1日後
やっぱりね。
自由になんかなれなかった。
また朝から前日の繰り返し。
ハルキは無機質な部屋に押し込まれ、強面の男に凄まれる。
「いい加減、白状したらどうだ」
苛立つ男が前に体を乗り出しながらそう言ってくる。圧が凄い。だからといって、身に覚えがないことを口に出すことはできない。
ハルキは思わずため息をついてしまった。
ドンっ。
男が机を拳で叩いた。
思わず目を見開いて男を見たら顔が真っ赤になっていた。
そりゃ、痛いよね、と思ったが、どうやらそういうことではなかったようだ。
「いい加減にしろよ」
怒気を孕んだ声に、ハルキは思わず身震いした。
そう言いたいのはこっちなんだけど、という思いは口には出せなかった。
※※※※※
そうしてまた夜遅くになってようやくハルキは解放された。
とはいっても、家に帰れたわけではもちろん、ない。
再び鉄格子の中だ。
「はぁ…」
思わずため息が出るが、どうしようもない。
「何度聴かれたって、おんなじなんだけどなぁ…」
知らないものは知らない。やってないものはやってない。
それなのに、全くあいつらは聞く耳をもってなさそうだった。
もしかして、僕が、やりました、と言うまで続くんだろうか。
ハルキは想像してブルっと身を震わせた。
そういえば、解放される前に「また明日もやるからな」と言われたんだっけ。
意味ないと思うんだけどねぇ。
あまり考えてもどうしようもない。
ハルキは横になり、目を閉じた。
※※※※※
「ねぇ、コレ、助ける必要あんの?」
スヤスヤと寝息をたてて気持ちよさそうに寝るハルキを見ながら、男は呆れたようにそう言った。
「そう言わずに、お願いしますよ」
どこからか困ったような声が聴こえるが、2人の他に姿は、ない。
「まぁ、いいけどさぁ」
男はそう言うと、ハルキをヒョイ、と肩に担いだ。
「相変わらず、軽いなぁ」
そう呟きながら、鉄格子の扉を通り抜けた。