漢詩 「秋日山行」
「秋山 絳葉 暮雲端
衰萎 草叢 旅程寛
遠寺 疎鐘 孤客立
金天 雁影 晩風寒」
訪れた秋の山は、絳い葉も見事なものだった。
夕暮れ雲が、もう山の端に掛かっている。
しんなりと草臥れてきた草むらに腰を下ろした。
今日の旅を振り返りつつ、のんびりと寛いでいる。
暫らくして、どこかの寺の鐘の音が、ごーん…、…ごーん…、と聞こえてきた。
もうそんな時間かと立ち上がって、見ると、周辺には誰も居ない。
そういえば一人で来たのだったなと思いいたり、なんだか淋しく思えてきた。
見上げれば、空は西日で金色に輝いている。
その中を、雁の群れらしき鳥たちの影が遠く去っていくのが見える。
宵の風が吹き抜けて、寒さが身に染みてくるような気がした。