシが許す。」


「あ、ありがとうございます!」


「うむ、2人とも下がってよい。」


「「はい!」」


アメリアとティアはワシに礼を述べた後、客間を退出した。退出したのを確認したワシはシグレに後を追わせた。シグレは二人が外で話しているのを発見し、人気のない場所にて見張ることにした


「まさかティアがこの屋敷にいるなんて思わなかったわ。」


「私は内政官を務めるルナ様の勧めで屋敷の侍女になってるの。」


「それじゃあ、ティアは王宮に努めていたの!凄い!」


「私も驚いたわ!アメリアがギルドに勤務してるなんて。」


「準男爵様の紹介で勤務することになったの、本当に助かったわ!」


「本当に会えてよかったわ。」


「本当にね。」


アメリアとティアは孤児院にいた頃を思い出していた。互いに両親が死に、同じ孤児院にて一緒に育った二人はこうして再会を果たしたのである


「ねえ、サコン・シマ準男爵様はどんな人なの?」


「うん、優しく強い人だよ。」


「そう。」


「どうしたの?」


「ううん、何でもない。そろそろ仕事に戻らないと。」


「そうだね。ごめんね、時間を取らせちゃって。」


「ううん、またいつか遊ぼうね。」


「うん、またね。」


アメリアとティアは別れの挨拶をした後、アメリアは【サコン町】へ、ティアは屋敷へと戻った。シグレは二人の会話をそのまま左近に報告した


「ご苦労であった、引き続き監視をせよ。」


「はっ!」


シグレを下がらせた後、左近は茶を飲み、一息ついたところ、ある書状を目にした


「うむ、ジュリアス王国で雨が降っておらず、雨乞いが行われているか・・・・のんびりしている場合ではないな。」




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