転校生の少女 小学生編
徐々に文字数増やしていきます。
時は半日ほどさかのぼる。
少年犬山隼人は教室でクラスメイト達に囲まれていた。
「隼人今日もゲームセンターに行くの?」
少し長い黒髪にぱっちり二重の少年、早川薫。隼人の友人である。
早川薫、隼人の友人が問う。いつもクラスの中心人物である隼人であるが、放課後はいつもあの薄暗いゲーセンに通っていた。
「うん。また誘ってよ」
「まだ何も言ってないんだけどね・・・ってそう言ってきてくれたことなんて一回もないじゃないか・・・」
「いやいや、クラス会とかは顔を出しているぞ」
「そういう時しか遊んでくれないのかよ!」
「まぁ、みんなと遊ぶのも楽しいけど今はゲームが楽しいんだ。薫も来ないか?」
微笑みながら薫を誘ったが、小学生にはゲームセンターという場所は言ってはダメという概念にとらわれてしまって、隼人は振られてしまった。
クラスメイトと談笑しているとキーンコーンカーンコーンとチャイムの音が学校中に響き渡った。
「そろそろホームルームの時間だぞー。すわれー」
ホームルームの時間になり教師が声をかけた。いつもけだるそうにしている26歳の男性教師だ。
「じゃあな、隼人」
「今度は遊んでねー、隼人君」
「バイバイ、隼人君」
教師の言葉にクラスメイト達が隼人の席から離れ各々の席に座っていった。
「今日は転校生が来てるぞ」
クラスメイト達が騒ぎだした。新しい仲間が来るときの小学生は大体こんな感じだ。
(こんな時期に転校生か)
小学5年の9月後半、クラスメイト達がグループを作り終わり、友人関係が完成している時期である。
「じゃあ、入ってきなさい」
ガラッと音がなり教室の前の扉から少女が入ってきた。
少女は茶髪のロングヘアで小学生とは思えないほど大人びた雰囲気を出していた。
「五十嵐 凛です。よろしくお願いします。先生、私はどこに座ればいいですか」
「おいおい、それだけでいいのか?なんていうかもっとあるだろ自己紹介みたいなものが」
何か嫌な予感を察した先生がみんなとの仲を深めようと焦ってとどめようとしたが
「いえ、必要ないです」
そういって、先生に席の場所を教えるようにせかす雰囲気を出した。
「そ、そうか。えーと、五十嵐の席は一番後ろの窓際だよ」
自分の席を知った少女は何も言わず席に向かっていった。
「五十嵐さんは親の転勤でこの学校に転校してきました。みんな仲良くしてあげろよー」
「「「はーい」」」
クラスメイトはあまり歓迎してないような雰囲気で返事をしていた。
(あの態度じゃ仕方ないよな・・・)
「ねえねえ、隼人君」
隣の席の女の子が小声で話しかけた。
「どうしたの」
「あの子かわいいけど少し雰囲気悪いね。隼人君はどうおもう」
「確かにかわいいよね。まぁまだ話してないし特に思うことはないかな」
「そっかやっぱり隼人君もかわいいって思うよね・・・」
少女はうつむきながらそうつぶやいた。
俺には関係のない人と隼人は転校生に対して思っていた。
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半日後、ゲームセンターにて、隼人は転校生の少女に物理的にぶっ飛ばされていた。
自分とは関係のない人と思っていた少女とまさかこんな薄暗くオタクしかいなさそうな空間で出会うとは思ってなかったという衝撃と少女の物理的な衝撃に隼人は腰を抜かしていた。
隼人は腰を起こしゲーセンから出た少女に対し大声で叫んだ。
「次こそは負けない!絶対にまた来いよ!勝ち逃げなんて許さねーからな!」
少女はクラスでは少しクールな雰囲気の少年からまるで子供みたいに叫んでいる少年を見て驚いた。
少女は何も言わずに帰っていった。
(「また」か・・・)
少女の心拍数は心なしか上がっていた。