103話:復縁
側近5人を失い、残ったのはギュンターを入れて11名は何とかシュバルツ王国内にある【ガルバトロズ】の秘密の隠しアジトに辿り着いた。ギュンターらは一息ついた
「はぁ~、危なかった。」
「ギュンター様、我等はどうすれば・・・・」
「「「「「ギュンター様!」」」」」
「・・・・お前たちだけで考えればいいだろう。」
ギュンターは今まで散々。罵倒と嘲笑をしてきた側近らの変わり身の早さに不満と不審を募らせていた。故に簡単には許せないでいたのである
「ギュンター!そんなつれないことを!」
「お前たちが散々私にしてきたこと忘れたわけではあるまいな?」
ギュンターがそう指摘すると、側近らは罰が悪そうに黙りこくった。その様子を見たギュンターは・・・・
「お前たちが本当に私に忠節を誓うのなら今までの事を詫びろ。そうだ、土下座しろ。そしてこう言え、【二度と裏切りません、ギュンター様、私たちは貴方の永遠の下僕です】と言え。」
「ぐっ!」
「聞こえなかっのか?」
ギュンターがそう迫ると、側近たちは嫌々ながらも土下座をした
「「「「「二度と裏切りません、ギュンター様、私たちは貴方の永遠の下僕です。」」」」」
全員、バラバラだがギュンターの言う通りにした
「それで良い。」
ふんぞり返るギュンターと、土下座を強要され側近たちは内心、怒りと屈辱に震えていた。そしてギュンターはふとあることを、思い出した
「そういえばサマノスケを見掛けたと言ったな?」
「は、はい。」
島左近が治める領地に入っていた3人の側近がサマノスケを見掛けた事をギュンターに報告した。最初は気にも止めなかったが、今は違う、奴がコマイラを匿っている可能性があると確信した
「もしかしたらサマノスケがコマイラを匿っている可能性が可能性がある。」
側近たちは「また妄想か」と心の中で突っ込みをいれたが、誰も指摘せずに黙って聞いていた
「よし我等はこれよりサマノスケに会いにいくぞ。」
「流石に不味いのでは。サマノスケは優れた剣の使い手ですよ。それにギュンター様は指名手配の身では・・・・」
「貴様、先程、私に下僕になると言うたではないか?」
たまらず1人の側近が反論したが、ギュンターは無視し、忠節を誓ったことを持ち出すと側近は何も言えなかった
「よし、我等はこれよりサマノスケに会いに行くぞ。ものども私に続け。」
「(いや、流石に死にに行くようなものですよ。)」
側近たちは警戒が厳重な島左近の治める領地に行くのは自殺行為だと心の中で突っ込みつつも、結局は共に行く羽目になった
「(ギュンターだけ見捨てて逃げた方がいいかもな。)」
島左近清興だ、先程【お庭方】が帰還し報告を受けていた。サスケの報告によると、ギュンターらは仲間割れが勃発しており、実に醜い争いだったという。どうやら連日、ギュンターらが騒いでいるのが我慢できずに警備隊に通報したらしい。警備隊が突入した時にはギュンターは既に宿から脱出しており、捕縛されたのはギュンターの側近が5名だったという。捕縛した側近5名は観念して舌を噛みちぎって死んだという
「仲間割れが原因で側近の5名が警備隊のお縄についたが自害し、肝心のギュンター・フェスティバルは以前逃走の身か。」
「はっ!」
「今のあやつらは手負いの猪も同然だ。追い詰められれば何をするか分からぬ。」
ワシは今後のギュンターらの動向が気になる、王都から脱出した事で行方知れずとなった。今回の事件はギュンターらの自業自得の面もあるが、これを機に益々、結束を深める結果にもなるかもしれん・・・・
「左近様、もし奴らがここに現れたら、如何いたしますか?」
「愚問だ。」
「畏まりました。」
「与一、サマノスケを呼んでくれ。」
「はっ!」
与一に命じてサマノスケを連れていくよう命じた。待つ事30分、与一はサマノスケを連れて来た。サマノスケはワシが呼ばれた理由を事前に聞いており、何をすれば良いかを早速聞いてきた
「話はヨイチ殿より聞きました。私はこれからどうしたら?」
「うむ、お主には一旦、【ガルバ町】に行ってもらえないだろうか。」
「【ガルバ町】へ?」
「そうだ、念のためだ。恐らくだが奴らは再びここへ現れるとワシは読んでいる。主がコマイラを匿っているのではないかとな。場合によっては主を拉致する可能性がある、そこで主はワシの許しが得るまで、ワシの領土に一歩も足を踏み入れることは禁じる。」
それを聞いたサマノスケは唾を飲んだ。左近の口から自分を拉致するという言葉に背筋がぞくっときた。サマノスケの心情を知ってか、左近は次の言葉を話した
「さてサマノスケ殿、畑の事に任せよ、生活費の事も心配するな、ワシが持つ。決して悪いようにはせぬ。」
「それは助かります・・・・」
その後、サマノスケは【ガルバ町】に一時、隔離生活を送ることになった。ワシはサマノスケと共に久しぶりに【ガルバ町】に入る事になった。すると門番がワシを見かけると・・・・
「あっ!これはサコン準男爵様、此度は何用で?」
「うむ、所用があって参ったのだ。」
「そうですか、どうぞ中へ。」
ワシは久しぶりに【ガルバ町】に入った。【ガルバ町】は変わらず活気にあふれていた。ワシとサマノスケは隔離場所へと向かう途中、ユカリとバッタリ会った
「サコン殿!それにサマノスケ!」
「おお、ユカリ殿。」
「久しぶりだな。」
「なぜ二人がここへ!」
「ユカリ殿、今は暇か?」
「え、ええ。」
「それじゃあ、場所を変えようか。」
ユカリはワシとサマノスケがなぜここにいるのか、分からず戸惑っていた。とりあえずワシはユカリを連れて、隔離場所へと連れていくことにした。そこはワシと与一がかつて拠点として使っていた宿であり、ユカリも生活の拠点にしている。ワシが宿へ入ると、宿の主人であるレイクが驚いた顔でワシを迎えた
「これはサコン準男爵様!」
「久しぶりだな、すまぬが部屋を借りたいのだが。」
「は、はい!」
レイクが鍵を渡した後、部屋へ案内された。そうワシと与一がかつて使っていた部屋である。レイクが鍵を明けて入ると、昔と変わらない光景にワシは懐かしさを感じた。変わった事といえば、シャワーと風呂が整備された事である。レイクは「ごゆっくり」と言った後、部屋を退出した。そしてワシはユカリに事の詳細を話すことにした
「ユカリ殿、ワケあってサマノスケを【ガルバ町】の一時住まわせる事にした。」
「それはどういう・・・・」
「こやつの昔の仲間が尋ねてくるかもしれん。」
それを聞いたユカリはサマノスケの方を向いた。サマノスケは頷くと、ユカリはそれ以上、何も言わなかった。昔の仲間、つまり【ガルバトロズ】の一味が元仲間であるサマノスケを尋ねにくる時点でよからぬ事に巻き込まれていると察知したのである
「サマノスケ、お前はこれからどうするんだ。特に生活の事だが・・・・」
「生活費はワシが工面してある。サマノスケ殿には守って貰いたいことがある。」
「何でしょうか?」
「部屋から一歩も外出しない事だ、ここにはシャワーと風呂が整備されているしな。」
「サコン殿、買い出しはどうするんだ、サマノスケをずっと缶詰にしておくわけにもいかないだろう。」
そこへユカリが待ったをかけた。一歩も外へ出れない以上、買い出しが出来なくなる。その時はどうするのか聞いてきた
「ああ、すまんがユカリ殿に頼みがある、主が代わりに買い出しをしてくれないだろうか。」
「私に?」
「ああ、勿論、無理強いはせぬ、ワシとしてはサマノスケと気心が知れているそなたなら適任だと思ったんだがな。」
「そうですか、分かりました。買い出しは私に任せてください。」
「すまんな、ユカリ。」
「気にするな。」
ユカリはワシらに協力してくれたおかげで、サマノスケが奴らに見つかる確率が減った。だが油断は禁物、もしサマノスケがいない事を知ったギュンター等がここに来る可能性がある、ワシは念のために釘を刺すことにした
「サマノスケ殿、分かっておるだろうが、くれぐれも軽率な事はするなよ、そうすればユカリ殿だけではなく、この町の住民にも迷惑がかかるからな。事が決着するまでここでじっとしていろ、生きていたければな。」
「はい。」
そこからサマノスケの一時、隔離生活が始まった。金はユカリに渡し、そこで買い出しを出せ、サマノスケに渡すようにした。ユカリは今日も買い出しをしていたところ、ユカリに近付く3人組のチンピラが近づき取り囲んだ
「よお、姉ちゃん、一緒にあそば・・・・」
「邪魔だ。」
「ぶべら!」
「なっ!てめ・・・・ぐは!」
「やろ・・・・・ヒイ!」
ユカリは2人のチンピラを当身を食らわせ、もう1人のチンピラがユカリを襲おうとしたが瞬時に刀を抜き、チンピラの首筋にあてた
「辞めろ、お前の腕だと何度も死んでおるわ。」
「おお、ユカリ、どうした?」
そこへ娼館【イザナミ】に勤務する用心棒仲間が駆け付け、ユカリが理由を話すと用心棒仲間はチンピラ3人を連れていったのである
「やれやれ、無駄な時間を過ごしたな。」
一方、サマノスケはしっかりと島左近の忠告を聞き、部屋から一歩も出ずにじっとしていた。サマノスケにとって唯一の楽しみは食事とユカリとの会話である。サマノスケは久しぶりのユカリとの会話に花開きつつ、ある決心をした
「ユカリ、すまないな、また迷惑をかけて・・・・」
「ふっ、心配するな。」
「こうしていると昔を思い出すな。」
「・・・・ああ。」
「なあ、ユカリ、俺たちやり直さないか?許嫁だったころに・・・・」
「え。」
「ユカリ、お前の事が好きだ!」
サマノスケの告白にユカリは言葉が出なかった。サマノスケは早まった事をしたと後悔し詫びた
「すまないな急に・・・・」
「いや・・・・私でいいのか?」
「・・・・勿論だ!」
「ふっ、どうせなら早く言ってほしかった。」
「ああ、すまん。」
その後、サマノスケとユカリは一緒に部屋に泊まり、そのまま一緒に過ごしたのだった
「ばか、優しくしろ。」
「す、すまん。」




