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99話:四季桜

島左近清興だ、ワシは褒美として賜った登山以外、何の価値もない【コマキ丘陵】に桜の植樹と、公園の整備し、桜の名所にしようと計画している。まず桜だが、商人たちが、あらゆるコネを使って手に入れた桜【四季桜】の苗木だが、通常の桜『通常の桜1本「2000エン(日本円で2000円)」』の苗木と違うところがある。【四季桜】は成長速度が通常の桜よりもはるかに早く、長持ちし、四季に適した様々な種類の桜を咲かせるのである。改めてこの異世界は何でもありだと、痛感したのである。ワシの屋敷にて商人たちが400本の【四季桜】の苗木を購入した事を報告した


「サコン様、400本の【四季桜】の苗木は用意できました。ただその分、金がかかりましたが・・・・」


「それは御苦労。後で代金を支払おう。」


「ありがとうございます。」


【四季桜】の苗木は1本で銀貨3枚「3000エン(日本円で3000円)」、400本ともなると「120万エン(日本円で120万円)」と高額である、頭の痛い事だ。桜の名所にするにも金がかかるのは分かってはいたが、予想に反して出費が大きい。なぜかって出稼ぎ目的で人足たちが集まりすぎているのだ。公園の整備を募集したところ、予想以上に人が集まった。公園の整備は順調に進むがその分、金もかかった。幸いにも特産品の莫大な収益やシュバルツ&ジュリアス両国から金貨6000枚を賜った事や視察騒動で王国側が費用を全て弁償した事が良かったのか、赤字にならずにすんだのである


「工事は進んでいるようだな。」


ワシは【お庭方】と共に【コマキ丘陵】の工事現場を視察していた。多くの人足が作業をしている。問題を起こす人足には強制的に止めさせ、給金もなしにしている。そのためか人足たちは争いがなく、順調に工事が進んだ。また【お庭方】や追跡動物を使い、不逞の輩を監視している。ワシは馬に乗り一旦、屋敷へ帰る道中でサスケがワシの下へ駆け付けた


「旦那様!」


「サスケ、如何した?」


「はぁ、はぁ、旦那様、ルナ殿が参られました。」


「何?」


ワシらはサスケと共に屋敷へ戻ると馬車が到着していた。ワシは屋敷へ入ると、与一とアリーナが出迎え、ルナは客間に案内させたらしい。ワシはすぐに着替えを済ませ、客間へ向かった


「ルナ殿、お待たせして申し訳ない!」


ワシはすぐさま、頭を下げ遅れた事を詫びた


「お気になされないでください、サコン殿。私も先程、来たばかりですので。」


「痛み入ります。」


ワシは長椅子ソファーに座り、ルナに用件を聞こうとしたら、向こうからワシに質問をしてきた


「サコン殿、随分と面白い事をなさいますね。」


「面白き事にござるか?」


「桜ですよ。褒美として賜った【コマキ丘陵】に桜を植樹と公園を整備していると王都でもっぱらの評判ですよ。当然、陛下の耳に入っております。」


ワシとしては意外だった。まさか国王が一介の地主の行っている事に目を向けるとは思わなかった


「左様か。して御用の趣は?」


「はい、【コマキ丘陵】の工事がどれほど進んでいるのか視察をしに参りました。」


どうやらルナがやってきたのは王命にて【コマキ丘陵】の工事現場の視察に来たようだ。まぁ、別に見せて困るようなものはないので、案内することにした


「左様か、分かり申した。某自ら道案内致します。」


「ありがとうございます。」


ワシはルナを連れて馬車に乗り【コマキ丘陵】へ向かった。到着し馬車を降りると、いつも通り、多くの人足たちが汗水流して働いている姿を見たルナは・・・・


「随分と人が集まりましたね。さぞ費用の方も掛かったでしょう。」


「さほどの事はござらん。」


「これだけ人が多いと問題は起きませんでしたか?」


「心配無用、もし問題を起こせば、その場で首にし、給金を出さないようにしておりますので、皆は真面目に職務に励んでおりまする。」


「なるほど、では工事現場を案内していただけますか。」


「承知した。では、こちらへ。」


ワシはルナを案内し工事現場を見せた。ワシは桜を植える場所、公園を整備する場所をルナに見せた


「桜は何を使うのですか?」


「【四季桜】を使う予定でござる。」


「【四季桜】ですか。四季によって咲く桜は、さぞ見物でしょうね。」


「まさに桜の名所に相応しゅうござるな。」


「それで公園の方はどのような目的で作られるのですか?」


「主に自然鑑賞を目的としてござる。そこに売店を設ける他、厠やゴミ箱等を設置したりして、利益と環境を両立させようと考えており申す。」


「なるほど、花見ともなれば多くの人が来ますからね。その分、利益を出せますが同時にゴミを捨てたり、トイレに駆け込む人もいますからね。」


一通り案内し終えた後、ワシら屋敷へ戻った。与一たちは茶と塩味饅頭と用意させた


「御二方、お役目御苦労に存じます。ささ、茶と茶菓子をご用意いたしました。」


「ありがとうございます。」


「うむ、ちょうど喉が乾いていたところだ。」


ワシとルナは塩味饅頭を味わいつつ、茶を飲み一息ついた


「さてサコン殿、一通りは拝見いたしました。」


「して如何でござったか?」


「ええ、私からは特に申し上げる事はございません。サコン殿の才覚にお任せ致します。」


「これは忝ない。」


その後、ルナは馬車に乗り、そのまま王都へと帰還した。ルナを見送ったワシはというと・・・・


「はぁ~、国王も物好きじゃな。」


褒美として賜った【コマキ丘陵】とその周辺の土地をどう扱うのか、やはり気になるのであろうな。でなければ態々ルナを寄越したりはしないだろう。もし桜の名所として生まれ変わったら、どうするだろうと左近は考えた


「まさか行幸するとは思わぬであろうな、はは。」





その頃、王都に帰還したルナ・キサラギはそのまま執務室にいる国王ロバートに報告をした


「ほぉ~、噂は誠であったのか。」


「ははっ!人足の数が多く、予め植樹する場所、公園を作る場所を決め、工事に取り掛かっておりました。」


「そうか、もし出来上がったら、一度見ておこうか。」


「え、それは行幸ということで宜しゅうございますか!」


「そうだ、何もない丘陵地が桜の名所に生まれ変わるのだ。一度は見ておきたい。」


「ははっ!」


まさか国王の口から行幸すると仰った。これは大変な事になった。ルナは内心、島左近に同情した


「(サコン殿、厄介な事になりましたね。)」


執務室を退出したルナが自分の仕事場へ向かう途中、第2王子であるロミオに会うと、ルナは臣下の礼を取ると・・・・


「ルナ、サコン・シマが【コマキ丘陵】を桜の名所にしようとしたのは本当か?」


やはり聞いていたのかと内心、そう思いつつ、率直に答えることにした


「ははっ!誠にございます。」


「それで父上は何と?」


「特に何も。」


本当は行幸を計画しているのだが、今は言わないでおこう


「ふぅ~ん、もし出来たら一度は行ってみたいな。」


「畏れながら殿下、例の視察の事、お忘れにございますか。」


それを聞いたロミオは罰が悪そうな顔をして黙りこくった。ロミオの耳にも自分を廃嫡し従兄弟を世継ぎにする声が届いたので、迂闊には行動できないのである。それに自分が原因てルナを過労死寸前まで働かせた事に罪悪感もあったので強くは出れなかった


「分かったよ、大人しくしてるよ。」


「畏れ入ります。」


ロミオはそのまま父のいる執務室へと向かった。やはり気になるのであろう。父の許可を取った後、執務室に入室した


「父上、突然お尋ねして申し訳ありません。」


「うむ、何用だ?」


「はっ、サコン・シマが【コマキ丘陵】を桜の名所にすると噂を聞いたのですが・・・・」


「それがどうした?」


「ルナを遣わした真意をお聞かせください。」


真意を聞かれたロバートはペンを置き、ロミオの方を向いた


「強いて言うなら、好奇心だ。」


「好奇心?」


「そうだ、奴が何もない丘陵地をどのようにするのか気になった、ただそれだけの事だ。」


「では父上は何故、彼の者にその地を与えられたのですか?」


それを聞いたロミオにロバートは叱りつけた


「いちいち人に聞くな、自分で考えろ。人それぞれ考えがある、その事を親切に教えるとは限らぬのだぞ!」


「も、申し訳ありませぬ。」


例の手紙の事を教えれば、ロミオは島左近に恩を感じ、貴族へ昇進させようとする。だが島左近の性格を考えれば余計なお世話と感じるに違いない。お互いつかず離れずの関係のままの方が互いに気が楽なのだから・・・・


「ロミオよ、そちはいずれは国王となる身だ、その事を踏まえた上で慎重にかつ大胆にするのだ。」


「は、はい父上。」


「はあ~、下がってよい。」


ロバートはロミオの行く末を心配しつつ、再びペンを走らせるのであった








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