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A Certain Story とあるお話  作者: 設樂理沙
10/28

’ 未来 ’6

あまり計画もせず、ほとんど突発的にバタバタと息子の手を引いて家を出たわたし。


実家に息子を預けると、わたしはほんとうに一人になった。



お金をほとんど持ってなかったのでレストランに就職が決まり落ち着くまでの

数日間・・・が、ほんとに行き場がなくて、死んでしまおうかと思うほどつらかった。


この話と現在の’パパ=パトロン’がいる・・という話をしたとき、野口さんは

その瞳を見開いて、大きく反応した。


決して恋人とも呼べない相手。

けれど今のわたしには必要な人。


寂しさというぽっかりと開いた穴を埋める為に、そして生きる為に。


本当に埋められなくてもいい、埋まっていると錯覚させてくれるそんなものでも

今のわたしには必要なのだ。


そしてそれが、本物ではないがゆえ、この関係に未来などないことは

分かっているけれど。


これから先、心から想える男性ひとに出会えるだろうか?!

いやっ、こんな青いこと・・と、もはや何も期待などしていない自分がいる。


「また、連絡してね・・」


とメモを渡して別れた野口さんのことを想った。



不満を抱えたまま、自分の気持ちに少し目を瞑って、ひとまず現状維持を

保っていくであろうその人のことを。


堅実に生きつつも、まだまだその瞳に希望という輝きをその瞳に宿らせているのを

私は見逃さなかった。 


わたしのように何もかも無くしていないその人にとって、未来はどんなふうに

映っているのだろう。


願うことさえ忘れてしまった私とその人の未来が交差することは

もうないだろうけれど。


わたしはあの明るい瞳を忘れない。



Fin


それぞれの人たちに幸あれ。

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