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異世界は神様と共に  作者: 腹巻
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新たな旅立ち

ミルドレイク王国に戻ったクリス達、勇者一行は王城にて国王に魔王討伐と、新たな問題として召喚魔術が使われた旨の報告をした。

今後の課題は残っているものの、魔王の脅威が去った事に、国王をはじめ、国の重鎮たちは大変喜んだ。

そして大々的に英雄誕生を王国中に知らせた。各地で祝典やパレードが行われ、勇者はすべてに参加を強要された。

すべての式典を終え、ハルに会う為に再びアヤト王国へ向かう時には3ヵ月が経過していた。




◇  ◇  ◇




今年の“作業団”は効率良く、過去最高の収穫量を記録。大成功に終わった。

途中、収穫に立ち寄った村々では、毎年多くのお土産をもらうのだが、今年は特に多く、荷袋だけでは入りきれない程であった。

馬車一杯に積まれた荷物に埋もれながらも、団員の顔は誰もが満足感で満ち溢れていた。

自由組合の建物の前で馬車を降りたハルも、笑顔で組合職員に声を掛ける。

「ただいま戻りました。」

「お帰りなさい。ご苦労様でした。」

こんなやり取りがたまらなく心を暖かくしてくれる。

人とのふれあった記憶が無いハルには、自分を迎え入れてくれるこの場所を、とても心地良いと感じている。

最初は気恥ずかしい気持ちもあったが、今はこの世界に来てとても感謝している。

「これ、貰ったもので悪いんですがお土産です。」

「良いんですか?ありがとうございます。」

「こっちはみなさんでどうぞ。」

よくお世話になっている組合職員に、葡萄酒や野菜などのお土産を渡して回った。



王都に行く為の資金も貯まり、後は旅に必要なものを購入すればいつでも旅立てる。

万が一の事を考えてなるべく節約して行こうと安宿に向かった。

出発前に宿舎を引き払っていたので新たに宿を探す必要があるのだ。


次の日、旅の準備のため市場へ向かった。


まず雑貨屋で大きめの水筒を買った。

何かの木の実らしいが瓢箪のようなもので50cm位の長さがあり3L近くは水が入りそうだ3,000G。

魔術で増やすので普段は少なめに入れるつもりだ。

火打石は拾えば良いと言われたが、石の違いが判らないので小さい物を購入500G。


次は武器屋で短剣と杖と鉈を買う。

短剣は一番安い物で良い、投擲用2,000G。

鉈は結構値が張ったが壊れると困るので2番目に高いやつにした、鞘付き200,000G。

杖は魔術師用の物が軽くて良いが装飾過多で、殴ると付いている宝石ぽい物が取れそうなので、硬くてシンプルな物にした。

富士登山で見た事のある感じの棒30,000G。


防具屋では野宿用で厚手の革製マント、脚絆と靴が一体化した膝下までの革製ブーツ、布製の手袋、雨除けだと言う麦藁帽子、荷袋も大きめの物にした。

全部で約80,000G。


最後は鍛冶屋で鍋と、別途で火に掛ける用に三脚を作ってもらった30,000G。


宿に帰ってから、固めに焼いたパンを大量に注文した。


これで旅の準備は整った。

明日、組合に行って地図を買ってから出発だ。

と思っていたが、組合で話を切り出すと歩いて行くなんて無茶だと言われた。

歩いて行けば半年位は掛かるんだとか、普通は乗合馬車で行くものらしい。

しかも地図は売っていないとの事。

3日後に大門の前から出発する便があるので予約した。

聞いたところ、宿泊は野宿の場合もあるらしい。旅の準備に買ったもの全部が、無駄にならなくて良かった。

出発当日、組合から数人の職員さんが見送りに来てくれた。

「向こうに行っても無理はせず頑張って下さいね。」

「はい、本当にお世話になりました。またいつか戻って来ますねー。」

少し涙が出たのは無理も無いことだと思う。



馬車は国境の町へ向かって走り出した。

出発して少し寂しさを感じていた時、顔を上げると小さな女の子が心配そうにこちらを見ていた。

見ていたとは言っても女の子の目には布が巻かれていて見えるはずは無いのだが。

隣に座る老人に目を向けると微笑みながら小さい声で言った。

「この子はミサと言います。生れつきでしてね、その代わり周りの感情が良く判るそうです。」

「そうですか・・・」

それ以上言える訳がない。

「失礼ですがどちらまで?」

「ミルドレイクの王都に行くんです。おじいさんたちは?」

「私たちは次の街までですよ。街から少し行ったところでちいさな牧場をやっています。」

「うしさんおっきいんだよ。ぼーぼーないてるよ。」

「へぇ牛ですか。」

「ええ、牛も3頭だけですから。今回は知合いに頼んで来ているんですよ。」

首都にミサの母親が居て、会いに行った帰りなんだとか。

乗客はミサとおじいさん、他に2人の商人風の男性と僕、それと御者と護衛の男性2人の総勢8名だ。

ミサに“作業団”の話をしてあげたりして、和やかに馬車は進んで行った。


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