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異世界設定に飽きた僕と世界一の勇者様

覚えてはいませんがお父さん。お母さん。お元気ですか?

俺には新しく名前ができました。『オール ヴィブリッティ』という名前が。

今、ここの世界で一番の勇者と名乗る『アウロラ ヴィブリッティ』という人のものとして頑張っています。びっくりしたことがあり、川から流されてアウロラに助けられたはいいですが、そこから動く気配がないのです。僕としてはうれしいことですが、何なのでしょうね。アウロラも僕と一緒であまり運動などは苦手なのでしょうか。

「さぁ、そろそろ行きましょうか。」

「行くってどこへ?」

「決まっているわ。私の城へ」

城かぁ。憧れるよなぁ。これから俺は城に住めるのか。悪くないな。

「だから、早く立ちなさい。歩かないと先へと進めないわよ。」

ハハハ、歩くのかぁ~。そうだよな、車とかあるわけないもんな

「ちなみに聞くけど、アウロラの城まで何分ぐらいだ?」

「そうねぇ~、7、8時間は余裕でかかるわね。」

そうか、7時間から8時間は余裕なのか。

「無理無理無理無理!いやダメな距離。その距離はシンプルにダメ。」

「無駄口言うな」

「あなたはまだ世界一の勇者様だからいいものの、俺なんてついさっき流されていた一般市民ですからね。」

「ハイハイそうですね。」

流されたー!

「早く来なさい。おいてくわよ。」

「待ってくれー、アウロラー。」

俺はアウロラに走ってついていった。

いったいどれだけ歩いたのだろう。確かに7、8時間は余裕で過ぎた。しかし、それ以上歩いていることは俺にもわかる。

「もう、そろそろね。頑張りなさい。」

なに、もうそろそろか。しょうがない。頑張るか。

「そういやアウロラ、聞きたいことがあるんだけど」

「なに?聞きたいことがあるんだったらなんで聞いて。」

「それじゃ、勇者って職業なのか?」

「いいえ、職業じゃないわよ。勇者とかは生まれつき決まるの。」

生まれつき?学園ものでいうところの生まれ持ったハーレム的な?

「私は生まれ持っての『勇者特性』がある。他にも色々な特性があるの。例えば『妖精特性』、『魔法特性』、『防御特性』。中には、『ゴブリン特性』とかのモンスター特性。それらを仕切る『魔王特性』なんてものもあるのよ」

「それってどうやって知るんだ?生きていていきなりわかるもんじゃないだろ。」

「自分の生まれ持った特性を知りたいのならば、そうねぇ、例えばこの草を持って何か考えてみて。」

アウロラはそこらへんに生えている草をむしり取り俺に渡してきた。俺は言われるがままに草を手に持ち何か考えてみた。

「嘘…でしょ。」

アウロラの笑いをこらえるような声が聞こえてくる。

「どうかしたか?そんな笑いこらえて」

「あなたの特性は『魔法特性』よ」

「なんでそんなに笑いをこらえる?魔法特性ってなんかすごそうじゃんか」

「なに言ってるの?この世界で魔法は最弱の特性に決まってるじゃない。

魔法特性が唯一使えるのは、序盤の序盤。それ以外だと、ただの無駄な魔力消費の地獄よ。それに魔法特性の人は創造力が命なの。だけど、魔法特性を生まれ持った人は絶滅的に創造力が皆無。残念だけど、あなたにできることは村に着いたら奴隷として働くことよ。まぁ頑張りなさい。」

えぇー。どうしてそういうときに限って俺は…神様、俺に対して厳しいですよ。でもまぁ、そうなってしまったのならば、それ相応の使い方をマスターせねば

「せめてメリットの一つや二つ教えてくれよ。アウロラ。」

「メリットねぇ~、魔法特性は他の特性よりもすぐに身につくわ。だから、いろいろな魔法が作れるらしいのだけどそれでも作った人はほとんどいないわ。だから、魔法特性の人は奴隷行きって事。」

「ねぇ何なの。そのあげてから落とすシステム」

というような話をしていたらやっと着いた。とても大きな城がそこには立っていた。町に入る門の前にいるがそれでも大きさが伝わってくる。例えるのなら…ダメだ、良い例えが思いつかない。

「アウロラ、世界一の勇者ってすごいんだな」

「凄い今更ね。でも自画自賛するわけではないけれど、私も自分で凄いと思うわ」

確かにと頷きながらその町へと入った。とその時だった、門が開いて最初に映る光景は、アウロラが返ってくるのを称賛する町の人ではない。逆に、門が開いたと同時に石を投げつける町の人だったそれぞれに「魔王殺し」や「悪魔」などとアウロラは石を投げつけられていた。

「オイオイ、これはいったいどういうことだ?」

「簡単に言うと私は魔王を倒した。それが、私の運命だからね。しかし、魔王は殺される前に私にすべてネタ晴らしをした。魔王はとても卑怯な手を使っていた。それが死ぬことを覚悟して私のくる1週間前ずっと善人の皮を被っていたということ。そのせいで、皆を騙し私を敵として認識させる。汚い手よね。」

確かに、でもその魔王はとても頭のいいやつなのかもしれない。自分が死んでも、アウロラを町の人達での集団。俺のいた世界でのいじめみたいなやつだ。

そんな中、アウロラの悲しそうな顔を見て俺の頭の中に何かが浮かんできた。これは…魔法?魔法だったらこの状況を打破できるかもしれない。

「インスピレーション・リバイバル」

小声で放った呪文は、町全体を包み込んだ。それと同時に包み込んだその膜の様なものはある光景を映し出した。そう、先ほど、アウロラの言っていた光景だ。そこにはアウロラの話通り、魔王が悪事を働いているところから善人の皮を被っているところそして、魔王がアウロラにすべてをネタ晴らししているところまで、すべて移された。

「町の人々よ。今のを見てくれたでしょ。これが真実だ。どうあがいてもこれは、変わらぬ運命なんだ。魔王は敵でしかない。だからいい加減、騙されていた自分自身を善人と思うな。善人と思っているうちは、敗者でしかない。」

俺はそう格好つけてその言葉を残し、アウロラと一緒に城へと向かった。町の人がどう変わろうと、俺には関係ない。しかし、あの時の俺は、アウロラの悲しそうな姿を見て少しばかり町の人達に腹を立てていたのかもな。そのおかげで魔法だって使えたし。

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