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115話:同盟

「我が国の王太子と貴国の姫君による御婚約にございます。」


タイランのその一言に広間は静まり返った。少しばかり呆気に取られたロバートはすぐに我に返り、婚約話について尋ねた


「貴国の王太子との婚約だと?」


「はい、我が国の王太子であるリー・シュンフェン様は今年で13歳になりますが、婚約者がおりませぬ。」


「それで我が国とどういう関係があると言うのだ。」


「はい、貴国と交易を通じて同盟を結びたいと考えております、ただ交易だけでは結びつきが弱い、そのため陛下の御息女と王太子の御婚約を結びたいと考えております。」


これを聞いたロバートはカチンときた。突然、我が国にやってきた使節団は何を言っているのだ、交易を結びたいというのは分かるが、婚約を結びたいとは、無礼にもほどがあると思ったが、頭を冷やして大使と応対した


「なるほど、交易だけでは繋がりが弱いため、私の娘を貴国の王太子と娶せて、繋がりを強くしよういうことか。」


「ご了承いただけますか?」


「それは困ったな。娘はいるんだが、まだ産まれたばかりなのだよ、今すぐに婚約は無理だな。」


「今すぐにとは申してはおりませぬ、許嫁として王太子と姫君の御婚約をさせる約定を結びましょう。」


「待て、すぐには返事はできん。少しの間、考えさせてくれ。」


「分かりました、返事が来るまで我等は滞在させていただきます。」


「うむ、大儀である。」


タイランが広間から去り、王宮を出た事を確認したロバートは・・・・


「あんな無礼な奴は初めてだ。」


ロバートがそう口にした途端、貴族たちが我先にと意見を述べ始めた


「陛下!彼の国の申し出、即破談に致しましょう!」


「左様!我が国に喧嘩を売るも同じにございます!」


「交易ならまだしも、いきなり婚約とは!」


貴族たちの大半は破断すべきだと腹立ち紛れにいう貴族たちに、ロバートは制した


「静粛に。一時の感情だけで事を決めてはならん、相手の思うつぼだ。」


ロバートがそういうと貴族たちは静まり返った。確かに一時の感情で事を進めれば、戦争になる可能性がある。まずは時を稼いで、彼の国の現状を探ることにした


「まずは彼の国の内情を調べよ。」


「はっ!」





島左近清興だ、ワシは商人からシュンフェン王国について話があった


「サコン様、シュンフェン王国の事なんですが・・・・」


「如何した?」


「はい、実は彼の国は現在、火山が噴火して飢饉や干魃に陥りで、他国との交易が芳しくないそうです。」


「ほぉ~、それは初耳だな。」


「使節団がこの国に来たときは、交易が目的なのではと私ら商人はそう思ったもので。」


「それは良いことを聞いたわ。」


シュンフェン王国は火山による飢饉と干魃の時期になっている。シュンフェン王国はなるべく、他国に情報を流出させるのを防ぐべく、交易を制限しているらしいが、人の口に戸は立てられぬ、商人の情報網によってシュンフェン王国の実情が知られるようになったのだ


「しからば王都にも広めた方が良さそうだな。」


そういうとワシはその商人に金貨の入った袋を渡した


「はい、早速広めたいと思います。」


商人はニヤリとしながら、金貨の入った袋を受け取った。その後、王都ではある噂が広まった。シュンフェン王国は火山による飢饉や干魃によって、貧困に喘いでいると、人の口から口へ広まった。やがてその噂はロバートの耳にも入った


「ロミオよ、噂を聞いておるか?」


「はい、彼の国が飢饉と干魃に喘いでいると。」


「もし誠であれば、お前なら如何いたす?」


「父上、婚約話は受けない方が宜しいかと思います。」


「ほぉ~、彼の国と戦争になる可能性は考えないのか?」


「例え婚約は叶わなくても交易だけは何としても成し遂げたいと向こうは考えるでしょう。戦争は彼の国にとって自ら首を絞めるようなものです。交易だけで十分では。」


「うむ。」


すると扉からノックする音がした。許可を出すとすると衛兵が入ってきた


「失礼します。」


「何だ?」


「陛下、タイラン殿がいつ御返事をいただけるのかと、催促をしてきましたが。」


「待たせておけ。」


「はっ!」


衛兵がその場を去ると、ロバートはロミオの方を注視した


「ロミオよ、向こうは焦りを隠しきれずにいるようだ。」


「左様ですね、父上。それで御返事はいつに?」


「向こうの本心が見えるまでだ。」


その頃、屋敷に滞在していた使節団は焦り出した。そう自国が秘密にしている事案がこの国に広まっているのだ


「タイラン様、如何致しましょう。」


「うむ、向こうは我等がどう出るか、慎重に見極めておるのだ。」


「タイラン様、流石に婚約話は早まったのでは?」


タイランは自分の軽率さを恨んだ。自国の内憂が知られていない事をいいことに、強気な対応をしたのが今になって仇にしまった事に後悔している


「婚約の話が無くなっても、交易だけは死守せねば、国には帰れぬ。」


婚約話を白紙にし交易だけは成し遂げたい、それだけは何としても譲るわけにはいかない。使節団はひたすら待ち続け、ようやく参内の日となり、再び会談が開かれた


「待たせてしまってすまぬな。」


「して御返事は?」


「うむ、よくよく考えれば、乳児の死亡率の高さはどの国でも起こり得ることだ。万が一、娘が亡くなってしまえば婚約話ができなくなる可能性がある。故に婚約話も許嫁にするのも受けることはできないな。」


タイランもある程度、予想はできていたらしく、婚約話を引っ込めることにした。さて本題はここからだ・・・・


「分かりました、私の一存ですが、婚約話は白紙に致します。ですが交易については・・・・」


「勿論、貴国との交易については考えてる。」


それを聞いたタイランは安堵した。交易だけは何としても成し遂げたいという思いが彼の胸の内にあったのだ、しかし・・・・


「考えてるが、貴国は飢饉と干魃に喘いでいる今、この時期に交易を始めて良いのか、迷ってもいる。」


それを聞いたタイランは内心、何か策がないか思い悩んでいた。ここで交易が無くなれば、我が国は破綻してしまうこと、遠路はるばるシュバルツ王国に来たというのに、何の成果も得られず帰るのは、最大の恥辱である。その様子を端から見ていたロミオはあることを思い付いた


「父上、こうしてみては如何でしょう、我が国が食糧を提供することにして、貴国らも何かしらの物を提供する、これも立派な交易ではありませんか?」


「うむ、それは良き方策だ。どうだ、そちらは何を売るのだ?」


それを聞いたタイランは一寸の希望の光が芽生えた。これなら我が国の面目が立てると・・・・


「我が国は金を提供致します。」


「そうか、それは良い。これで話は纏まった。そなたらも大手を振って母国へ帰れるだろう。」


「ははっ!有り難き幸せ!」


その後、シュバルツ王国とシュンフェン王国との間に同盟が結ばれた。シュバルツ王国は食糧、シュンフェン王国は金による交易「食糧を買い取る」が開始した。シュバルツ王国にとってはこの交易は有り難かった。実は豊作続き、保存食等でやっても余ってしまい、豊作貧乏に陥っていた。放っておいても腐ってしまい勿体無いと思っていた所、今回の話が舞い込み、これ幸いと農作物や魚等を売ることにした。おまけに大量の金が手に入るため、まさに一石二鳥である。シュンフェン王国も大量の食糧が官民問わず、配られたため、多くの命が救われたのである


「ロミオよ、お前を王太子に戻す。」


「父上、それは本当ですか!」


「あぁ、お前があの発言があったからこそ、同盟を結ぶことができ、我が国の豊作貧乏を解決し、大量の金を手に入れることができたのだ。その功績を持って、お前を王太子に復位いたす。」


「父上・・・・有り難き幸せ!」


此度の功績によりロミオ・シュバルツは再び王太子の座に返り咲き、両国にとっては万々歳に終わったのであった



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