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100話:サリーナ

王都に到着したギュンター等は宿へ宿泊し、コマイラが潜伏している町を探索していた


「地図を広げよ。」


「はっ!」


側近等がシュバルツ王国内の地図を広げた。ギュンターは地図を一覧した後、目星がつけた町にペンで丸を書いた。その中には島左近が治める【サコン町】も含まれていた


「よし、丸をつけた所を調べるぞ。」


「はっ、しかし。」


「何だ。」


「この【サコン町】を調べるのは止した方がいいのでは?」


「【ガルバトロズ】への警戒が厳しいからか?」


「はい、この町は治安が良いことで評判が良いですがその分、警戒が厳重で、特に【ガルバトロズ】への警戒が並々ならぬほどと噂されるほどです。」


「虎穴に入らずんば虎子を得ずという諺がある。危険を承知でやらなければなるまい。」


「それでまずはどこを・・・・」


「まずはここだ。」


ギュンター等は丸をつけた町を一つ一つ探索していくことにした。ギュンターは闇のルートを通じて得た金を活動資金とし、コマイラの探索・宿の宿泊・食糧の確保・役人への賄賂・そして逃亡資金などに使った


「それでどうだ、見つかったか。」


「いいえ、おりませぬ。」


「ん、ここもダメか。」


丸を付けた町を一つ一つ、×をつけていく。そして次の町へ照準を定めた


「次は【サコン町】だ。」


「とうとう、ここですか。」


ギュンターらはついに島左近の治める【サコン町】に狙いを定めた。一同の背筋が嫌でもピシッとなった。島左近は名うての【ガルバトロズ】嫌いとして噂になるほど、【ガルバトロズ】に対して徹底的に追い詰めるほどの警戒の厳重さで有名であり、側近たちは二の足を踏み始めた


「誰か行くものはいるか?」


側近たちは互いに顔を見合わせつつも無言を貫いた。その態度が気に入らなかったのかギュンターは無理矢理指名した。選ばれた3人の側近らは溜め息をつき、【サコン町】へと向かうのであった


「あの3人は大丈夫なのでしょうか?」


「心配なら着いていくか?」


「いいえ!」


「ふん。」


その頃、3人の側近らは馬車に乗り【サコン町】へ向かう道中、ギュンターへの不満を募らせていた


「俺たちギュンターに着いていって失敗したんじゃないか。」


「じゃあ、どうすんだ。このまま警備隊に捕まるか、追手に殺されもいいってのか!」


「そうは言ってないだろうが!」


「おいおい、喧嘩すんじゃねえよ。」


馬車の中で喧嘩する2人とそれを宥める1人、先行きが不安からか情緒不安定に陥っていた。それでも命令を無視するわけにもいかず、そのまま島左近の治める領地へと向かうのであった





島左近清興だ、あれから数ヵ月が経ち、【コマキ丘陵】の工事は順調に進み、【四季桜】の苗木を約400本を植樹をした。【四季桜】に精通している者たち任せることにした。ワシは執務室にて与一から工事の経過を聞いていた


「公園の方はどうだ。」


「はっ、多くの人足が工事をしてくれたおかげで順調に進んでおります。」


「それは重畳だ。」


公園の方も桜の植樹と共に園路及び広場、屋根付広場、休憩所、厠、ゴミ箱、売店所等を整備している途中である。完全に桜の名所になるまで時がかかる、【四季桜】は植樹したばかりで、通常の桜よりもはるかに成長速度が速いが、それでも時がかかる


「さて、次は・・・・」


ワシは次の段階に移ろうとすると突然、扉が開いた。入ってきたのはウルザである


「何事だ、ウルザ?」


「主様!奥様の陣痛が始まりました!」


「何!それは誠か!」


「はい!」


「すぐに産婆を呼ぶのだ!」


ワシは執務室を出て、アリーナの下へ向かうと、落ち着いた様子でお腹を抑えているアリーナを見かけた


「アリーナ、大事ないか!」


「は、はい。今のところは落ち着いています。」


「そうか。先程、産婆を呼びに行かせた。今しばらく待て。」


「はい。」


ワシはアリーナをおぶさり、寝室へと向かった。アリーナをベッドに寝かせ、安静にさせた


「アリーナ、気分はどうだ?」


「はい、今のところは落ち着いてます。」


「そうか、だが無理はするなよ。」


「はい、ありがとうございます。」


ワシは産婆が来るまでアリーナのそばを離れずにいた。するとまた陣痛が始まった


「う、ううう。」


「アリーナ!しっかりいたせ、ほら、ラマーズ法だ、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。」


「ひ、ひ、ふぅ~・・・・」


ワシはこの世界に伝わる出産の時の呼吸法であるラマーズ法をアリーナと共に行った?するとそこへ与一が産婆を連れてきた


「左近様、連れて参りました。」


「おお、着れくれたか。」


「その様子じゃと、生まれそうじゃな。後はワシに任せよ。」


「よろしくお願い致す。」


ワシらは産婆に任せて、寝室を出ていき、客間にいた。ワシはアルグレンと一緒に待機していた


「アルグレン、お前の弟か妹に会えるぞ。」


「いもうと!」


「妹に会いたいのか。」


「うん。」


「母上の無事と妹が産まれるのを神仏に祈ろう。」


「うん。」


アルグレンの時も同じだが、出産は命懸けである。母子共に死亡する例もある。ワシはアルグレンを抱きしめ、神仏に祈った。それから時が経つと・・・・


「オギャア!オギャア!」


赤ん坊の産声が聞こえた。ワシはアルグレンを抱いたまま立ち上がると、そこへ与一が現れた


「左近様、奥様は無事、姫様を御出産いたしました!」


「そうか、姫か!アルグレン、お前の妹だぞ!」


「いもうと!」


ワシはアリーナのいる寝室へと向かった。産婆から母子共に無事だと聞かされ、ワシはいても経ってもいられずにいたのだ。ワシは扉をノックすると扉が開いた。中から出てきたのはウルザだった


「あ、主様。」


「中へ入れるか?」


「はい、どうぞ。」


ワシらは早速、入るとそこにはベッドで休んでいるアリーナと横でぐっすりと眠っている我が子がいた


「アリーナ、大事ないか?」


「ええ。」


「アルグレン、お前の妹だぞ。」


「いもうと!」


「この子の名前は何にしようか。」


「旦那様、サリーナは如何でしょう?」


「サリーナか、良き名だ、アルグレン、妹の名前はサリーナに決定だ。」


「いもうと!」


第2子(女)の名前は【サリーナ・シマ】に決まった。多忙の中、ワシは幸せを噛み締めていたのであった。それから数日が経つと、我が屋敷に出産祝いの品が山のように届いた。それをせっせと運ぶ使用人たちを見ていた


「分かってはいたが、多いな。」


改めて祝いの品の多さに思わず苦笑いをしてしまう。はあ~、また返答をせねばならなくなると、手首が痛くなる・・・・


「左近様、また返答を書かねばなりませぬな。」


「いうな。」


ワシは執務室に戻り、再び返答の書状を書き続けている一方、ギュンターの放った3人の側近らは、島左近の治める領地に到着した


「とうとう着いたな。」


「ああ。」


側近らは例の通行手形を持ち、関所をいつも通りに通過しようとしたが警備隊に止められた


「大変申し訳ありませんが、取り調べを行います。」


「何を仰せだ、我等は通行手形があるのですぞ。」


「通行手形であっても、取り調べはせねばなりません、何卒ご容赦のほど。」


側近らは改めて警備の厳重さに言葉を失った。幸いなのは、それほど荷物は持っておらず手配書も作成されていなかったので、3人は無事に中に入ることができた


「とりあえず入ることができたな。」


「ああ。」


3人は馬車を走らせながら田園風景を眺めていると、側近の一人がある男を目にした


「ん!」


「どうした?」


「いや、あれサマノスケじゃないのか?」


「えっ!」


馬車を止めて、馬車戸から遠目から眺めると畑を耕しているサマノスケを見つけた


「あやつ何故、ここで畑なんか・・・・」


「【ガルバトロズ】を辞めてから何をしているのかと思えば、ここで生活をしていたのか。」


「不味いぞ、ここで鉢合わせになったら、間違いなくばれる!」


「そうだな。」


側近らは急ぎ馬車を走らせた。畑を耕しているサマノスケは自分に向けられる視線に気付き、ちらっと馬車を見た


「あれだな。」


馬車が出発したのを確認し、サマノスケは畑仕事を切り辞めて、すぐに島左近の屋敷へ出向く準備をし、向かうのであった


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