TSの見どころ
「TSものってどこがいいの?」
「なんで人々はこういうのが好きなのか?」
「こんなものから何を求めるの?」
これについてここで説明しておきたいです。
ここに書いてある内容は、色んなTS作品の読者たちの感想や作者たちの行動や関連のエッセイを読んでわかってきたことです。
なので個人的というより、今まで見てきた周りのTS好きな人の見解のまとめとなります。ただし私自身の見解も恐らく少し混ざりかねないでしょう。
1. ཁ 突然の変化で戸惑うところ
TS展開は多くの場合、前触れもなく突然発生してしまう変化から始まるものである。
いきなり性別が変わって、まだ事情をよく把握できなくてバタバタ狼狽えるTSキャラが描写されるところが肝心でしょう。
よくあるのは「あさおん」というシーン、つまりある日朝起きたらなぜか体が女の子になっている。または何か薬や毒を飲んだり、魔法や呪いをかけられたり、異世界転移の副作用を受けたりして……。
その直後TSキャラは自分の体を調べて異変を感じ始める。
「声はなんで高くて綺麗なの?」
「なんかここにあるはずのない膨らみは!?」
「アレがない! どこでなくしてしまった!?」
「手や腕はこんなに小さくて細いの?」
「肌はいつもりより白くて艶やかで柔らかい?」
「いつから髪がこんなに伸びたの?」
「周りは大きく見える? いや、自分がちっちゃくなった!?」
「服はダボダボ! サイズぴったりだったはずなのに」
このような台詞から始まる物語が多いでしょう。
その後他の人に見かけられて、「君は誰」とか聞いて尋問し始めて、必死に自分のことを説明するところも肝心なところ。
ここで約束展開やテンプレっぽいものも多いが、作者の特殊な趣味や文章力によって大きく変わるでしょう。
場合によって事情を完全に把握できるまで随分時間がかかってどんどん少しずつ丁寧に描写される作品も少なくない。
よく序盤に出るシーンなので、こういう場面を丹念に書く作者が多いはず。
こんなことはもしリアルで起こってしまったらこれはあまり冗談できないことかもしれないけど、小説ではこの場面をコメディーにして、可愛くて笑えるように描写されることは多い。
2. ཁ まだ慣れない体で頑張っていくところ
男と女の体は色々違うので、いきなり性別が変わってしまったら生活は一変するでしょう。今まで経験したことないが多いはず。変わった体の扱いさえ躊躇ってしまう。
「自分の体だけど、ここは勝手に見たり触ったりしていいの?」
「この体でどうやって用を足すの?」
「トイレ間違えちゃった!」
「このままお風呂に入っていいの?」
「ここを洗うには勇気と覚悟が……」
「長い髪は面倒!」
「体弱い! 力が入らない!」
こんな感じで、色々大変だろうね。こんな変化による大変さの描写もTSものの見どころである。
コメディーなら不器用なTSキャラを見てニコニコするのは肝心だけど、色々大変ながらも頑張っていくTSキャラの姿を見守って関心を持っていくのも重要な見どころでしょう。
3. ཁ 周りからの違う扱いを受けるところ
いきなり性別が変わってしまったら困るのは本人だけでなく、周りの人もそうであるはず。TSキャラを見て楽しんでからかってくるキャラもいるでしょう。特に変態はね。
「変なとこ触るんじゃない! そこは駄目!」
「自分で脱ぐから!」
「あんな服、着るものか!」
「女扱いするな!」
やっぱり大変だよね。自分の体の変化のことだけでも手いっぱいなのに、周りの人にも面と向かわなければならないなんて。でもこれは愛情の表現であることが多い。TSキャラは殆どの場合、美少女/美少年になるのだから。こういうコメディーが好きな人も多いでしょう。
ただし逆に暗い展開になるパターンもある。特に身近の人はTSキャラの変化を認めなくて、どんどん距離を取っていくなど。もしくはTSしたキャラは虐められたり、差別されたり、自分の弱さを感じさせられたりする。こういうシリアスなTSものもある。
知り合い:「お前のことなんて知らない!」
友達: 「気持ち悪い。近づくな!」
母親: 「女の子を生んだ覚えはないわよ!」
父親: 「うちの息子はこんなに可愛いわけがない!」
妹 : 「姉なんて要らない。元のお兄ちゃんを返せ!」
恋人: 「ごめん、女同士はやっぱり無理。さよなら!」
ダーク苦手な人にとってはあまり読みたくないでしょうが、こういうドラマを見たいという人もいるでしょう。むしろこれの方はリアルに近いかもしれない。こういう人にとってこんなドラマも見どころになるでしょう。
4. ཁ TSした友達に接して翻弄されるところ
時々TSキャラ本人ではなく、TSキャラの友達や身近の人の視点から描写するTSものも少なくない。
この場合TSキャラ自身は案外順応力が高くてあまり困った様子を見せなくて、本人より語り手の方が困るというところも多い。TSキャラに振り回されるキャラもいる。
「ちょっと、顔は近いぞ!」
「いきなりここで服を脱ぐな!」
「痴女か、お前は!?」
「乙女はこんなこと口にしてはいけない!」
「そこは見られるぞ! 気をつけろ!」
「こんな可愛い顔をしても、駄目ったら駄目!」
「この馬鹿、もっと自覚しろ!」
こんな感じで、困ったTSキャラが近くにいると色々大変でしょうね。
たとえ大人しいTSキャラの場合でも、親友がいきなり美少女になってつい見惚れて、今までの接し方はできなくて、元の関係に戻れないということもあるでしょう。
それでも困ることばかりではなく、その変化はいい方向に向かうことも多い。特に恋愛が生まれて、結局2人は結び合うという展開とか。
5. ཁ TSしたら嬉しいこともある
性別が変わって大変なこともたくさんあるかもしれないけど、性別が変わったことで大喜びして新しい体で色んなことやり放題っていうTSキャラも少なくない。
例えば、そもそも異性になりたいと思っていたから、実際になれてしまったら嬉しくて今までできないことを体験して、満喫して幸せになっていくというところ。
特に元から乙女っぽい男が女体化する場合や、体の強さを求める女が男体化する場合、あるいはこんな男女2人が入れ替わってしまう場合、これはどっちも最早水を得た魚のようになるでしょう。
「オレはこんなに可愛い! 自分を惚れてしまう!」
「こんな夢可愛い服を着てみたかった!」
「女になったから、もうこんな店に入っても恥ずかしがる必要がない!」
「海に行って、ナンパされてみよう!」
「せっかく美少女になれたから、女優やアイドルを目指そう!」
「このショタっ子は私?」
「力が漲って、邪魔な脂肪ももうなくなったから、存分にスポーツや武道をしよう!」
「やっと毎月面倒なアレから解放される!」
「男になれたから、彼女に告白してみよう!」
「チヤホヤされたい!」
こういうものは読者の欲望を満たすということでもある。誰でもちょっとくらい異性になる自分の姿を想像したことがあるでしょう。またはもし違う性別になったらどんな道を歩むだろう、とか。
ただし注意して欲しいところがある。こういうものが好きな人は別に「性同一性障害」とかではない。「性自認」が異性だとかでもない。確かに今の自分のことを不満を持っているかもしれないが、現実を認めないわけではない。
ただ誰でも時々妄想の世界に入ってみたいという小さな夢を持っているだけでしょう。小説や作物世界でだけならこれは叶えられるから。
ちなみに「同性愛」の人であるわけでもない。ただ「もし私は男だったら貴女をお嫁さんにもらいたい」とか冗談で女友達と言ったことくらいはあるでしょう。別に同性に恋に落ちたというわけでもなく、まだ同性のままだったらその気はないが、もし本当に異性になったらそうするかもしれないよ、とか思ったりする。
または逆に、「今の彼も素敵だけど、もし彼が女の子だったら百合百合してみたい」とか、同性愛的な想像をする人もいるでしょう。
6. ཁ 本来味わうはずない異性の痛みや苦労
異性の体になれて、いいこともあれば大変なことも多いでしょう。前述のようにまだ慣れていない間とか。
その他に、男女が絶対にわかり会えないことというと、やっぱり女性の「生理」や男性の「弱点」のことは代表的でしょう。
男性は「生理」のことくらい聞いたことがあるだろうけど、自分とは無縁だからあまり深く踏み込まないようにするでしょう。だから女性がどれくらい苦労か完全に理解できるはずがない。でもTSしたらそれを味わえて、女の気持ちをわかって女に優しくしていくでしょう。
こういうシーンを見て「いい気味」とか思って気になって笑う人もいるでしょうが、優しく見守っていきたい人もいるでしょう。
その一方、女性だって男性のあそこの「弱点」について聞いたことがあるだろうけど、当たってしまったらどんな痛みなのか、なかなか想像できないよ。ちょっとくらいTSしてこの痛みを味わってみればいいかも?
7. ཁ 異性の気持ちをよくわかる理想的なところ
TSしたから異性(元同性)の気持ちがよく理解できて、どうやって扱えば喜ぶのかわかる。下手なことをしないでしょう。
TS娘になったキャラは、どんどんメス堕ちになっていく場合でも、自分が男だった頃も覚えて、男にとっての理想的な女の子になろうと頑張れるはず。
同時にTS娘は男の本性もわかるはずだから、いつどこで警戒するべきかも把握できて、普通の女の子よりも悪い男に対峙できるかもしれない。
逆に女から男になったキャラは、女の気持ちをよく理解できる理想的な男になれる。女を傷つけることはないでしょう。こういう男が本当にいれば素敵でしょうね。このまま女の子と付き合って精神的百合になって尊いでしょう。
同時に女の本性もわかるから、悪い女にたぶらかされる可能性は低いはず。
時々
「このキャラは無駄なTS設定」
「別に元から女の子でもいいじゃん」
「この子はTS娘である必要があるの?」
「ファッションTSだな」
「受けられたいからわざわざTS要素を入れるね」
とか文句の言葉は耳に入ったことがあるでしょう。
確かにそういう場合も少なくないよね。特に転生ものは、「TS転生」設定はただ転生のおまけみたいなものも多い。TS要素が薄くて別に前世も同じ性別でもいい、と思わせるものも少なくない。
それでも少なくとも「異性のことをよく理解できる」というのはTSキャラの特徴になるでしょう。別に無駄っていうことはないはず。
8. ཁ TSキャラの純粋なところ
性転換したばかりのTSキャラは、新しい性別としての自覚や知識が薄くて、ついおかしな間違いを犯してしまう。これが萌ポイントになることも多い。
TS娘は、普通の女ならするはずないことをあっさりやってしまう。スカートに慣れなくて簡単にパンチラされたり、座る時につい足を広げすぎて可笑しく見えたりする。
自分の魅力に自覚が足りなくて、無意識に逆ハーレム(あるいは百合ハーレム)を作ってしまうTS娘もいる。恐ろしい子。
ダークなTSものなら、これは無茶をしたり、警戒足りなかったりして、酷い目に遭う展開になることもあるでしょう。
女から男になったばかりのTSキャラも、そもそも男について間違った知識ばかり覚えて、常識外れのことをやってしまうというコメディーになることもある。
9. ཁ 精神と肉体の違いによる葛藤の描写
もしいきなり性別が変わってしまったら、身体の性別と精神の性別は違ってしまうので葛藤が起きやすい。これは医学的では「性同一性障害」と呼ばれるものに近い。
しかしTSものの性別にわよる葛藤はリアルの性同一性障害とは違うところが多い。リアルでは本当に性別の突然の変換は起こるはずないから、性同一性障害は自然と生まれつきのもので、多くの場合はそのまま一生変わらない。
でもTSものにおける性同一性の葛藤は、いきなり体が変わって、精神はまだ追いつかないという場合が多い。
今までずっと男だったのに、いきなり体が女になってもすぐ女らしく振る舞うことなんてできるはずがない。
それでも時間が経てば経つほど、新しい生活に慣れていって、ようやく普通の女と同じようになれることもある。これはいわゆる「メス堕ち」という展開。
逆に女から男になったTSキャラは、最初はどうしても女っぽくて笑われるところもあるでしょうが、どんどん慣れて男らしくなっていくでしょう。
ただしその一方、身体だけが変わったのに、精神は全然変わらないというTSものもある。特にVRゲームや変身など可逆TSだったら精神まで変わることはない場合が多いでしょう。
どうせこれはフィクションでしかないことだから、精神と身体の関係性は実際にどうなるか、なんてことは想像するしかできない。
なのでこれは物語の設定によって色々違うでしょう。
10. ཁ どんどん変わって成長していくところ
TSしたばかりのキャラは色んな問題と向き合わなければならない。最初は何もわからなくて子供っぽいところが多いでしょう。
現実を受け入れられなくて否定しようとするキャラも多い。でも人は変わっていくものなので、ようやくずっとこのままではいけないとか考える場合が多い。
TSものの肉体の変化は一瞬で起きるものは殆どだが、精神の方の変化はその後どんどんついていくものが多い。
TS娘の「メス堕ち」は突然起きるというよりも、時間をかけて変わっていく方が見どころがあるでしょう。
逆にダークなTSものなら、性別が変わったことで堕落して「闇堕ち」していくという展開もある。シリアスなものが大丈夫な人にとって、これも見どころのある展開でしょう。
11. ཁ 複雑な恋愛関係の描写
性別が変わってしまったら、性自認の葛藤の次に、いつも起きる問題は、恋愛関係のことになるでしょう。TSものは恋愛に関わるものが多い。恋愛はTSものの醍醐味でもある。
普通に考えれば、性別が変わってしまったら、恋愛対象も変わるでしょう。
例えば、TS娘は元々男だったから、今まで男のことなんて興味なかったが、女になったらなぜか男を見てドキドキしてしまう。逆に女の子を見ても興奮しなくなる。メス堕ちして、男に惚れてしまったら、最後に「精神的BL」になる。
たたし注意するべきなのは、これは「普通の男の普通のBL」と全く別のもの扱いされることは殆ど。普通のBLが地雷なのに、精神的BLは逆に大好きって人もいる。
女から男になったTSキャラの場合でも、元々百合じゃなかったのに、男になったらなぜか女の子に魅力を感じて惹かれてしまう。結局普通の男みたいに女と恋をしてしまって、こうなったら「精神的百合」になる。
ただし、性自認が変わったとしても、恋愛対象が変わるとは限らないでしょう。
たとえメス堕ち展開になっても、恋愛対象はまだ女のままで、結局百合になるTS娘もいる。これはいわゆる「TS百合」というもの。「とせがら」という呼び方もある。
これも注意するべきところがある。「TS百合」が「普通の女同士の普通の百合」と同じもの扱いする人もいれば、全然別物扱いして「TS百合は百合ではない」と言う人もいる。これを巡って論争が引き起こされることもある。
以上TSものの様々な見どころについて説明してみました。
他のなろう作家のエッセイからの考え方も参照に。
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