第1話兼プロローグ
試験投稿開始。
第7話まで隔日投稿予定。
カクヨム先行投稿中。
8/3より、第2章投稿開始予定。
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取り留めのない意識が纏まり始め、心地よい夢の残滓は溶けるように消えて行く。
夢とは違う重みの感じる身体。
柔らかく手触りの良い寝具に、負担なく身体を預けながら瞼を開く。
明かり取りの窓から優しく照らす光が朝を知らせてくる。
そして朝を知らせる役目は持つのは何も太陽ばかりではない。
「おはようございますリース様。本日も良い眠りは得られましたか?」
主の心地よい寝覚めを妨げぬように、物音を立てず気配も薄いメイドが寝室へと入り朝の挨拶を行う。
美しく、ともすれば冷たいとさえ感じさせる美貌は優しげな微笑を浮かべ、真実主への敬愛をこそ感じさせる。
控え目ながら、その美貌を引き立てるメイド服に身を包み、手には適温のモーニングティー。
用意されたお茶をゆっくりと飲み下しながら、主──リースは答える。
「うん。とてもよく眠れたよ。このベッドの出来はかなり良いね」
ティーカップを片付けながら、着替えの準備を整えるメイドは答えに心底幸せそうな笑みを浮かべ、
「それは良うございました。
ではリース様。いえ、リース殿下。本日は何をなさいますか?」
と主──この国の第7王子のスケジュールを確認する。
「そうだねメア、何から始めようか」
そう返した彼は、ベッドから立ち上がり、楽しそうにリースの着替えを行うメイド──メアの揺れるヘッドドレスを見ながら、ぼんやりと思い起こしていた。
前世から持ち越したこの人格が、はっきりと目覚めた日のことを…………。