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116話:ふとした再会

島左近清興だ、シュバルツ王国とシュンフェン王国は正式に同盟を結び、我が国が抱える膨大な農作物等がシュンフェン王国に送られ、数ヵ月が経つ。シュバルツ王国の抱える豊作貧乏は此度の交易によって解決したのである


「サコン様、農作物が大売れに売れております!」


「そうか。」


「私たちも食糧を売りましょう!」


「駄目だ。」


「え・・・・それは何故?」


「万が一、飢饉や干魃が起きれば、こっちが飢え死にしてしまうからな。古くなった農作物は保存食作りに回すこととする。」


「はぁ。」


いつまでも豊作が続くとは限らない。いずれ飢饉や干魃がこの国を襲う可能性がある。万が一のために社倉制度を導入し、救荒植物を栽培した。今は豊作貧乏から脱却するべく、シュンフェン王国に食糧を送っているが・・・・


「与一、いるか。」


「はっ!」


「アワ、ヒエ、ソバ、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ等の栽培のための畑を拡張させよ、穀物が全滅した場合の、隠し種としてな。」


「ははっ!」


ワシらは救荒植物用の畑の拡張を開始し、アワ、ヒエ、ソバ、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ等を行った。また古くなった作物を保存食作りに使い、いつでも飢饉に対処できるように励んでいるが天災は人知を超えた存在であり、油断ができない。それに食糧を保管していることを知った他の土地の住民がここに押しかけてくる可能性があり、暴れ象に町や村を壊されて、ここに来た難民の事もある


「さて、屋敷へ戻るか。」


ワシは屋敷へ戻る道中、行き倒れている者がいた。見た目からして衣服はボロボロで背中にリュックサックを背負った10代後半くらいの女子であった。【お庭方】の1人が駆け寄り、安否を確かめると・・・・


「旦那様、まだ息がありまする。」


「屋敷へ運べ、それと医者を呼ぶのだ。」


ワシはポーションを出して、娘の飲ませた。娘は少しずつポーションを飲んでいき、碧眼に光が宿り始めた


「あ、あなたは・・・・」


「喋るな、今、ワシの屋敷へ運ぶ、医者も呼んだゆえ安心せよ。」


一旦、ワシの屋敷へ運んだ。与一らは何事かと騒然としたが、まずは娘の介抱をすることにした。医者が参り、娘の診断をさせると・・・・


「命に別状はありません、安静にした方が良いですな。」


「左様か。」


娘をベッドに寝かせた後、リュックサックをそばに置いた。するとワシはあるものに目を付けた


「これは・・・・」


ワシが目にしたのは勾玉(青色)のペンダントだった。このペンダントに身に覚えがあった。ワシはふとベッドに眠る女子を眺めた。明るい薄茶色の髪、碧眼、色白の肌をした可愛らしい美少女の寝顔を見て左近は・・・・


「この娘・・・・まさかな。」


ワシは部屋を退出し、広間へ戻るとアリーナたちが待っていた


「左近様、あの娘は?」


「あぁ、ぐっすり眠っておる。」


「いやぁ、驚きましたよ、主様が女の子を連れてきたから何事かと思いましたよ!」


「左近様、あの娘は何者なのですか?」


「うむ、それはまだ分からん。だが身に覚えのあるものを見つけた。」


「それは一体?」


「青色の勾玉のペンダントであった。」


「左近様、青色の勾玉のペンダントと申されましたか!」


「ちょっと、お前さん、いきなり何!」


与一が勾玉(青色)のペンダントと聞いて反応する与一に隣にいたウルザが驚いた。それを見たアリーナがワシに質問をした


「旦那様、あの娘とお知り合いなのですか?」


「うむ、ワシが地主になる前、一介の武人だった頃に勾玉のペンダントを持っていたが、ある娘に渡した事がある。」


「左近様、あの娘、もしかして。」


「うむ、ワシが出会った時は5歳ほどの童であった。生きていればあの娘と同じ年頃になる。」


「旦那様、あの娘の名は?」


「確か・・・・ん?」


ワシは気配を感じ、振り向くと例の行き倒れの娘がワシらの前に現れた


「あ、あの、ありがとうございます。助けていただいて・・・・」


「・・・・そなたに尋ねたい事があるが、良いか?」


「何でしょうか?」


「主はもしや、アメリア・ハントではないか?」


それを聞いた娘は目を見開き、ワシを注視した


「な、なんで私の名を・・・・」


「ワシだ、サコン・シマだ。そなたに勾玉のペンダントを渡した者だ。」


それを聞いたアメリアはワシを注視した後、目から涙が溢れた


「うう、サコンのおじちゃん!!」


そういうとアメリアがワシに駆け寄り、抱き着いた。アリーナらはびっくりした表情でワシとアメリアを見つめていた。ワシは取りあえずアメリアを慰めつつ、一旦離すことにした


「感動の再会のところ、悪いが一旦、離しておくれ、話ができん。」


「ご、ごめんなさい。」


アメリアは一旦、ワシの下から離れ、謝罪した。すると我に返ったアリーナがつかさずアメリアの事を聞いてきた。取りあえずアメリアの事を説明することにした


「旦那様、この娘とどういう関係なのですか?」


「ああ、説明するとな、ワシが地主になる前、アメリアと出会ったのは任務が終わり、【ガルバ町】に戻る途中で会ったのだ。まあ、この娘にとっては思い出したくない過去だな。」


「思い出したくない過去?」


「うむ。」


ワシは一旦、アメリアの方を向いた。アメリアはワシの方を向き、「どうぞ」と返事を返した。そしてワシはアリーナたちの方へ向き直し・・・・


「実はな、この娘の親御が賊に殺されたのだ。」


「「「「「えっ!」」」」」


それを聞いたアリーナ(与一以外)たちは驚愕した。するとウルザは与一の方を向き、問いただした


「お前さん、それ本当なの!」


「ああ、誠の話だ。」


与一の話を聞いたアリーナたちはアメリアの方を向くと、泣きそうになりながらもアメリアは首を縦に振った


「ワシと与一が駆け付けた時にはこの娘も殺されそうになっていたところを助け、賊を根絶やしにしたが、既に親御二人は事切れて居った、ワシがもう少し早くに駆け付けておれば・・・・」


ワシとして後悔している。死んだ両親を前にアメリアは涙に暮れていた。ワシと与一はアメリアを慰めつつ、どうにかしようと思い、菓子を与えたり、慰めたりした


「ワシはこの娘がどうやって生きていくのか心配でならなかったが、ワシらの仕事は命を懸けたものばかり、この娘を信頼できる孤児院に預けたのだ、その別れ際に勾玉のペンダントを渡したのだ。」


「はい、今でも私の宝物として持っています。」


ワシがそういうと、アメリアは勾玉のペンダントを取り出し、昔を懐かしむかのように、ペンダントを見続けた。ワシがふとある疑問が浮かんだ。なぜワシの領地にいたのかを・・・・


「それでアメリア、どうしてあそこで行き倒れていたのだ?」


「あ、はい、実は私、孤児院を離れて王都へ向かう途中だったんです。」


「王都へ、何をしに?」


「はい、王都だったら仕事があると思ったんですが、途中で路銀が尽きてしまい、おまけに何も食べてないんです・・・・」


「ああ、そうか。すまんな、誰か菓子を持ってきておくれ。」


使用人に命じて、塩味饅頭6個と冷たいお茶を与えると、アメリアはガツガツと食べ始めた。よほど腹が減っていたのだろうとワシらは黙って見ていた。塩味饅頭を食べ終わり、水もぐいっと飲み終えたところで、一息ついたアメリアは・・・・


「御馳走さまでした。すいません、御菓子までいただいてしまって・・・・」


「いや良いのだ、ところで仕事を探すために王都へ行こうと思って居ったのか?」


「はい。」


「仕事を探しているのであれば、ここで探さないか、仕事を探しているのであれば、ワシが世話をしてやろう。」


「え、いいんですか!」


「ああ、こうして会ったのも何かの縁だ、力を貸そう。」


「ありがとうございます!」


ワシとアメリアとの再会を喜ぶ一方、王都では国王ロバート・シュバルツは食糧の輸出規制を考えていた


「うむ、もう金は十分すぎるほど手に入ったし、食糧の輸出を規制することにする。」


「彼の国が納得しましょうか?」


「これ以上、やれば我が国の食糧が無くなってしまう。もし飢饉が起きてみろ、たちまち我等も彼の国の二の舞になるぞ。」


我が国の豊作貧乏は解消されたが、食糧の輸出は抑える事にした。今度は我が国が飢饉にあったら、シュンフェン王国の同様の憂き目になってしまう


「彼の国に伝えよ、食糧の輸出は規制いたすとな。貴国もこれ以上の金の輸出は控えられよとな。」


「ははっ!」


シュンフェン王国に食糧の輸出を規制することを通達した。シュンフェン王国の方では官民に食糧が十分配給ができた事と、これ以上の金の流出を避けるために、通達を受け入れた事で両国は問題なく解決したのである




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