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102話:女大公

島左近清興だ、ギュンターの側近3人組が去ってから一週間が経ち、何事もなく平穏であった。王都にいるギュンターにこれといった動きがなく、不気味なほど静かだ。奴等がこのまま諦めるとは思えん・・・・


「あれ以来、動きがないのも返って不気味だな。」


「【お庭方】を派遣いたしますか?」


「そうだな、ただし深入りはするな。」


「はっ!」


ワシらは【お庭方】を派遣し、王都にいるギュンター等の動きを探らせることにした。ギュンター等の事は【お庭方】に任せてワシは桜の名所計画を推し進めた


「で、桜の方はどうだ?」


「はっ!少しずつですが成長しております。」


与一いわく、【四季桜】に精通している者たちによって少しずつだが順調に成長しているとの事、やはり通常の桜と違って成長速度が早い・・・・


「400本もの桜が開花すれば、さぞ見物であろうな。」


「左様ですな。」


ワシらは【四季桜】が【コマキ丘陵】に咲き乱れる姿を想像しつつ、それまで待たねばなるまい。するとそこへ扉が突然開いた。中に入ってきたのは1人の使用人、手には文箱らしき物、何やら慌てた様子だったため尋ねた


「騒々しいぞ。」


「も、申し訳ございません!ですが火急の用にてどうしても!」


「火急の用というのは、その文箱か?」


「はい、シュバルツ王国の家紋が入っております!」


それを聞いたワシはすぐにその文箱を寄越すよう命を下した。そばにいた与一は使用人から文箱を受け取り、ワシの下へ届けた。拝見すると確かにシュバルツ王国の家紋が入っている。ワシは使用人に「御苦労」と申した後、下がらせた


「とりあえず開けてみるか。」


ワシは文箱を開けると、封をした1通の書状が入っていた。差出人を見ると・・・・


「ユリヤ・シュバルツ・・・・」


「王族にございますな。」


「女大公がなぜ?」


ユリヤ・シュバルツとは国王ロバート・シュバルツの親族(従兄弟)であり、女ながら大公家の当主を努めるほどの女傑である。その御方がワシに書状とは・・・・


「とりあえず見てみるか。」


ワシは封を切り、書状を広げると、書状を拝読した






【サコン・シマ準男爵へ】

「私はユリヤ・シュバルツ、シュバルツ大公家の当主だ。貴様の事は陛下より聞いている。手紙を差し出したのは貴様が【コマキ丘陵】を桜で埋め尽くすと聞いてな。もし完成した暁には私が直々に拝見しよう。それまで楽しみにしておく。その時は返事を寄越すように。」

【ユリヤ・シュバルツより】





ワシは書状を仕舞うと与一が書状の内容を聞いてきた


「左近様、書状には何と。」


「ふん、完成した桜の名所を直々に拝見するそうだ。」


「何と!」


「まさか女大公が聞き付けるとはな。」






その頃、王宮では二人の男女が執務室にいた。1人はこの国の国王であるロバート・シュバルツ、もう1人はシュバルツ大公家の当主であるユリヤ・シュバルツである


「ユリヤよ、サコン・シマに手紙を書いたそうだが?」


ロバートはユリヤを注視した。見た目は立派な男物の服装、金髪で癖のないロングヘアー、色白の肌、キリッとした目つきと鋭い眼光、気品に溢れる美貌、そして身長が175cmあろうかというほどの長身で今は絶賛、独身三十路の王族の1人である


「あら、何か問題でもありますか、陛下?」


「何の目的で近付く?」


「私はただ桜を見たいだけですわ。」


「桜なら他を見ればよいであろう。」


「他は見飽きました。どうせ花見をするなら新しい桜を見たいのが人情じゃなくて、それとも陛下は違うのですか?」


ロバートは内心、イラッとした。こやつは昔から花見が大好きで、先回りをして自分よりも先に席を確保するところがある


「まだ完成しておらぬ、まさか完成していない物を見るつもりか?」


「陛下、完成もしてもいない物を見ることなど出来ますか?私は予約をしただけです。時間と手間がかかる行幸と違い、私は時間も手間もかかりませんからね。」


「・・・・そうか。」


こやつには何を言っても無駄と感じた。ユリヤが女性でありながら大公家の当主を努めるほどの優秀である。優秀であるが故に厄介この上なかった。というかさりげなく馬鹿にされたような気がしたが・・・・


「もう用事は済みましたか?私はこれにて失礼致します。」


そういうとロバートの許可を取らずにそのまま退出した。それを黙って見送るロバートは深く溜め息をついた


「はぁ~、昔は可愛げがあったのに・・・・だから結婚できねえんだよ。」


ユリヤ・シュバルツは自分の屋敷に戻った後、メイドたちに茶の用意をするよう命じた。メイドたちはすぐに動き出し、慣れた手付きで茶を用意した。ユリヤは席に座り、ゆったりとティータイムを楽しんだ


「ソロモン。」


「はっ、殿下。」


年配の執事長がすすっと前に出た


「手紙はちゃんと届いたであろうな。」


「はい先程、早馬が到着しました。」


「うむ、完成するのが楽しみだな。」






一方、王都に派遣されたサスケを始めとした【お庭方】はついにギュンター等のいる宿に辿り着いた


「あの宿だな。」


「はい。」


「よし散らばれ。」


サスケが命じると、散らばりギュンターの泊まっている宿に侵入した。主の島左近から「深入りはするな」と命を受けていた。命令に忠実に従いつつ、気付かれない程度に部屋にいるギュンター等の動向を探った。サスケは屋根裏に侵入し、ギュンターのいる部屋に辿り着いた。するとギュンター等の会話が聞こえた


「それで次はどんすんだ!」


「考え中だ。」


「てめえの下らない戯れ言に付き合うほど暇じゃねえんだ!」


「くっ!」


どうやら仲間割れの最中のようだ。どうやらもくてきのコマイラが見つからなくて唐丹くれているようだな


「おい、本当にこの国にいるんだろうな。」


「それは・・・・」


「信じない方がいいぜ。くまなく探したけど見つからなかったんだからよ!」


「誰が匿って・・・・」


「まだそんな寝言ほざいてんのか、好き好んで指名手配されてる奴を匿う馬鹿がどこにいる!」


側近たちから罵倒され、イライラが募るギュンター、自分の考えが理解できない無能な連中に言っても無駄と感じたのだ


「私には闇のルートがある。それを使い、コマイラを必ずや見つける!」


「結局は他力本願じゃねえか。」


「じゃあ聞くがお前たちは何か案があるのか。」


ギュンターが逆に質問をすると先程までの威勢が嘘のように無くなり黙りこくった。屋根裏で聞いていたサスケは内心、呆れ返った。【ガルバトロズ】の幹部を務めた男とそれに従った忠実な側近たちであっても、追い詰められれば、こうもあっさりと烏合の衆に成り下がるとは。主の島左近と違って月とすっぽんほどの違いだ・・・・


「何もないなら私に意見をするな!」


「空回りする貴様に言われたくないわ!」


ギュンターの反論に切れた側近たちは言い争いを始めた。サスケはこの醜い争いを黙ってみていると、外にいる仲間が屋根裏に現れ、読唇術で会話を始めた。


「(すぐに撤退だ。)」


「(どうした?)」


「(警備隊がこの宿に来てる。)」


それを聞いたサスケは、原因が理解できた。恐らくこいつらが言い争いをしているのを宿の主人辺りが通報したのだろう。もはや長居は無用と感じ、サスケらは撤退をした。その頃、部屋で言い争いをしていたギュンター等だが、下か外が騒がしい事に1人の側近が気付いた


「おい、何か外が騒がしいぞ。」


それを聞いたギュンターが窓側からちらっと覗くと警備隊が宿に集結していた


「不味いぞ!警備隊だ!」


警備隊という言葉に側近らは慌て始めた。するとギュンターは警備隊が全員、宿から入っていたのを確認すると、すぐさま窓を開けて脱出しようとした


「ど、どこへ行くんだ!」


「私は逃げさせてもらう、こんなところにいても捕まるだけだ。」


「おい、待ってくれ!」


ギュンターが窓から出て、宿屋を脱出した。ギュンターに続いて側近らも宿屋を脱出しようとすると、そこへ警備隊が扉を蹴破り入ってきた


「御用改めである、神妙にしろ!」


「不味い、逃げろ!」


その後、警備隊によって側近5名、お縄についたが5名は舌を噛んで死亡した。ギュンターと側近11名は逃げ仰せたのである


「くそ、絶対に逃げ出して見せるからな!」


ギュンターは側近らと共に人気のない場所へと避難するのであった





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