105話:ギュンターの最期
島左近清興だ、ギュンター等が【サコン町】に接近している事が【お庭方】によって知らされた。ワシらは予め人気のない場所に待機し、奴らが来るのをじっと待っていた
「主様、ギュンターとその一味が町に到着いたしました。」
「よし者ども、抜かるなよ。」
一方、ギュンター等は【サコン町】に到着した。年のためにフードを被り、顔を隠していた
「ギュンター様、一旦人気のない路地へ隠れましょう。」
「そうだな、警備隊の目もあるからな。」
ギュンター等はなるべく人の目を避け、路地へ移動した。ギュンター等と側近たちは路地に隠れた後、ギュンター等は別々に別れることにした。サマノスケを見つけたら、見張りを立て、後はギュンター等に知らせ、全員でサマノスケを拉致する計画を立てたのである。ギュンターと側近2人のAチーム(3人)と筆頭にBチーム(2人)、Cチーム(2人)、Dリーム(2人)、Eチーム(2人)に組み分けされた
「よし、散れ。」
ギュンター等の合図で、全員が散り、サマノスケを探索にあたった。その様子を見ていたサスケが島左近に知らせた
「そうか、奴らは散ったか。」
「左近様、絶好の機会ですな。」
「うむ、ジワジワと追い詰めてやれ。」
「「「「「ははっ!」」」」」
その頃、Bチームの側近らは路地に潜みつつ、リンゴを齧りながら、サマノスケの姿を探していた
「なあ、本当に見つかるのか。」
「やるしかねえだろ。」
「はあ~。」
Bチームはいつ現れるか分からないサマノスケを飽き飽きしながらも探索を続けつつ、側近の一人が暇つぶしにしりとりをやろうと提案した
「はあ~、なあ、しりとりでもしねえ・・・・」
側近の1人が振り向くと、そこにいた仲間がいなくなっていた
「なんだよ、厠にでもいったのか?」
ドサっ
「ん、何だ。」
背後から物音がして、何だろうと行ってみると、そこには血塗れの状態で事切れていた仲間の姿を見つけたのである
「ひ、ひい・・・・」
悲鳴を上げようとしたら、口を手拭いでふさがれ、首筋に刃物が突き刺さり、そこからおびただしい量の血が溢れだした。側近の一人は何が起こったのか分からないまま、仲間同様、事切れたのである
「始末したな。」
「ああ。」
Bチーム全滅を確認した【お庭方】はすぐに左近の下へと知らせに向かった。一方、Cチームは町中で堂々とサマノスケの姿を探した
「なかなか見つからねえもんだな。」
「ああ、あのジジイ、間違って教えたんじゃねえのか?」
「とりあえず路地裏に隠れるぞ。」
Cチームも路地裏に一旦、身を隠し休憩を取った。Cチームの側近の1人が煙草を吸おうとした
「おい、俺にもくれ。」
「あぁ、ちょっと待ってろ。」
もう1本煙草を取り出し、仲間に渡した。持参したマッチに火をつけて、互いの煙草に火で炙った後、煙を吸い込んだ
「「ふぅ~・・・・・ぐっ!」」
煙を吐いたと同時に首に絞めつけられるほどの圧迫感を感じると共に、そのまま後方へと引き寄せらせた後、そのまま力尽くで絞めつけられた
「ぐぐぐ・・・・」
「がが・・・・」
二人は必死に抵抗しようとするが、首の圧迫による呼吸困難が起き、そして力尽きた。首に絞めつけられた縄状の物を回収した後、脈を確認し、死亡を確認した
「死亡確認。」
「右に同じく。」
Dチームは、Eチームと合流し、状況を報告し合ったが、肝心のサマノスケは見つからず、途方にくれていた
「どこ探してもサマノスケが見つからないぞ。」
「やっぱりガセじゃねえか。」
「でもどう報告すんだ。」
「う~ん。」
「「何なら我等が報告しよう。」」
「ん?」
4人が声をした方へ振り向くと誰もいなかった。空耳からと勘違いした一人が仲間の方を振り向くと、仲間の首筋から血がどぱっと吹き出し、そのまま地面へと倒れた
「え・・・・」
突然の事に驚いた一人の側近が呆気に取られていると、首筋に刃物が見えた
「お前が最後だ。」
その言葉と共に刃物は首筋を切り裂くと同時に血しぶきが舞った。そして仲間たちと共に息絶えたのである・・・・
「あと3人か。」
B、C、Dチームが全滅したのを知らずにいたギュンターと側近2名のAチームは未だにサマノスケが見つからないことにヤキモキしていた
「おい、本当にここで合ってるんだろうな。」
「はい、間違いなく。」
「もしかして帰ったんじゃないんですか。」
「(あの、耄碌ジジイが・・・・)」
ギュンターは内心、その老人の妄言に騙された事に気付きつつも、もはやここにいても意味がないと考え、サマノスケが畑を耕している田園地帯へと戻ることにした。もしかしたら奴の家があるかもしれないと踏んだのである
「ここにはもう用はない。サマノスケが畑を耕していた場所へ戻るぞ。」
「「はっ!」」
ギュンター等が戻ろうとした瞬間、背後から殺気を感じたギュンターが振り向くと、側近二人が二人の男の手によって首が刎ねられ、そのまま地面に落ちたのである。それと同時、痙攣した胴体はガクガクと小刻みしながら地面に倒れた
「な、何者だ!」
「貴様に名乗る名など・・・・・・ない。」
「観念しろ、悪党が。」
「くっ!」
ギュンターは懐から煙玉を出した。煙玉は地面に落ちるとともに煙を出し、辺りを包んだ。その隙をついてギュンターはその場を離れた。ギュンターは息を切らしながら、人目を気にせずに走り続けた。自分を狙う存在から逃れるために・・・・
「どけ!」
「きゃあ!」
「あぶねえじゃねえか!」
ギュンターは通行人を無視してでも走り続けた。もはやなりふり構わずにはいられない状況に陥っていたのである
「はあ、はあ。はあ。」
ギュンターはこれ以上、走れず人気の少ない路地に隠れながら休憩を取った。息を整えつつ、周囲を警戒し、体力回復に努めた
「はあ、はあ、な、何だんだ、奴らは。」
あれは明らかに自分を狙っている事を確信した。自分の懸賞金目当てに追ってきた賞金稼ぎなのだろうか、それとも追手か、分からないがここにいては危ないと感じた。そばにいた側近二人はその場で殺され、残りの部下たちはどうなったか気になったが、今はそれどころではない・・・・
「私は、私は生き延びるぞ、絶対に・・・・」
休憩を取った後、立ち上がろうとした瞬間・・・・
「ぐふ!」
突然、自分の腹部に何かが貫いた感触を感じると共に、一気に背後に勢いよく引き寄せられ、そのまま壁に激突した
「が、ああ。」
ギュンターは自分の腹部に目を向けると、そこにあったのは槍だった。自分の腹に槍が刺さっていたのだ。なぜ槍が刺さったのか、誰がやったのか分からないが、激痛が走り、その思考が途絶えてしまうほど、意識が朦朧とし始めた
「こ、こんな・・・ところ・・・」
ギュンターの頭の中には教祖のコマイラと共に【ガルバトロズ】を創設し、布教のために尽力し、やがては欲得に目がくらみ、麻薬を栽培し巨万の富を得て、組織の大幹部に出世した。コマイラにばれずに、ひたすら職務に励みつつ、裏では破戒信者と破門された信者たちの頭目として勢力を奮っていた自分の栄光の人生が走馬灯のように浮かんだ
「が・・・・は。」
ギュンターはそのまま息絶えた。【ガルバトロズ】を宗教組織から犯罪組織へと変え、裏の世界で勢力を広げた男の最期はあまりにも呆気なかった
「終わったな・・・・」
ギュンターの最期を側近くで眺めていた男はそう呟いた
「左近様。」
「そちらも片付いたか。」
「はっ!」
「よし、警備隊に密告せよ。ギュンター・フェスティバルの死体が見つかったとな。」
「はっ!」
その後、ギュンター・フェスティバル及びその一味は駆け付けた警備隊により、遺体が回収された。やがてギュンター・フェスティバルの死去が国内外に広がり、世間を驚かせたのである。ちなみにギュンター・フェスティバルを殺した人物については一切の目撃情報がなく、真相は闇の中であった




