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メイドに教わる世界事情

目が覚めたら自室で寝ていた。

「おはようございます、オール様。そのまま寝ててくれたほうがよかったのに」

「おはよう、シノウ。相変わらずの毒舌イラっときます。」

でもこれが、シノウの平常運転でもあるから、安心っていえば安心だよね。

「質問よろしいでしょうか?、シノウさん。」

「何でしょうか?オール様。」

「体が動きません。なぜでしょうか」

「それはきっと、魔力切れのせいだと思います。相変わらず使えないな。」

「聞こえてるから、その悪口。」

「聞こえているように言ってるのですよ。」

こいつ…。ほんとどうしてくれよう。体が動いたら、腹に一撃?首を絞める?それとも、セクハラ?どうしてくれようか。俺の中の悪い自分と戦っているけど、このままだと間違いなく悪い自分が勝ってしまう。何か別の話題にしなければ。何か別の話題、別の話題、そういえば…

「俺の体が動くようになったら時間あります?教えてほしいことがあるだけど」

「なんですか?女についてですか?それでしたら別のメイドを上げますが?」

「いや、女についてじゃ、ってメイドさん誰かくれるんですか?」

「えぇ、ただし多くて3人です。」

「やったー。ありがとうございます、シノウさん」

あれ?話がずれている?なんの話だっけ?えぇーと

「いや、違う違う違う。そのことじゃないよ。」

「興味ないのですか?」

「興味ないわけではないけど、だけど違う。特性について聞きたいんだよ。」

この人はやばい。図星を的確についてくるんだけど。ドSだけだと思って甘く見ていたけど、この人はアウロラよりも強い。女としてね?

「それでしたら、体が動くようになりましたら図書室までお越しください。」

その時のシノウの顔はなにかしら仕掛けてきそうな顔をしていた。図書室に行くときは何らかの注意を払わなければならないな。そう思っているうちにどんどん時間が過ぎていった。シノウは10分前ぐらいに図書室に向かったんだと思う。そこから20分か30分後に俺の体も動き始めた。

「行きたくないけど、しょうがない。」

俺はしぶしぶドアを開けた。 ドンッ何かにあたる音がした。ドアの後ろを確認した。そこには、一人の赤髪のメイドさんがいた。

「おーい、君、大丈夫?」

「はいぃ~、ちょっと頭ぶつけただけで、何の問題もぉ~」

立ったがとてもフラフラ状態だった。

「色々問題あるだろ。ほら、肩貸すから。ほら」

俺は肩を貸そうとしたが、メイドさんは

「大丈夫です。一人でも、行けます。」

そう言って、フラフラ状態で仕事に戻っていった。助けて時間つぶしたかったけど致し方ない、図書室にでも向かうとするか。俺は図書館に向かった。

「お待ちしておりました。遅かったですね。もう少し遅かったら自分の仕事に戻ろうかと思っていました。しかし、来てしまったので約束は約束です。」

とても笑顔であったが目を見てわかった。その目はまるで、憎き親友の苦しむ姿を見下す様な目だった。我ながら、よくわからない例えだな。

「あの、怒っています?」

「別に怒ってなどいません。ただ、時間に正確ではない人が嫌なだけです」

「ほんと、すみませんでした。」

威圧に負けてしまった。時間とか決めた覚えがないけど、なぜか本能的に自分の負けだと思い込んでしまう。

「もういいです。早く座ってください。いつまで立っているつもりですか?」

「あぁ、はい。ありがとうございます。」

椅子に座った。机には、開かれた本が数冊置いてあった。

「それじゃあ説明していくので、わからないところがあったら言ってください。しかし、これでも『簡潔にしてある』ということだけは覚えていてください。」

「わかりました。」

「では、まずはお嬢様の勇者特性から。勇者特性は主に剣など使って戦うものです。知力、体力、実力といったステータスがとても高いです。」

「勇者っていうから、腕力とかが一番高いステータスだと思った。」

「普通はそう思うかもしれませんが、その逆なのです。」

「逆?逆ってことは一番低いの?」

「はい、特性によって変わってきますが、持っている特性にとって一番大切な力を失うのです。」

っていうことは、魔法特性の俺は魔法を使うための創造力のステータスが一番低いっていうことになるんだな。

「さて、そのほかの特性についてもお話ししましょう。そのように言いたいところですが、そろそろお嬢様のスイーツの時間ですね。まだ、授業のほうは1時間後にここへ集合ということで。今度送れるようなことがあるのでしたら…わかりますよね」

「…はい。」

そう言って、シノウはアウロラところへ足を運んだ。いや、そんなことはどうでもいい。問題は次遅れたらだ。次遅れたら間違いなく、死ぬよりもつらい拷問が待っているよ。もしくはそれに近いものが。そういえば、今まで不自然に思わなかったけど、何で日本語で聞こえて日本語で通じるんだ?俺には、不思議なことが色々ある。しかし、それを一つずつ検証してもいられない。ってことで俺も、図書室から出ることにした。さて、ここから何をしよう。

「あら、シノウの授業は終わったの?早かったわね。」

後ろから声が聞こえた。後ろを向くとそこには、アウロラがいた。

「いや、終わってはいない。今は休憩しているって感じだ。」

「そう、わからないことがあったらシノウに聞けば大体はわかると思うは。」

「なぁ、なんでここにいるんだ?この時間だと、お前のスイーツの時間じゃなかったのか?」

「いきなり話を変えたかと思ったらそんなこと?まぁいいわ、私は貴方の所へ様子を見に行こうと歩いていたけど。多分シノウが言った方向と丁度逆だったのね。」

「そういうことか。だったら、急いだほうがいい。あいつは怒ると怖いから」

勢いで口が開いた。心の中の俺はやはり、怖いというイメージしかなかった。でも、なんでだろう。アウロラと一緒にいると心が落ち着く。

まさか、これが…

「お嬢様、ここでいったい何をしているのですか?」

アウロラの後ろにとても怖い顔をしたシノウがいた。

「貴方とオールがしっかりやっているか見に来ただけよ。でもまぁ、聞く限り真面目にやってるみたいでよかったわ。」

「そういうことでしたか。お嬢様、スイーツの準備ができました。席のほうへ。」

シノウの顔はとても安らかな笑顔へ変わっていた。

「わかったわ、シノウ。すぐに向かうわ。」

シノウはその言葉を聞くと一礼し、元来た通路を戻っていった。でも、なんとなくわかったが、シノウはアウロラに甘い。もしかしたら、使える。この世界一強い勇者様を利用できるかもしれない。悪い自分がまた出て来てしまうけれど、こうでもしないと生きていけない説が俺の中にある。


ドタン!バタン!


すごい音がした。音のほうを見てみた。そこには見覚えのあるメイドがいた。それは、あの赤髪のメイドさんだった。俺の開けたドアの次は、何もないところで転ぶんですね。そういう子ならラブコメあたりに出てくる定番キャラだよな。でも、そういう子ってピンクの髪だと思っていた。

「大丈夫?知ってる限り、2回目だけど。」

「はい、ありがとうございま…って、あなたはあの時の。」

「ねぇ、人に指さすっていけないことって君知ってるかな?後、さっきそんな感じなかったよね。何?キャラ変更?さすがにきついって。さっきまでおとなしいキャラがツンデレ的なキャラになっても違和感しかないからね。」

それ以前に、強気な女性が多すぎるんだよ。アウロラといいシノウといい。

「いや、何言ってるんですか?キャラ変更とか何語ですか、それ?」

「キャラ変更を知らない?日本語しゃべれるのに?」

「日本語?何言ってるんですか。今しゃべってる言葉でしたら、

『チキヨウ語』という正式な名前があります。」

チキヨウ語?知らない名前が出てきた。

「なぁ赤髪、」

その赤髪メイドは俺に聞こえるか聞こえないぐらいで

「テラです。」

とだけ言った。何?この世界の人は名前を言うときは最初小さく言うみたいな規則でもあるのか?

「なんて?今なんて言った。」

「テラー・ストウレイ。テラでいい。」

「そうか、テラもう一つ質問。そのチキヨウ語をつくった人の名前。そいつの名前を教えてくれないか?」

もしも、俺の予想があっているのならば、これは言葉遊びに過ぎない。

『チキヨウ』。ヨをちいさくして、『地球』といった。地球に住んでいたやつにしかわからない言葉のはずだ。そいつなら、俺の名前とかももしかしたら知ってるかも。

「イノチ キヨウって人ですよ。」

待って、わからなくなった。俺の予想があってるのか、イノチ キヨウのチキヨウってとってチキヨウ語にしたのか。ダメだ。わからない。覚えている限りだと、名前以外は覚えているからな。不思議なもんだ。

「テラ、ありがとう。感謝するよ。引き続き猫被ってがんばれよ。」

「はい、ありがとうございます。『余計なお世話だ』とだけ伝えておきましょう。」

スイッチを切り替えたかのようにドジな自分で戻っていった。さて、ここからどうしよう。することがない。


キーーーーーン


頭の奥でとても嫌な耳鳴りとともに魔法のイメージが浮かんできた。俺は浮かんできた魔法の呪文をそっと口ずさむ。

「アール・クレイジー」

口ずさむとともに立っているはずの地面から離れていく、例えるなら飛んでいるような感覚に落ちた。壁も崩れ、城も壊れ、最後に見たその光景は

世界の終わり、そのものだった。

なんていうんだろう。今まで以上に内容が頭に入ってこない。やっぱり一日でスパッと終わらすのがいい。

そうしないと、自分が覚えていない。この時点でやばい。

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